■周産期母子医療センターとは?周産期母子医療センターは、基本的に「産科」と「新生児科」を合わされた施設でして、
「総合周産期母子医療センター」「地域周産期母子医療センター」に別かれています。
ちなみに今現在、総合周産期母子センターは、100施設、地域周産期母子センターは、
292施設ありますが、殘念ながら十分対応できていると言える状況にはありません。
ご存知のとおり「産科」は、妊娠や分娩、出産に関する診療科であることから、患者さん
は妊婦さん中心です。妊娠中の患者さん自身とお腹の子を診察し、治療する診療科です。
一方「新生児科」は、新生児の疾病だけでなく、新生児期を過ぎても引き続き医療を必要
とする乳幼児の診療および治療することをを主な目的とした診療科となっています。
周産期母子医療センターは、産科と新生児科をあわせ持つ最先端医療を提供します。
産科や新生児科は数が少なく、リスクの高い分娩に対応できないケースも少なくないため、
こうした問題に対応する周産期母子医療センターの存在は非常に大きいです。
お腹の赤ちゃんは非常にデリケートな存在であるため、妊婦さんにとって不安な日々が、
無事出産を終えるまで続くことになります。こうした精神的ケアも必要となります。
しかし、この期間に妊婦さんが抱える不安は尋常ではありません。
特に実際に妊娠していながら、すでに何らかしらの疾患を患っている患者さんの場合、
お腹の赤ちゃんに影響する可能性が小さくないため、出産リスクが非常に高いです。
周産期母子医療センターでは、そうしたリスクの高い出産を専門的に行い、また出産した
あとに何らかしらの問題が生じてしまった胎児や新生児を治療しながら管理しています。
■高齢出産が増えるとともに存在感が増すここ最近は、先進国の多くが晩婚化が進んでいる関係で、初産年齢も年々高まっています。
日本でもすでに初産年齢が30歳を超えてしまい、今後さらに高まる可能性が高いです。
すでに40歳を過ぎての出産が珍しく無い状況にあります。これも生殖医療技術が飛躍的
に進化したことで、出産に関する全ての環境が大きく改善されたことが影響しています。
しかし患者さんが出産に伴う問題も多様化しているため、対応するのが困難な状況です。
特に難しいのが「合併症」に適切な処置を行なう緊急産科ケアを必要とする場面です。
その中でも切迫早産や妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などはリスクが高いです。
事前に倫理的な問題がからんでくるので、対応するのが非常に困難です。しかし、妊産婦
死亡の低減のためには、どうしてもこれらの問題を専門的に対応する必要があります。
周産期母子医療センターでは、母体胎児集中治療室(MICU)、新生児集中治療室(NICU)
未熟児室(NICU)にて、専門医師による最先端の医療を受けることができます。
基本的に母体・胎児専門医、新生児専門医、麻酔専門医が連携する形で対応します。
リスクが高い出産を専門的に受けているため、助産師さんが取り上げることは通常の分娩
のみで、それ以外の分娩は全て医師の先生が主導する恰好となっています。
また、よりリスクの高い出産に対応するために産科や婦人科など出産に関連する複数の科
を設置し、それぞれの科と連携を強化しながら対応している周産期センターもあります。
■周産期母子医療センターの看護師の仕事とは?上述したとおり、周産期母子医療センターでは母体・胎児専門医、新生児専門医といった
専門医が勤務していますので、一般病院では対処できない疾患や症状も対応できます。
基本的に周産期母子医療センターで働いている看護師さんや助産師さんのメインの仕事は、
医師の先生をサポートすることです。分娩介助の仕事はそれほど多くありません。
これまで再三申しあげてきたとおり、周産期母子医療センターでは、リスクの高い分娩を
専門的に行っている関係で、通常分娩そのものが非常に少ないためです。
しかしながら周産期母子医療センターが求める看護師さんの条件として、分娩介助の経験
を積んできた方を求めてますが、同時に看護師の育成にもしっかり取り組んでいます。
専門性の高い知識と技術を身につけたいと考えている看護師さんにピッタリです。
専門看護師として、母性看護専門看護師があります。今現在49人います。
「総合周産期母子医療センター」と「地域周産期母子医療センター」の施設をあわせると
392施設ありますので、殘念ながらまったくといっていいほど足りてません。
母性看護専門看護師は、妊産婦とご家族を肉体的にも精神的にもサポートします。
キャリアップを目指すのであれば、周産期母子医療センターは理想の職場です。
■周産期母子医療センターで働くメリットとは?周産期母子医療センターの看護師さんの仕事は医師のサポートだけでなく、リスクの高い
出産を控えた患者さんに寄り添いながら、精神面で色々と支えなければなりません。
患者さんの大半は肉体的に何らかしら問題を抱えているため、色々な不安を抱えています。
そうした状況にありながら出産するので、出産を無事終えたあとの喜びはひとしおです。
周産期母子医療センターでは、助産師さんの方がは看護師さんよりも多く働いています。
助産師の資格を取得するためには、看護師の資格を先に取得しなければならないわけです
から、分娩に関する技術・知識・経験に関しては、助産師さんの方が当然上です。
周産期母子医療センター側も助産師さんを看護師さんよりも求めている傾向が強いです。
ですので、周産期母子医療センターで働くことを希望する看護師さんは多くありません。
周産期母子医療センターの認定病院の多くが日本を代表するトップクラスの医療機関です。
周産期母子医療センターで看護師として働けること自体、非常に大きな価値があります。
周産期母子医療センターでは、リスクの高い分娩を連日のように行なうことから、最新鋭
の医療機器をはじめ充実した設備が整っており、一段上の技術と知識を身につけられます。
看護師としてのキャリアアップを目指すのであれば大変魅力的な職場です。