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今回ご紹介させていただく動画は、
老人専門看護師として働く、桑田さんの日々の仕事を通じて
終末医療の難しさや大切さについて学ぶことができる
大変ためになるドキュメンタリーです。


一方的に押し付けるのではなく、
患者やそのご家族の思いを汲み取りながら、
質の高いケアをしていく、その姿勢に感銘を受けました。


14分程度ある動画ですので、ぜひお時間のあるときに
でもじっくり見ていただければ幸いです。







人生の終わりを心豊かに過ごしたい、
誰もがそう願っています。


近年医療の進歩は寿命の
延長をもたらしました。


しかしそれは生活の豊かさを
保証するものではありません。


そうした中、医療と生活を
結びつける存在として、


高齢者を専門とする看護師が
大きな期待を集めています。


その活躍に密着しました。


「東京都青梅市」


青梅慶友病院です。


入院患者の平均年齢は88歳を超えます。


一般の病院とは異なり、手術室はありません。


患者が心豊かに最後の瞬間を迎えるために...
そのための専門的なケアが行われています。



病院内には、看護・介護開発室
という部署があります。


質の高い医療を行えるように
病院自体を導くことが主な役割です。



看護師さん「桑田美代子さん」

「一日一日の積み重ねの繰り返しが
 大事だということが伝わったらいいよね」


桑田美代子さん、全国に41人しかいない、
老人看護専門看護師です。


専門看護師の資格は、大学院の資格を取得し、
認定試験に合格して、はじめてその資格を手にします。



高度な知識と技術を身につけた看護師なのです。


その役割は患者への択一した看護の実践や


院内の部署の調整など多岐にわたります。


桑田さんの仕事は、患者や家族のケアはもちろん、
スタッフの教育も大きな役割の一つです。



また病棟の看護師長の相談相手にもなります。


すべては患者が晩年を心豊かに過ごすためです。



桑田さん

「一病棟、一部署という単位を
 持っているわけではないので、
 ある意味孤独なんですね。

 一歩引いている視点から私は
 (病院全体)を見ていく、

 それでスタッフが見えない部分を
 伝えていくのが役割かなと思っています。」



患者とコミニケーションを取るさいには、
桑田さんの目線は常に患者と同じ高さ、
近すぎず、遠すぎず、適切な距離で耳を傾けます。


患者の安心感、それがケアの基本です。


不安そうにしている患者には、
そっと寄り添います。


桑田さん

「だいじょうぶです。みんなが
 ついてますから安心してください。」


聴覚機能の衰えた高齢者には、
ゆっくりと低い声で話すことが大切です。


患者の身だしなみへの配慮も怠りません。



スタッフには、一人一人身だしなみ
チェック用のカード配布しています。


常に清潔にしておくことで、病気を患う人ではなく、
そこで生活する人としての患者の尊厳を守るのです。



自分の意思をはっきりと告げることの
できない患者が少なくありません。


言葉にならない思いを受け止めるため、
桑田さんが心がけていることがあります。



桑田さん、

「(老いという)自分が体験したこと
 のない世界を生きている方たちだと
 いうことに対しては、謙虚さが大事です。」

 「って、わかったつもりになっちゃ
  いけないっていうんですかね。
  
  そういうふうに思っています。」


桑田さんはリハビリテーション室
にも頻繁に足を運びます。


リハビリスタッフと情報交換するためです。



この日話題になったのは、患者の
休憩のために用意した「ソファ」


以前患者が膝を伸ばし、足を上げることで、
むくみが取れたからです。



「なかなか自分で立っていても、
 完全にひざが伸びるという
 ことはないんです。

 そういった意味では、こういったものに
 足をのせて伸ばしておくというのは、
 効果がありますね。」


桑田さんは、活用できる
情報を病棟に伝えます。


またそれぞれの病棟には、
専属のリハビリスタッフがいます。


桑田さん、スタッフにアドバイス
「お着替えのときは、肩が90度
 以上開くと危ないかな...」


医療、介護、看護、リハビリ、
様々な専門職が密に連携をとることによって、
患者のケアがより豊かなものになるのです。



桑田さん、

「他の職種にも、
 そこに関わってもらうことによって、
 わたしたち(看護師)だけの視点では、
 どうしても目先しか見えないんですよね。
 
 ですから、もっと広い視野で見るとか、
 違う視点をもらうとか、そういった意味では
 とても役に立つかなと思っています。」



「昔はよく声をかけてもらいましたよ、よぉ!って」


「最近元気がないみたいで」



桑田さんは面会に来ている家族と
コミニケーションをとり、
家族の願いや不安を汲み取ります。


そして、感じたことを担当病棟
の看護師と話し合います。




「元気なころのお父様をイメージ
 できるような形でケアすることが大事、
(娘さん)は、お父様大好きだから」


「パジャマの生活になったんですけど、
 ここで(容体)が安定してきだので、
 前みたいにワイシャツを着
 ていただくようになって」


「ワイシャツがすごく似合う」


「すごく(ご家族)が喜んで下さって」



家族の安心も患者が豊かな晩年を送
るには欠かせないことなのです。



桑田さんが老人看護に携わって19年、


患者の多くは回復して
病院を去るのではありません。



辛い別れを繰り返しながら、
これまで続けてこれたのは、
ある思いがあるからです。



「私自身、父が早くに亡くなり、
 周りで早く亡くなっていく
 人たちが多かった中で、
 
 生活の延長線上の死に携わる
 仕事をするために、もしかしたら
 生まれてきたんじゃないかなと思う」



この病院では、患者のおよそ9割が
院内で最期を迎えます。



患者が亡くなると、
関わったスタッフが集まり、
カンファレンスを行います。


一般の病院では行われない取り組みです。


患者を偲び、その死から
看護とは何かを学びます。


「どう?最期の瞬間関わって」


「ご家族様が亡くなった顔を見て、
 笑ってるっておっしゃったんですよ。
 
 それで救われました。」


「私たち自身が、
 その方たちと関わりができて、
 
 本当に幸せな時間を頂いたな
 と感じています。」


「むくみがあったことで、
 すこし包帯を巻いたことで、
 観測不足になりがちな部分もあるので、
 その点に関しては、ちょっと問題
 だったかなと思います。」


「浮腫があっても、
 自然のままのほうが良かったのでは
 ないかなということですよね?」


「ええ、はい、そうです。」


死は終わりではなく、
受け継がれていくもの。


桑田さんは、患者からの
学びを心に刻みます。


そして病院のスタッフ全員の
心に届けるのです。


死を受け入れること、
それこそが質の高いケアに繋がるのです。


この日、桑田さんは、
看護師長から相談を受けました。


器官切開を受け、
声を出せなくなった
大野さんのことです。


家族がもう一度声を
聞きたがっているといいます。



「本当に声が出そうだっていう、
 家族の気持ちが分かるような感じですね。」


声を出すには、空気が通るように、
専用のバルブを装着が必要です。


しかしそこには大きなリスクなりました。


痰の排出が難しくなり、
呼吸に影響が出る場合があるのです。


痰が多くでている大野さんには、
無理なのではないか、看護師たちが
不安を口にしていました。


家族の願いを叶えたいという
看護師長の悩みに桑田さんは、
意見を求められたのです。


晩年を過ごす患者にとっての、
幸せとは何なのか?


桑田さんは、自問自答を繰り返します。


そして桑田さんの出した答えは、


「ご家族やドクターがいるところで、
 やってみて、それで可能かどうか
 考えてみるのが大事なんじゃないのかと、
 看護師長に伝えました。」


翌日声の出るバルブが装着されました。


桑田さん、大野さんの元へ向かいました。


大野さんは、声を取り戻していました。


心配されていた痰の量も落ち着いています。


「声が出た時に、ワッーと、
 私自身が感動しましたね。
 
 (ご家族に)喜んで頂けたので、
 それが良かったです。」


桑田さんと看護師長の思いが、
一人の患者の可能性を広げる
ことにつながったのです。


「リスクはあるかもしれないけど、
 尊厳は保ちたいという考えがあって、
 この瞬間はこの時しかないってことが、
 あるのかなっと思うんですね。」


リスクを恐れず、活動を制限しないこと、
そして、死が訪れるその瞬間まで、
幸せの範囲を広げるという考え、


それが豊かな晩年を作るための
一つのあり方だと桑田さんは考えています。


いま、桑田さんは、
自ら様々な場所へ出向き、
自らの体験を伝えています。


死について考え、
人生を見つめなおす機会を持つことが
大切だと桑田さんは言います。


「とても身につまされるとか、
 聞きたくないという想いも、
 沸き起こって当然なんですけども、
 
 でも(自分や家族の死について)
 考えてもらわなければいけません。」


「伝えることは大事かなって思っています。」


日々の丁寧なケアを積み重ね。


死と向き合いながら、
患者の豊かな晩年を実現する。


超高齢社会を支える看護がここで行われていました。



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