■クリニカルパスとは?「 クリニカルパス 」は、質の高い医療を効率よく患者さんに提供するために開発された
診療計画票です。文字だけでなくイラストなどを織り込んで分かりやすいのが特徴です。
また医療機関によっては、「クリティカルパス」と呼ぶところもあります。
意外にもクリティカルパスを最初に導入したのは医療機関ではないんです。
1950年代にアメリカの工業界で初めてクリニカルパス導入され、医療機関で広く浸透
したのは、それから30年後の1980年代に入ってからだそうです。
また日本ではさらに遅れて1990年代に入ってから、少しずつ浸透していきました。
クリティカルパスを導入することで院内における様々な情報を共有しやすくなります。
ですので、業務を飛躍的に改善、チーム医療の向上、インフォームド・コンセントの充実、
科学的根拠に基づく適正な医療の実施(EBM)などがクリニカルパスの導入で期待できます。
現状では病床数(400以上)が多い病院では約90%以上導入されてますが、それ以下
となると殘念ながらクリティカルパスを導入していない病院の方が圧倒的に多いです。
■クリニカルパスを導入している病院で働くメリットクリニカルパスを導入している職場とそうでない職場を比較した場合、導入している職場
の方が働きやすいとされています。看護師さんの間でも評判は決して悪くありません。
例えばクリニカルパスが導入されている病院では1人の患者さんが入院してから退院する
までの治療、手術、看護、生活介助などの計画がすべて一元管理されています。
このため看護師さんがアセスメントを行いながら看護計画を立てなくてもよくなります。
まずクリニカルパスの診療計画に沿って、患者さんにきちんと説明し、患者さんから理解
が得られた状態で適切なケアを行っていきますので、後々揉めることがありません。
クリニカルパスは、患者さん用と病院用(医師、看護師など)に分かれていまして、
クリニカルパスを導入している病院では、大抵入院してすぐに患者さんに手渡されます。
このため患者さんは入院してから退院するまでの治療に関する、おおよそのスケジュール
を把握しながら、その経過をある程度予測することができるので、不安を軽減できます。
例えば入院当日はどういったことを行うのか、翌日以降に受ける検査やどんな治療・ケア
を行うのかが明確に記載されているので、患者さんは入院した時点で知ることができます。
クリニカルパスを導入することでチーム医療として強化できる点も大きなメリットです。
これはチーム内の不協和音を最小限におさえてくれるので、より働きやすくなります。
例えばA医師と看護師Bが同じチームでCという患者さんの治療にあたっているとします。
A医師も看護師Bもクリニカルパスに沿って治療および看護を進めることができますので、
何度も同じことを確認しあわなくてもよくなり、これだけでかなりの労力を抑えられます。
■クリニカルパスのその他の役割患者さんの術後の食事や入浴、体位変換などのケアも標準化されたものが表になってます。
その表に沿ってケアを行えば良いので、余計なことを考えずに仕事に集中できます。
看護師さん一人一人の負担を軽減できるだけでなく、より効率よく仕事をこなせます。
例えば医師の指示を何度も確認する必要もありませんし、自分で不明な点を調べる必要も
ないといった具合に、大幅にこれまでの無駄を省くことができるようになりました。
クリニカルパスを見るだけで、詳細に自分のやるべき処置やケアが記載されていますので、
患者さんの対応がよりスムーズに行えるだけでなく、より質の高いケアを行えます。
これまでどうしても看護師さんによって「看護の質」に差があったわけですが、こうした
問題もクリニカルパスを導入することによって、ほぼ解消されました。
大抵どこの医療機関でもクリニカルパスは患者さん用と病院用の二つを作成します。
そして、患者さんが入院したら、すぐにクリニカルパス手渡すことができますので、入院
当日に検査、治療、手術、処置、看護など退院までのスケジュールを説明できます。
また、患者さんもクリニカルパスを見れば、説明をきちんと聞いたいなかったとしても、
患者さん自身の目で退院までのスケジュールを確認し、しっかり把握することができます。
例えば検査を受けて何日後に手術を受けるのか、また手術受けてから普通の食事ができる
ようになるまでには何日かかるのかといったことを患者さん自ら把握できます。
このため、患者さんに対する説明不足によって生じるトラブルなども激減します。
患者さんが余計なことに気を取られないで済みますので、患者さんの不安も激減します。
これにより患者さんの心に安心感が広がり治療及び手術の経過も必然的に良くなります。
■看護師として復職するなら?病床数が多く、尚且つ一日に沢山の患者さんが入退院するような規模の大きな病院では、
当然それぞれの看護師さんが対応する患者さんの数も比例して多くなります。
このような状況で看護師さんが看護計画を作成するとなったら大変です。
時間が取られすぎて、本来やるべき重要度の高い仕事が出来なくなってしまいます。
しかし、クリニカルパスを導入することによって、こうした問題も解消されます。
また、クリニカルパスによって科学的根拠に基づいた治療がより可能となり、意味のない
検査や無駄な投薬を軽減できるので、医療機関側も大幅にコストを削減できます。
そして、クリニカルパスの作成についてですが、医師や看護師は勿論のこと、薬剤師、
検査技師、放射線技師など、それぞれの専門分野の意見をしっかり集約しています。
しかも、しっかり科学的根拠に沿っていますので、机上の空論とはなりえません。
クリニカルパスによって質の高い確かな情報をそれぞれの専門スタッフが共有することに
よって、多くの医療機関でチーム医療の質を飛躍的に向上することに成功しています。
どの患者さんに対しても同レベルの治療及び看護を行うことが出来ますので、提供できる
サービスの質を平均化することで患者さんの不満を大幅に抑えることができます。
勿論クリニカルパスは、決して万能というわけではありません。
改善しなければならない点を多く含んでいます。例えば患者さんの多くが長期間入院する
療養型の医療機関では、クリニカルパスは期待される効果を発揮しにくいです。
それよりも、「外科病棟」のように出来るだけ早い段階で手術や治療をして退院していく
方が向いています。しかも無駄な検査などを大幅に減らすことができます。
こうしたメリット・デメリットが色々ありますが、もし復職して看護師として働くなら、
クリニカルパスが導入されている医療機関を選ぶことを強くオススメします。