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■神経内科を取り巻く環境について


残念ながら一般の人達の間では「神経内科」の認知度は決して高くありません。
神経内科を心療内科や精神科と同じようなものと考えている方が多いのが現状です。


まず、心療内科は心身症などの身体疾患を取り扱っているのに対し、精神科は統合失調症
やうつ病などの精神疾患を取り扱っている診療科で、この二つは明確に異なります。


一方、神経内科は脳血管障害やパーキンソン病などの脳神経系の疾患を取り扱っています。


神経内科ではパーキンソン病など厚労省に難病指定されている疾患をいくつも取り扱って
いるため、医療に携わっている人達の間でも治療や看護が難しいと考えています。


また、神経内科で取り扱っている病気とその症状を一般の人達のほとんどは知りません。


パーキンソン病は今だに決定打となる原因が明らかになっていませんが、日進月歩で治療
が進化しているため、完治はできなくても、治療すれば普通に日常生活を送れます。


しかし、患者さんの中にはパーキンソン病であることを告知されるとショックのあまり、
絶望する方が多く、日常生活で全く動かなくなってしまう方も少なくありません。


また、ご家族をはじめ周囲の人たちも難病ということで必要以上に気を使います。


自分で出来る身の回りのことさえもやってしまうので、患者さんが日常生活で動く機会が
どんどんなくなり、その結果パーキンソン病の症状が加速して進行することになります。


また一方的に患者さん自ら治療を放棄してしまい、ほぼ寝たきりの状態になってしまう方
も少なからずいます。そうならないためにも、患者さんの精神的ケアが非常に重要です。


しかしどんなに頑張っても医師だけではカバーすることは出来ませんので、看護師さんの
サポートが必要で、実際に神経内科で働く看護師さんの果たす役割は非常に重要です。


患者さんも医師の先生には面と向かっていえないことも、看護師さんには心を開いて話す
場合が少なくないので、しっかりこうした話に耳を傾ける必要があります。


神経内科でも当然コミュニケーション・スキルが重要になりますが、とりわけ聞くことが
大切になりますので、忙しい合間をぬって忍耐強く患者さんと接しなければなりません。





■神経内科での看護師の仕事について


神経内科は、脳や脊髄、末梢神経、筋肉に何らかしらの障害が起こる疾患を専門的に治療
する心療科で、神経内科病棟は単独ではなく他の病棟と混合しているケースが多いです。


実際に神経内科病棟には脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、パーキンソン病、認知症など
重度の疾患を患った患者さんが入院しているわけですが、その対応は非常に難しいです。


上述した疾患の症状として、頭痛や物忘れ、吐き気、めまい、手足のしびれやふるえなど
がありながら、精神的に落ち込んでしまう患者さんが少なくありません。


ちなみに神経内科での看護師さんの仕事についてですが、診療の補助を中心に患者さんの
生活介助、リハビリ、バイタルサインのチェックといった症状の観察があります。


神経内科病棟に入院している患者さんの中には、ほぼ寝たきりの状態の方もいますので、
こうした患者さんにとって食事、入浴、排泄などの「生活介助」が非常に重要になります。


しかし、身体の自由がきかないため、体を少し動かすだけでも容易ではありません。


しかも、長期にわたって入院されている方少なくありません。こうした方は精神的に辛い
状態にあるため、病室内で他の患者さんと揉めるなどトラブルが発生することもあります。


こうした精神的ストレスを抑えるためにも患者さんの精神的なケアは非常に重要ですし、
常に患者さんの状態をきちんと把握するためにもバイタルサインのチェックは重要です。


そうすることによって、症状に異常が見られた場合は迅速に対応することができます。


また患者さんによっては、その家族に対しても何らかしらのサポートを行います。





■患者への精神的ケアの重要性について


特にパーキンソン病のような確かな「治療法」が確率されていない難病を患う患者さんの
ご家族は難病であるがゆえに周囲に相談相手がいないことの方が圧倒的に多いです。


難病ゆえに後ろめたさを感じてしまう方も多く、自分だけで何でも処理しようとします。
そうなると必然的に内向きになり、中には近所付き合いも止めてしまうケースもあります。


そうならないためにも、患者さんやご家族のサポートが非常に重要になります。


例えば入院中は患者さんのご家族は自宅での介護から解放されるわけですが、退院すると
なると患者さんの世話に再び追われることになりますので、どうしても抵抗を感じます。


ですので、ご家族に介護施設への入所に関する案内を行なうこともあります。


神経内科を訪れる患者さんの年齢層は若い世代から高齢者世代まで非常に幅が広いです。
それぞれの患者さんに合わせて接し方にも気をつけなければなりません。


上述したとおり神経内科は、一般的にはあまり知られていません。


神経内科を訪れる前に他の心療科を受診に行って、そこで医師から神経内科を勧められる
ケースが多いので、病院に対して不信感を抱いている患者さんも少なくありません。


治療を途中で放棄してしまうといったことがないように、患者さんの声に耳を傾ける必要
があります。限られた時間の中でこうしたことを行なうのは非常に大変です。





■神経内科で働くうえで大切なこととは?


最近では若い人の間で頭痛を訴えるケースが増えています。


一日中オフィスでパソコンを駆使しながら仕事をする人達がここ10年で飛躍的に増えた
こともあってか、比例するように頭痛に苦しんでいる人達が増えています。


症状の軽いものを含めると日本人の約4割程度の人が頭痛に苦しんでいます。


そのまま放置してしまうと精神疾患に発展するケースもあるわけですが、「頭痛くらいで
病院に行くのも...」と、頭痛を軽視し、治療を放棄してしまうケースが非常に多いです。


また、自ら病院に足を運んで神経内科以外の診療科を受診するも、一向に症状が良くなら
ないことから、神経内科にたどり着く前に治療を放棄してしまう方も多いです。


このため神経内科で働く看護師さんは、しっかり専門知識を身につけて、患者さんと同じ
ように苦しんでいる人達が身の回りでいないか確認してあげてください。


もしいるようでしたら、すぐに神経内科を受診するように勧めてあげましょう。