■増え続けるハラスメント問題!過去数十年間にわたって医療は飛躍的な進化を遂げたことにより、日本人の平均寿命は、
男女ともに大幅に延び、自他ともに認める「世界最長寿国」となりました。
しかし、それゆえに色々な問題が起こっています。医療を受ける側の期待値があまりにも
高くなりすぎてしまい、訴訟問題に発展するケースが右肩上がりで増えています。
医療事故による民事訴訟は1990年以降急速に増えていきます。
1995年時点では488件だったのが、2004年には1110件まで増えました。
その後かなり改善されたのですが、依然として高止まりした状態が続いています。
こういったことから、多くの医療機関がコンプライアンスを厳格化しています。
このため、医師や看護師さんなど医療に従事する人達の負担が余計に増えることとなり、
実際の労働環境は改善される兆しが見えないことから、職場で問題が多発しています。
例えばセクシャルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメントなど、
ハラスメントとつく、従業員同士のトラブルが多発することとなりました。
こうした動きは医療機関だけでなく、一般の会社でも増加傾向にあります。
医療機関は特殊な世界なので、他にも色々なハラスメントが問題となっています。
代表的なものは以下の通りです。
(1)セクシャル・ハラスメント
(2)パワー・ハラスメント
(3)マタニティ・ハラスメント
(4)ジェンダー・ハラスメント
(5)エイジ・ハラスメント
(6)セカンド・ハラスメント
(7)マリッジ・ハラスメント
(8)ドクター・ハラスメント
(9)モラル・ハラスメント
今回解説させていただくのは、(3)のマタニティ・ハラスメントです。
■マタニティ・ハラスメントとは?!最近は、略称である「マタハラ」という言葉を耳にする機会が増えています。
他方で政府は女性の社会進出を活性化することを推し進めていますが、強引なやり方は、
こうした様々なハラスメント問題を助長することになりかねません。
マタニティ・ハラスメントは、まさに女性の社会進出を妨げる象徴的な問題です。
マタニティ・ハラスメントは、妊娠・出産を理由に職場内で不快な言動や不当な扱いを
受けることをいい、酷いいじめを受け、精神的に追い込まれるケースも増えています。
看護師さんは90%以上が女性であるため、結婚、妊娠、出産などによって抱える問題
に理解が深いように思われるかもしれませんが、実際にはその逆のケースが多いです。
殘念ながらマタハラを実際に受けた看護師さんは、毎年確実に増えています。
比較的多いのが、妊娠したので出産後も働くために上司に相談しに行ったら、一方的に
退職することを勧められるケースです。こうした行為は立派なマタハラになります。
妊娠している女性の体は、非常にデリケートな状態にあります。こうしたことに不理解
なことから起こる言動も、マタハラとされるケースが多いので注意が必要です。
自分では、そんなつもりはないと思っても、相手を傷つけてしまうことが多いからです。
■マタハラ被害の現状とは?!妊娠を報告したら、ある日突然異動を命じられるなど、見に覚えのない不当な人事や、
産休や育児休暇、時短勤務などを受け入れてもらえない場合もマタハラでです。
「改正育児・介護休業法」により、定められている権利を拒否するケースも多いです。
明らかにこうした妊娠・出産した女性に対して不当な扱いが、医療機関の多くが慢性的
な人材不足に悩まされている原因の一つなのですが、改善される兆しがありません。
マタハラ被害を実際に受けた看護師さんが、強く自分の権利を職場内で主張できない
理由として、24時間365日間稼働している病棟の「特殊性」があげられます。
とくに「人材不足」が酷い職場では、看護師さん一人当りの負担が非常に大きいので、
休みたくても他の職員に気がねしてしまい、休めないケースが少なくありません。
本来であれば、育児休暇から復帰したあと、子供が3歳になるまでは、時短勤務で働く
ことが法で認められているのですが、実際に時短勤務で働く人は少ないです。
勤務時間が短縮された分の賃金の保障は法で定められていないので、働く時間が短い分、
賃金も少なくなり、ボーナスや退職金の勤続勤務年数の算定も差し引くことができます。
医療機関の多くが人手が足りないわけですから、時短勤務を積極的に受入れて勤務年数
の長い人材をつなぎとめるように努めるべきなのですが、あまり力を入れていません。
これでは今いる人たちを大切にしないと言わざるえませんね。
■看護師が働く職場は女性に厳しい?!妊娠すれば体調管理が難しいので、体調が悪くて休混なければならない時もあります。
しかし、妊娠している看護師さんが働くことに理解がない職場では休めません。
何かにつけて妊娠していることに対して嫌味を言われたりすれば、言いたくても言えま
せんよね。このため辛くても無理して働き続けてしまうのです。
その結果流産してしまう方が多いのも、現実問題としてあります。
一節には、一般の会社員と比較して、看護師さんが流産してしまうケースが倍以上とも
いわれているほど多いです。女性が多い職場ゆえに女性に対して厳しいです。
このため、マタハラ被害を理由に退職する看護師さんは殘念ながら増えています。
勿論妊娠・出産する看護師さんを手厚くサポートしている病院も少なくありません。
逆に一方的に「マタハラ」と決めつけることは出来ないケースも多いです。
普段から他のスタッフと良い関係を保つことにより、「お互い様」の精神で互いに助け
あいながら働くことが出来ます。自分本位で動けば嫌われるのは当然ですよね。
でも結構そいういう人が職場にいます。「何で私が媚びなければならないの?」とでも
言いたげな態度で働いている人を何人も見てきましたが、よく人と衝突します。
ですので、休みを申し出たら嫌味を言われたからといって、そうした自分で出来る努力
を全くせずに、一方的に嫌味を言った相手や職場を責めることはできません。
マタハラを予防するためにも、自ら積極的に良い関係を職場内で作り上げましょう。
もし、今現在職場にてマタハラ被害を受けて悩んでいる場合は、厚生労働省が主催する
「総合労働コーナー」に連絡して相談に乗ってもらいましょう。
具体的なアドバイスを与えてくれますので、今後どうすべきか見えてきます。
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html
他にも労働基準監督署や都道府県労働委員会の相談窓口でも相談を受け付けています。
同じような悩みを持った方々の問題を解決しているので、一度連絡してみてください。