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今回ご紹介させていただく動画は、
帝京大学医学部附属病院の小林医師による
「食物アレルギー」の最新治療について
大変わかりやすく解説しています。


従来の食物アレルギー治療は、
食事を厳しく制限しなければ
なりませんでした。


人によっては成人になっても、
症状が改善されないことから、
食事制限を継続しなければならない
ケースも少なくありません。


しかし、最新の治療方法が確立された
ことによって、苦しいだけの食事制限を
行わなくても食物アレルギーが治る
ようになりました。


今回は、食物アレルギーの基本的なこと
から、実際の治療方法までを解説してます。



今回の動画も15分以上ありますので、
非常に長いですが、お時間のあるときに
ご覧いただければ幸いです。
 
 
 

 
 
 
■食物アレルギーとは?


「佐々木梓さん」

食物アレルギーは特に子どもたちの発症が
多く、子育て中のお母さんは心配ですね。


食物アレルギーには
最近注目されている治療法があり、
目覚ましい成績を上げているといいます。



「ナレーション」

食物アレルギーは、
年齢が低いほど多く発症し、
厚生労働省の全国調査では、
乳児が10%、三歳児が4%から5%、
学童期では2%から3%を
占めていたといいます。



「小林茂俊医師」

食物アレルギーとは特定の食物を摂取した
ときに、身体の中に免疫の反応が起こって
それによって皮膚、呼吸器、消化器などに
症状が出ることをいいます。


私たちの体にはウイルスや細菌が体の中に
入ってきた時にそれと戦う免疫という
システムが備わっています。


ところが通常なら栄養となるはずの食物が
体の中に入ってきた時にも免疫が過剰
に反応してしまうことがあります。


これを食物アレルギーといいます。


いわば免疫系の暴走ともいうべきものです。


皮膚に湿疹ができるアトピー性皮膚炎は
食物アレルギーと関係してると思ってる
方が多いかと思います。


でも実際は必ずしもそうではありません。


子供さんが小さいときには
食物アレルギーやアトピー性皮膚炎に
関係することがありますが、大きくなるに
つれてあまり関係が無くなってきます。


ですからアトピー性皮膚炎と
食物アレルギーは同じものではありません。



「佐々木梓さん」

ときには命にかかわるような
激しい症状が現れる
食物アレルギーは
お子さんにとっても、
親御さんにとてもつらく、
気が抜けませんね。


そこで今回は
食物アレルギーを克服できる
治療法について見ていきます。




■食物アレルギーの原因とは?


「ナレーション」


食物アレルギーの最新の治療法を
研究する帝京大学医学部付属病院小児科、
小林茂俊医師。食物アレルギーは、
もはや怖い病気ではないことを
知ってほしいといいます。



「佐々木梓さん」

食べ物でなぜアレルギーが
起きるんですか?。



「小林茂俊医師」

小さいお子さんは免疫系、
腸管といった臓器がまだ未熟である
ことが関係してきます。


腸管が未熟だと食物を十分に
消化しきれません。


消化しきれていない食べ物は
直接身体の中に入ってくると、
それに対してIgE抗体という
抗体ができることがあります。


このIgE抗体が食物アレルギーの
反応の引き金となるんです。




■なぜ小さな子供に起こりやすいのか?


「ナレーション」

異物に対して作られる抗体は
免疫グロブリンIgと呼ばれる蛋白です。


その免疫グロブリンにはANGDEの5種類が
このうち一般のアレルギーを引き起こす
抗体は免疫グロブリンのEに属し、
IgEといいます。


人の免疫機能は体に入ってきた
細菌やウイルスなどの異物を見張り役
の白血球が飲み込んで有害か
どうかを判断します。


ここで有害物質を判断すると白血球の一種、
ヘルパーT細胞にその情報を伝え


攻撃するための抗体を作るよう
ヘルパーT細胞がb細胞に
指令を出します。


こうして大量に作られた抗体が
体中で異物にくっついて攻撃し
、取り除いているのです。


一方、食物アレルギーは乳児の未成熟の
腸管から吸収され、未消化の食物成分に
対して、白血球はその食物成分を異物
だと判断してしまい、その情報を
ヘルパーT細胞に伝えます。



ヘルパーT細胞は、b細胞に抗体を
作るよう指令を出します。


こうして食物成分を攻撃すると
IgE抗体ができますが


IgE抗体は食物成分を直接攻撃せず、
身体中の粘膜にあるマスト細胞の表面に
くっつきますと、そのあと、このIgE抗体
が食物成分と結合すると、マスト細胞から
アレルギーを引き起こす化学物質放出され
てアレルギー反応が起こるのです。



「小林茂俊医師」

このように体には体内に入ってきた異物を
取り除くシステムが備わっていますが、
通常は食物に対しては反応しない
ようになっています。


これを免疫学的寛容といいます。


小さいお子さんは、この免疫学的寛容が
うまく働いていないことが多いのです。


そのために食物を排除してしまう
反応が起きてしまいます。




■アレルギーの原因になる食べ物とは?


「佐々木梓さん」

アレルギーの原因になる食べ物には、
どんなものがありますか?



「小林茂俊医師」

アレルギーの原因となるものを
アレルゲンといいます。



年齢にもよりますが、卵、牛乳、
小麦といった一般的な食品が
アレルギーの原因となります。



しかし、アレルゲンは食習慣
によっても変わってきます。


最近、イクラを食べる小さいお子さんが
増えてきましたが、そのために、イクラに
対するアレルギーが増えてきています。



「ナレーション」

全年齢におけるアレルギー原因食物の
調査では、鶏卵が三38.3%乳製品が
15.9%、小麦が8.0%となっていて
この鶏卵、乳製品、小麦が三大アレルゲン
と言われています。


そのあと甲殻類、果物類、そば、
魚類と続いています。




■食物アレルギーの症状とは?


「佐々木梓さん」

食物のアレルギーは
どんな症状が出るんですか?。



「小林茂俊医師」

アレルギーとして一般的なものには
即時型アレルギーというものがあります。


このアレルギーは食物を食べてから
短時間の間に症状が出ます。


症状が出る場所は皮膚、消火器、呼吸器
など多岐にわたります。


皮膚には、湿疹、蕁麻疹、
皮膚が赤くなる、かゆくなるなどの
症状が出ることがあります。


消化器には口の中の違和感、
お腹の痛み、吐き気、下痢などの
症状が出ることがあります。


呼吸器症状としては、咳、ぜーぜーする、
のどが苦しくなるなどがあります。


特に注意をしなければいけないのが
アナフィラキシーショックと
言われるものです。


アナフィラキシーショックでは、
強い症状が全身に出てショック
状態に陥ります。


冷や汗が出たり、意識障害おこったり、
血圧が下がったりします。


そのような状態になると生命に
危険が及ぶ場合もあります。


即時型アレルギー以外には
食べ物によって湿疹が悪化する
アトピー性皮膚炎もあります。



「佐々木梓さん」

様々な症状が出て、
みんなと同じものが食べられない
食物アレルギーでも最近は治すことが
できるようになってきたといいます。


その治療法を見てきますが、
その前にこのコーナーです。




■IgE抗体の働き


「ナース」

ドクター、今回はアレルギーを起こす
IgE抗体の働きについてですね。



「ドクター」

そう白血球が食物成分を異物と判断すると
その情報をヘルパーT細胞に伝える。


ヘルパーT細胞はb細胞に
その異物に対する抗体を作るように
促すことが分かったね。



「ナース」

はい、ヘルパーT細胞に促されて、
b細胞が作り出したIgE抗体は、
そのまま異物と戦わずにマスト細胞
にくっつくんでしたね



「ドクター」

そのとおり、通常の免疫機能では
作られた抗体は直接遺物と戦って
排除するけれど


アレルギーを引き起こすIgE抗体は
直接戦わず、鼻や皮膚の粘膜や気道に
近いところにあるマスト細胞のところに
向かって、その表面にぴったりと
くっついてしまうところが違うんだ。


マスト細胞に、IgE抗体の働きが
くっついただけなら何も起こらないけれど
やがて同じ種類の抗原が入ってくると
マスト細胞の表面のIgE抗体にはまって
驚いたマスト細胞は内部に抱えている
ヒスタミンやロイコトリエンという
化学物質を吐き出し始めるんだ。



「ナース」

その化学物質がいろいろなところで
アレルギーを起こすんですね。



「ドクター」


そうだね。この化学物質は
マスト細胞の周りにある粘膜や気道を
攻撃して炎症を起こす。


それがどこで起こるかによって
様々な症状が起きるんだね。



「ナース」

アレルギーは免疫反応の暴走を
起こすんですね。



「ドクター」

そのとおり。




■食物アレルギーの診断について?


「佐々木梓さん」

食物アレルギーの
診断はどのようにするのですか



「小林茂俊医師」

食物アレルギーの診断で
一番大事なことは、問診です。


家族などから詳しく話を聞きます。


例えばどんな食べ物を食べた後に症状が
起こったのか、食べ物を食べたあと
どのくらいの時間で症状が出たのか、
家族にアレルギーの方がいるかなどと
いった情報を丁寧に丁寧に聞き出します。


問診の結果アレルギーが疑われると、
血液の検査などを行います。


もっともよく行われる検査は血液の中の
IgE抗体を調べる検査です。


ただし、ここで注意を
しなければいけないのは
IgE抗体が陽性だからといって、
必ずしも症状が出るとは限らない
ということです。


他にもヒスタミン遊離試験
というものがあります。


血液検査の他にもプリックテストを
はじめとした皮膚テストという
ものがあります。


皮膚に小さな傷をつけて、
アレルゲンを染み込ませそこで
どのような反応が起こるかを観察します。


皮膚テストが陽性でも必ずしも症状と
一致するわけではないことに
気をつける必要があります。



「ナレーション」


正確な診断をする試験には直接食べ物を
食べて調べる食物負荷試験があります。




■食物アレルギーの検査について?


「小林茂俊医師」

食物負荷試験では、最初ほんの少しだけ
食べ物を食べさせて時間ごとにだんだんと
食べる量を増やしてきます。


そしてどういう症状が出るかを観察します。



「ナレーション」

食物アレルギーの診断は患者と
家族からアレルギー情報を聞き出す
ことから始めます。


アレルギーが疑われた場合、
血液の中のIgE抗体の働きを調べたり、
皮膚にアレルゲンを染み込ませて
反応を見たり、食べ物を少しずつ食べて
観察することで正確な診断を行うのです。




■食物アレルギーの治療法とは?


「佐々木梓さん」

食物アレルギーの治療法は
どんなものがありますか?。



「小林茂俊医師」

食物アレルギーの治療の手法は
正しい診断のもとに必要最小限の
食物除法を行うことになります。


検査で陽性だからといって、
直ちに食物制限を行う必要はありません。


ただ、食べ物によっては少しずつ
慣らしことができます。


症状が出ない程度の少量食べる
ことによって体の免疫機能を
徐々に慣らしていくんです。


この慣らしていく治療はここ10年
様々な病院で試みられています。


特にその中でも卵、牛乳、小麦などに
対する治療方法はだんだんと経験が
蓄積されてきています。



「ナレーション」

この食べて治す治療法の考え方について
ですが、人の体にはだんだん慣れていく
というシステムが元々備わっています。


そのシステムが働くように
少量ずつ食べることで免疫機能を
成熟させながら誘導すれば、


そのシステムが成長してアレルギーを
起こさないで食べられるように
なるというものです。



「小林茂俊医師」

このようにゆっくり食べて治す治療法を
緩徐経口耐性誘導法といいます。


この他にも二週間程度入院して急速
に治すという方法もあります。


これによって、今まで食べられなかった
子供たちがどんどん食べられるよう
になってきています。


非常に素晴しい方法といえると思います。



「ナレーション」

この少しずつ食べて、
食物アレルギーを治すという
緩徐経口耐性誘導法は現在、
全国で行われていて、
どこでも非常に良い結果が
出ているといいます。


ただし、この方法は症状が出る
可能性がありますから医師の指導
のもとに行う必要があります。


親御さんが自分の考えで、
この方法で行ってはいけません。


食物アレルギーは決して悲観すべき
病気ではありません。


厳密な制限をしていると、
かえって食物アレルギーが
治らない場合もあります。


もっとお子さんの体の能力を信じて、
少しずつ少しずつ体を慣らす
ことが大切です。


他の子供たちが食べているのに
自分のお子さんだけ食べられない
という事はつらいことです。


また食べ物制限するということは
家族に対する負担も大きいです。

ですから是非とも食物アレルギーは
治してあげたいと思う病気です。


すこしずつ食べて、なれる方法を
開始するとご両親のお子さんの顔が
だんだん明るくなってきます。


それは未来が見えるように
なってくるかです。


未来が見えることと言うことは
治療にとって大きなプラスとなります。


食物アレルギーは、油断する
病気ではありません。


慎重に扱うものですだからとして
決してあきらめるものでもありません。


攻めの気持ちになって、
こどもの能力を信じて食物アレルギーを
積極的に治して行きましょう。



「佐々木梓さん」

アレルギーを起こす食べ物を食べて
治すという積極的な攻めの治療法は
どれも良い成績を上げている
ということです。


食物アレルギーで苦しむ子供たちの
未来に明るい光が見えてきたようですね。




今回の動画はここまでとなっています。


特別な薬物療法を行なうのだとばかり
思っていたのですが、意外と原始的な方法
だったので、驚きました。


幼児期に食物アレルギーを改善することが
できれば、食事の問題から解消されるので、
親子でも助かりますよね。


これから食物アレルギーで苦しむ人たちが
飛躍的に減ることを願ってやみません。