■医務室勤務の仕事がなぜ人気が高いのか?病院で働くことに限界を感じている看護師さんにおすすめしたいのが、病院以外で働く
ことです。看護師さんの仕事は多様化しており、活躍の場が確実に広がっています。
中でも企業看護師の仕事は非常に魅力があり、転職先として人気が高いです。
企業看護師の仕事で最も人気が高いのは企業の医務室や健康管理室での仕事です。
そこで働く看護師さんのことを「産業看護師」といいます。
看護師さんの間で企業の医務室勤務が非常に人気が高く、その秘密は以下の通りです。
(1)体力的にも精神的にも負担が少ない職場環境
病院で働く看護師さんが退職する理由で最も多いのが「仕事がきつい」です。
この中には患者さんや職場の同僚・上司との人間関係の問題も含まれています。
中でも病棟勤務の看護師さんは、日勤だけでなく夜勤を一定の回数こなさなければなら
ないので、その結果として心と体が休まる暇がないほど激務にさらされます。
こうした変則勤務をこなすのは容易なことではなく、ベテランの看護師さんも大変苦労
していますし、中高年に達すると病棟勤務に限界を感じる看護師さんもお多いです。
こうしたことが原因で離職するケースが多いのが現状です。
産業看護師の仕事は、夜勤は一切ありません。土日祝日もお休みです。
人間関係の問題は多少ありますが、それでも病棟勤務の比ではありません。
(2)安易に転職しても同じ問題を抱えることに!
どこの病院も看護師さんが不足しています。これに加えて大半の病院が赤字経営です。
このため人員が極端に少ないので一人あたりの負担がどうしても多くなります。
勢いにまかせて転職してしまうと、転職する前よりも状況が悪化します。
これでは何の意味もないどころか、かえって自らをひどい状況へと追い込みます。
一般企業で医務室があるところは中堅以上の大手企業が中心です。
組合も強いので、常に労働環境の改善が求められています。
こうしたことから病院とは比較にならないほど職場環境が軽やかです。
看護師さんの間で企業の医務室で働くことが注目されるのはある意味当然です。
■産業看護師の仕事と役割なぜ一般企業は、「医務室」や「健康管理室」を設けるのかといいますと、以下の通り、
労働安全衛生規則により、会社は努力義務を怠ってはならないと定められています。
つまり、強制ではないのですが、従業員が安心、安全、快適に働ける環境を整備するのは、
会社の務めであるとされているので、ある程度規模の大きな会社はきちんと設けてます。
「労働安全衛生規則」
(休憩設備)
第六百十三条 事業者は、労働者が有効に利用することができる休憩の設備を
設けるように努めなければならない。
(休養室等)
第六百十八条 事業者は、常時五十人以上又は常時女性三十人以上の労働者を
使用するときは、労働者がが床することのできる休養室又は
休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない。
一般企業の医務室や健康管理室というと、清潔感あふれる高級サロン的なイメージがある
かと思いますが、実際には企業版の保健室のようなものだと思ってください。
一般企業の医務室や健康管理室で働く看護師さんの仕事は一般病棟よりも楽だと誤解され
るような内容の文章がよく目にしますが、実際にはそんなことはありません。
雑務の多さがとにかく凄いです。基本的に企業看護師の仕事は、従業の健康管理がメイン
となりますので、従業員向けに「健康診断」が定期的に行われています。
そして、検査で異常が見つかった従業員の保健指導や再検査などを行います。
医師の先生の診察介助、与薬などもありますし、薬剤の請求、レセプトなどのデータ入力、
カルテ処理、室内の掃除、医師の先生のお茶・食事の用意などもあります。
また従業員が仕事中の事故で負傷した場合は病院と救急車の手配、労災の処理などもあり、
あっという間に一日の仕事が終わってしまうくらい、色々な仕事が待っています。
慣れないオフィス内での事務仕事に戸惑うこともあるかもしれませんが、自分のペースで
仕事を進められ、それらの仕事を自分管理するので、やりがいは十分あります。
もちろん、良い面もあれば悪い面もあります。これは病棟でもおなじですよね。
沢山の従業員と接することになるので、名前と顔を覚えるのに皆さん最初は苦労します。
また、基本的に病院のような院内研修のようなものはありませんので、自分から率先して、
仕事を物にしていかなければなりません。色々考えながら働くことになります。
そして、人間関係の問題についてですが、少人数のチーム(2〜3人)で働きますので、
もし職場で医師をはじめ職員とあわないと、距離が近すぎるので本当に苦痛です。
病棟勤務ほど過酷ではないので、仕事のストレスは比較にならないほど小さいですが、
楽な仕事ではありません。それなりに意識の高い人でないと、正直勤まりません。
■病院よりもスキルアップが高く評価される! 企業の医務室・健康管理室で看護師として働くわけですから、企業の一社員として働く
ことになります。気になるお給料については企業によってかなり差があります。
看護師の平均年収が472万円で月収が、30万円前後です。
産業看護師の場合、これよりも若干下回ります。ちなみに正社員の場合は月給25万円
から30万円程度、年収は350万円から430万円程度となっています。
他にも派遣社員、パートで企業看護師として働くこともできます。
時給は1500円前後なので、日給12000円から14000円くらいです。
しかし医務室勤務の場合は夜勤がありませんので、病院でいうところの日勤のみでこれ
だけの収入が得られることを考えれば、かなり魅力のある仕事といえます。
また経験に応じてスキルアップしていけば、昇給と言う形で評価してくれます。
実際に多くの産業看護師が日本産業衛生学会が主催する認定資格「産業カウンセラー」、
「認定産業看護師」、などの資格を取得して、自分の仕事に活かしています。
他にも「第一種衛生管理者免許」、「保健師資格」があると就職するさいに有利ですが、
これらの資格がなければ企業看護師(産業看護師)として働けないわけではありません。
仮に数百万円ものお金を投じて「専門看護師の資格」を取得したとしても、資格手当は
微々たるものですから、はっきりいって病院ではスキルアップする気をなくします。
こうしたことからも分かる通り、病院で働くよりもスキルアップのしがいがあります。