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今回ご紹介させていただく動画は、
帝京大学医学部附属病院の有賀医師による
進化した「緩和ケア」の最新治療について
大変わかりやすく解説しています。


法改正とともに、より緩和ケアの重要性が
高まっているわけですが、世間一般には
依然として認知度が低いです。


このため、緩和ケアは終末期医療と混合
されてしまうことも少なくありません。


今回の動画では有賀医師による、
非常に分かりやすい解説によって、
そうした点もクリアになっています。


またチーム医療としての緩和ケアの側面
もオープンになっていますので、
医療関係者の方はもちろんのこと、


今現在ご自身やご家族などお身内にがんを
患っている方にとって、大変参考に
なる動画だと思います。



今回の動画も15分以上ありますので、
非常に長いですが、お時間のあるときに
ご覧いただければ幸いです。
 
 
 

 
 

■緩和ケアの役割とは?


「佐々木梓さん」

最近がん対策に新たな
動きがみられているそうです。


がんの治療と共に患者や家族の心と
身体のケアをする、緩和ケアです。



「ナレーション」

がんにかかる人の割合は、
男性が51%、女性が39%


つまり男性の2人に1人、
女性の3人に1人ががんにかかります。


さらにがんで亡くなる人の割合は、
男性が27%、女性が16%


男性のおよそ4人に1人女性は
およそ6人に1人ががんに
よってなくなります。



「有賀悦子医師」

今までは緩和ケアといいますと、
がん治療が終わって、終末期に入ってから
ホスピスであったり、緩和ケア病棟という
ところに突然切り離されたように移ってく
ような、そうした「緩和医療」は
想定されていました。



最近はそのあたりが少し変わってきていて
がん治療の早期からかかわっていくという
形で緩和ケアが今位置づけられています。



「佐々木梓さん」

まだまだ認知度は低いと
いわれている緩和ケア


今回は緩和ケアとは
どのようなものかをご紹介します。



「ナレーション」

帝京大学医学部内科学講座
緩和医療科の有賀悦子医師


緩和医療科外来で外来通院の
患者の診療にあたる一方、
緩和ケアチームのリーダーとして、
入院患者のサポートを行っています。




■どのように緩和ケアは進化したのか?


「佐々木梓さん」

それではまず緩和ケアとは
どのようなものなのでしょうか?。



「有賀悦子医師」

2002年にWHOが緩和ケアを
定義付けました。


その中で緩和ケアとはガンに特化せず、
生命を脅かすような疾患に直面している
患者さん、またご家族の方を対象とした
ケアであって、ガンの痛みだけではなくて


身体的な多くの問題、
それから心理社会的な問題、
スピリチュアルな問題、
すべてを包括したような形で
患者さんをとらえ


それに対して予防も含めた対処を
行ってことを目的としています。


2006年に「がん対策基本法」が
国内でも制定されました。


その中に緩和ケアの
早期から取り込むべき
ものとして盛り込まれています。


社会的にもそういう意味では、
今追い風を受けてるような
状況にあります。



「佐々木梓さん」

これまでの緩和ケアのイメージとは
変わってきたということでしょうか?。


かつてはがん治療を最後の最後まで
頑張っておやりになった方が
終末期に近くなって


治療院の方から...
「あなたは緩和ケアに行きなさい」
と言われて緩和ケア病棟やホスピスを
選択してたような時代がありました。


それに対しまして、最近はがんの痛みは
我慢するものではなく

治療から並行して安全に行えることが
わかってきましたので、できるかぎり
楽に過ごしていただきながら


がん治療を進めていく、
そういう目での緩和ケアが
始まってきました。



「ナレーション」

上が従来の緩和ケア、
下が今の緩和ケアの概念です。


これまではがん治療の終末期から
緩和ケアをするという図式でしたが、
今はがん治療が始まる早期から
患者や家族にかかわり


ケアを行っていくものへと
変わってきているのです。




■実際の緩和ケアの仕事とは?


「有賀悦子医師」

私たちは患者さんが抱えるすべての
不快な症状を対象としていきます。


不快な症状とは体が発する
例えば痛みであったり


呼吸困難感といった問題から、
心理社会的な問題までを
取り組んできます。


社会的問題といいますと、
例えば仕事を続けていくことが
難しくなっていってしまった。


それからお母さんが幼いお子さんを
抱えながら母親としての役割を
果たせなくなってしまった。


そのような苦悩といいますか、
苦痛感に関しても、私たちが
取り組んでいきます。




■緩和ケアを利用する患者の抱える問題とは?


「ナレーション」

ガン体験者の悩みや負担としては、
痛みや薬の副作用などはもちろんですが、
それよりも不安などの心の問題を挙げる
人が多いという調査結果が出ています。


緩和医療科外来を
受診している田村幸子さん。


七年前に乳がんから胸椎の骨転移が発覚、
その後腰椎への転移も見つかり、
放射線治療などで治療を続けてきました。




「佐々木梓さん」

緩和ケアを受診されたきっかけは
なんだったのでしょうか?。



「田村幸子さん」

はい、きっかけは
二年ほど前になるんですが、
骨転移ということ自体は痛み
が一番早く出てくるということが、
もう知識としてありましたので


緩和ケアということで
公開講座がありまして、
それを、講座を聞きに行きましたときに、
ちょうど講師の先生が有賀医師でらして、


そのときには別に痛みで待ってる
状態ではなかったのですが


いずれあの痛みが来るであろう
ということもありまして


とにかく有賀先生にお会いして、
先生のお話を伺いたいと思ってすぐ
先生の方にお電話して...


それから月に一度、
先生のところにをお伺いする
ようになったんです。




■緩和ケアの必要性


「ナレーション」

早期からの緩和ケアの必要性、
まずは告知のときが挙げられます。


これは告知を受けたときの
患者の心の動きを図式化したものです。


最初の一週間は診断への疑惑や、
認めたくない気持ち、絶望に陥ってしまう
などの反応で適応レベル、心の柔軟性が
大きく下がることがあります。


次の一週間では不安や集中力の低下、
食欲が出ない、寝られないなどの
反応が出ることがあります。


この最初の二週間を支援することで
それ以降新しい情報に慣れようとする力や
楽観的に考えようとするゆとりが
生まれてくるようになります。


逆に十分な支援がなかった時、
適応障害やうつ状態に陥ってしまう
ことがあるのです。



「有賀悦子医師」

最初の二週間をみんなで支える体制を
つくることがとても重要になってきます。


患者さんにとって、
次のステップにジャンプする為に、
まるでひざを曲げるかのように進む、
そういう意味で心がいったん沈んでしまう
ということは大変重要なことになります。


きちんとジャンプさせるためには
私たちがみんなでご家族を含め、
チームを組んで支える体制をつくること
がそのあとのがん治療がうまくいく
進んでいくためには大変重要
になってきます。




■緩和ケアを受けている患者の声


「ナレーション」

緩和ケアを受けている田村さんも
心を支えてもらうことが大きいと
実感しています。



「田村幸子さん」

精神的にものすごく楽になりまして、
とてもその痛みだけではなく、その精神的
な痛みのケアもすごくしていただいて、
それはとても大きかったです。


私にとっては、ですから月に一度先生
のところに伺うのがうれしくて、


帰るとその日はとても元気を頂いて
帰れってとても前向きになれて...



「田村謙介さん」

精神的なフォローでこれだけ人間考えが
変わって、上手く病気と付き合って
さらにはなんかこう...


昔歩けなかった者が歩けるようになったり
ですとか、目に見えない力がものすごく
あるものだなっていうのを感じました。



「田村幸子さん」

とりあえず、
あの肉体的にはもう
がん性の疼痛ていうのは、
これからまた増えていくでしょうし


もっともっと今よりも
必要になってくると思うし、
これはもうあの先生に本当に信頼して、
お任せしていこうと思いますけど。



「佐々木梓さん」

今回のThats医学のコーナーは、
医療用の麻薬についてです。




■医療用の麻薬とは?


「ナース」

今回はがんの痛みを緩和する
医療用の麻薬についてですね、ドクター。



「ドクター」

麻薬と聞くと、
どんなイメージがあるかな?。



「ナース」

麻薬への依存とか、
ちょっと怖いイメージがあります。



「ドクター」

確かに麻薬の依存性というのは、
やっかいな副作用だけど

がんの治療においては
正しく使えばとても有効なものだし、
依存の心配もないんだよ。



「ナース」

なぜ医療用麻薬で痛みの治療をすることが
ガンの治療に役立つんですか?。



「ドクター」

がんの痛みが長く続くと、
脳内物質のドパミンが少なくなって、
意欲が減退したり、不眠や食欲低下など
心にも体にも悪い影響が出てくる
ことがあるんだ。


医療用麻薬は痛みをしっかり取ってくれる
ことに加えて、その減っているドパミンを
正常化させる働きあるんだよ。



「ナース」

依存の心配がないというのはなぜですか?。



「ドクター」

がんの痛みがあると依存は引き起こされ
ないことがわかっているんだ


医療用麻薬はむしろガンの痛みを持った
人の生きる元気を取り戻してくれる
ことが証明されつつあるんだよ。




■ガン患者の痛みを抑える治療とは?


「佐々木梓さん」

がん治療において、
痛みの緩和とはどのような
役割なのですか?。



「有賀悦子医師」

ある一人の女性の話をさせて
いただきたいと思います。


とても強い痛みを
覚えてらっしゃっていて
その方は私のところに来て、
こうおっしゃいました。


私はこれからがんという相手と相撲を
取らなくてはいけません。


ただ、痛みが強くて踏ん張れないんです。


土俵が整ってないと
私は相撲を取ることができません。


私ががんと闘うために
私の痛みを取ってくれませんか?。


痛みを治療するということは自分自身の
クオリティを上げることだけではなく


次のステップへ進む一つのきっかけ作り
としては大きな役割があるという
ふうに思っています。




■チーム医療としての緩和ケアとは?


「ナレーション」

帝京大学医学部付属病院は2008年には
地域がん診療連携拠点病院に認定されたの
を受けて、癌センターを発足させました。


緩和医療科の医師と
がん性疼痛看護認定看護師、
緩和ケア認定看護師で
緩和ケアチームを編成


毎日ミーティングを行い患者の
治療方針などを話し合います。


緩和ケアーチームスタッフは
週に1回全員で入院患者の
回診を行っています。


精神科医、薬剤師、ソーシャルワーカー
などを加えたメンバーで、週に1回
他職種カンファレンスを行い、
ケアの方針を決めていきます。


緩和ケアをこのようなチームで
行なうことで、患者の状況に合わせた
細かなケアが可能になるのです。




■緩和ケアにおけるがん治療の重要性


「ナレーション」

これはガンの進行とガンの比重を
概念化した図です。


初期の段階においては、
がん治療が大きなウエイトを占めます。


緩和ケアも初期から患者に関わり、
病状の進行とともに次第にその役割
を大きくしていきます。


この図の断面を見てみると、
がん治療も放射線治療、手術、化学療法
など多岐にわたることがわかります。


緩和ケアはそれぞれの分野の間を取り持ち、
つなぎとめる役割を担っています。


がんの進行とともに支持療法、終末期医療、
そして死別後の家族に対するケアなど、
緩和ケアが果たす役割が大きく
なっていきます。



「有賀悦子医師」

「痛みがなければ
 受診できないのでしょうか?」
 といった質問も少なくありません。
 
 
基本的には何が患者さんやご家族が
「こまったな」と感じた時が受診の
タイミングです。


その困りについて私たちは一緒に考え、
解決する糸口を見つけていきたい
と思っています。


現在、「がん対策基本法」が走り始めて、
社会的にも追い風を受けています。


一人一人の方々の心の中に
緩和ケアがあるということが
浸透していくことを心から願っています。


緩和ケアは終末期医療ではありません。


ガンを持っていても、健やかな所が
最大限力が発揮できるよう、私たちは
支援をしていきたいと思っています。


がんがあっても
健やかであるために、
普通の生活ができるために、
私たちがいることを忘れないで
いただきたいなと思います。



「佐々木梓さん」

ガンと共に生きる、
早期から患者や家族と関わる
緩和ケアによって、がんとの新たな
つき合い方が始まっています。





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