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■入院患者の高齢化が急速に進んでいる


1980年代後半から「高齢化社会」が急速に進み、当時から医療と介護にかかる費用
が毎年雪だるま式に増える事を危惧する声が多方面であげられていました。


すでに病院でも入院患者さんの高齢化が進んでおり、高齢患者さんの場合、看護と介護
を同時に行なうことも多く、業務効率が悪化するといった問題に苦しめられています。


高齢患者さんの中には、他の疾患の治療のために入院していながら、すでに「認知症」
が進んでいるケースも少なくありません。こうなると看護ケアがより難しくなります。


認知症患者の看護は病院や施設だけでなく、在宅で行なう人も大変です。


認知症の症状は、記憶が低下してしまうため、日常生活に支障をきたします。


初期の状態は物忘れが激しいことが気になる程度ですが、その段階で放置してしまうと、
症状がさらに悪化し、今自分で行ったことや言ったことを忘れてしまいます。


看護する側は患者さんの奇行ともいえる行動を繰り返す姿を見たり、何度も同じことを
聞かされたりするわけですが、患者さん本人にとっては毎回初めて行うことなのです。





■認知症を患った人達の家族の苦しみ


認知症患者は昼も夜もありません。夜中に突然目が覚めて外へ出かけることもあります。


数年前に認知症を患っている人が徘徊しているところに遭遇したことがあります。


当日私は仕事の関係で午前4時頃に自宅を出ると、真冬にもかかわらず、ランニング姿
の初老の男性が歩いていました。声をかけたら自宅に戻る途中だそうです。


自宅の様子は覚えていたようなので、何とか帰宅することができました。


ちなみに私が住んでいるエリアには、一人で生活されている高齢者の方が沢山いまして、
今後こうした問題が増えることを覚悟した瞬間でもありました。


実際に家族が知らないうちに徘徊するケースも多く、最悪事故を招く危険性もあります。
このため、認知症が進んでしまうと、介護するご家族は患者さんから目が離せません。


特に地方は社会インフラが東京のような大都市のように整備されていません。


老人ホームへの入居待ち待機者が尋常じゃないほどいます。


認知症を患っているご家族を自宅で介護しなければならないケースも多いです。


中には仕事を辞めて貯金を切り崩しながら実際に生活している方もいます。


徘徊するようになると、次第に奇行が目立ち始めるようになります。どんな行動を取る
のか分かりませんので、介護するご家族は、正直気が休まる暇がありません。


そうした厳しい状況にありながら、子供が自分の親を支えなければなりません。


デイケアやデイサービスなどが自宅付近にあれば、こうした介護サービスをスポットで
利用することによって、ほんの少しでも介護の精神的負担から開放されます。





■認知症患者への対応について


認知症の患者さんは、自分が行ったことや言ったことをすぐに忘れてしまうわけですが、
人としてのプライドはしっかり持っていますので、きちんと対応しなければなりません。


どうせ分からないだろうと、初めての患者さんに接するように対応すると、患者さんは
突然興奮したり不穏になったりしますので、注意しなければなりません。


また、同じように患者さんの意に反した言動や行動を看護師さんが取ると、患者さんは
敏感に反応し、突然不穏になったり落ち着きのない行為をすることがあります。


そうさせないためにも落ち着いた態度で患者さんと向き合って下さい。


そして、患者さんを受け入れる姿勢を見せながら接することで、認知症の患者さんにも
看護することを受けれてくれます。しかし、看護師さんも一人の人間です。


どんなに優しく諭すように接しても、どうにもならないこともあります。


我慢が限界に達すれば、患者さんを非難したり、攻めたくなります。


しかし、どんなに腹が立っても我慢しなければなりません。


また患者さんを責めるようなことはしなくても、大声で怒鳴る看護師さんもいます。


しかし、何も理解できないような行動や言動を取る認知症の患者さんでも、人としての
プライドが呼応するかのように逆に怒ったり不穏になったりします。


こうした患者さんを拒否する看護師さんの態度は、患者さんの病状を悪化させます。


看護師さんが抱えるこうした仕事上の苦しみは、他の看護師さんと共通の問題として、
しっかり話し合うことによって、どのように対応するか考えなければなりません。


そうした話し合いの場をもうずに放置してしまうと、看護師さんが患者さんに対して、
ひどい暴力を振るったりする問題が生じてしまいますので、注意が必要です。





■認知症患者を看護するトラブルについて


意外に思われるかもしれませんが、病院内で頻繁に見られるのが、食事のトラブルです。


ほんのさっき食べたばかりであるにもかかわらず、「まだ食べさせてもらえない!」と
訴えるケースが少なからずあります。こうした場合は、どんなに諭しても無駄です。


「今準備しているところです」と遠回しに説明してあげてくださいね。


大切なのは、患者さんの立場になって考えることです。


慣れてくると次第に良い反応を示してくれる会話のパターンが見えてきます。


そのパターンを軸にコミュニケーションを取るようにすれば、会話の失敗を防げます。


いくら言うことを聞いてくれないといっても、患者さんを逆なでするような話し方では、
患者さんは大人しくなるどころか、余計興奮して不穏になる一方です。


病棟勤務の看護師さんは沢山の仕事を抱えているので、「同じ患者さんにつきっきり」、
というわけにはいきません。離れている間にトラブルが起こることも十分考えられます。


このため他の看護師さんと協力しながら認知症の患者さんを見守ることになります。
また、普段から患者さんの行動・言動を観察することも非常に重要です。


認知症患者さんの看護は一人ではできません。何でも頑張りすぎると苦しくなります。
「私がやらなければ」と気負いすぎるのは、自分を追い込んでしまうので危険です。


チームで互いに助けあいながらケアすることにより、個々の看護師さんの負担が小さく
なります。そのためにも自分や他のメンバーの個々の能力を把握する必要があります。


それは自分自身ができないところや、相手ができないところを補う力になるからです。


また看護ケアを統一することにより、患者さんも混乱することが少なくなります。





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