今回ご紹介させていただく動画は、
ユマニチュードについての動画です。
ユマニチュードは、フランスで開発された
認知症ケアの新しい技法です。
医療や介護の現場で認知症患者さんが、
大声を上げたり、攻撃的になったり、
徘徊するケースが少なくありません。
しかし、ユマニチュードの技法を利用
して接すると、次第に心を開いてくれます。
開発者のロゼット・マレスコッティさんが、
実例を交えて丁寧に解説します。
医療や介護の仕事に携わっている人だけでなく、
幅広くユマニチュードを知っていただきたく
文字起こしさせて頂きました。
6分程度の動画ですので、お時間のあるときに
でもじっくり見ていただければ幸いです。
■ユマニチュードとは?
こんにちは。
みなさんお元気ですか?
みなさんこんにちは。
こちらはイヴ・ジネスト
そして私は、ロゼット・マレスコッティです。
私たちはユマにチュードの哲学並びに
ジネスト・マレスコッティ・ケア・メソッドの創始者です。
今日はみなさんとご一緒させていただき、
アルツハイマー病についてお話を致します。
私たちの目的は、介護者であるみなさんに、
この病気が何であるかを理解していただき、
皆さんが愛している方々に対して、
いかに軽やかに、思いやりをもって
介護ができるかを知っていただくことです。
もうひとつおばあちゃんの問題点は、
私が同じことを10回も言っているのに、
ずっと繰り返し続けても、
耳が不自由なわけではないのに、
何度言っても理解してくれないのです。
だから、私もどんどんイライラが募って、
しまいには、彼女の腕をつかんだり
してしてしまいます。
そうすると、当然、
彼女が激怒するのです。
これは問題になる典型的なケースです。
まるで、皆さんの声が聞こえていない、
あるいは、皆さんが近づいても
見えていないかのようです。
しかしながら、これは、資格や聴覚に
問題があるのではありません。
これは恐らく、
第一次記憶のフィルターか、
あるいは第一時記憶の注意分散力
に原因があるのです。
いくつか具体例の映像を
お見せいたしましょう。
■ユマニチュードの実例(1)
看護師
「私は研修を受けて
やっと気づきました。
私が彼女の正面に立ち、
彼女の視野に入るまで、」
看護師
「ピション夫人は反応して
くれなかったのです。」
看護師
「この位置で話しかけると、
ピション夫人は答えてくれます。」
看護師
「ピションさん。
今日の調子はいかがですか?」
ピション夫人
「ありのままのあなたを受け入れるわ」
看護師
「ありのままの私を?嬉しいです。」
看護師
「私はどんな風に見えますか?ピションさん。」
ピション夫人
「元気。」
看護師
「元気そうですか?
顔を上げて下さい、私を見て下さい。」
看護師
「ピションさん。
貴方の美しい目を見せて下さい。」
ピション夫人
「今朝よりも良くなっているみたい。」
看護師
「今朝よりも良いですか?
そうですね、」
看護師
「ピションさんも
今朝よりも調子が良さそうですよ。」
■究極の優しさで患者を癒やす
ご覧の通り、
彼女は何か他のことに気を取られていて、
私の存在に気づいていません。
従って、こちら側からアプローチすると
彼女を激しく驚かせてしまう
危険性があります。
それに加えて彼女は隣で話していても、
私の声が聞こえていません。
私が存在しないも同然なのです。
人間関係上の聴覚障害です。
ですから彼女を迎えに
行かなければならないのです。
ほら。こうです。
こうすると、今は、
あなたには私が見えますよね。
あなたとの人間関係を
成立させるためには、
いつもあなたとの視線を
とらえなければならないのです。
話しかける前に。
トマトを食べている
この女性を見て下さい。
このトマトにはパセリが
かかっています。
彼女はていねいにパセリを
取り除いています。
なぜ彼女は
パセリをこれほどまでに
ていねいに取り除いている
のでしょうか?
それは、彼女にはパセリが
コバエに見えるからかもしれません。
いずれにしても、
彼女はパセリが認識できないのです。
この女性は、昔から
パセリをかけたトマトを
食べていましたので、
パセリが嫌いな
わけではありません。
ただ、パセリが正しく
認識できないのです。
このVTRの続きがあります。
トマトを洗って出すと、
この女性はパセリのかかっていない
トマトを問題なく食べます。
だから私たちは、ユマニチュードと
名づけたテクニックを開発しました。
究極の優しさの技法です。
この環状の絆を維持することを
可能とする技法です。
なぜならば、思い出して下さい、
人間同士をつなぐのは、
知性ではありません。
美しさでもありません。
感情と感情のつながりなのです。
ロゼットと私は断言します。
ユマニチュード的に
人と人を繋ぐ前向きな感情は、
最後まで維持できるのです。
■ユマニチュードの実例(2)
ロゼット
「プリュネルさん、
おやつは食べましたか?」
ロゼット
「ありがとう。
ありがとうございます。」
ロゼット
「洗ってくれているんですか?
肩にブラシをかけてくれるんですか?」
女性
「あなたが好きです。」
(看護師に)今「事前準備」
と呼んでいる段階にあります。
始める前に30〜40秒間
共に過ごすのです。
そうです。
こちらにお願いできますか?
ゆっくりと。十分な高さまであげます。
(看護師に)ヴィルジニー、
この方の掛け布団を少しはぎます。
お布団少しとりますよ。
あらあら、随分拘縮が強いですね。
私の手でそっと優しく触れます。
(看護師に)これが、私たちが
「五感を使って心をつかむ」と
呼んでいることの一部です。
(看護師に)決してつかんでは
いけません。決して。
(看護師に)必ずそっと下から通します。
5歳の子供以上の力はいれません。
(看護師に)私の手を
彼女の肩の上に起きます。
ゆっくりと腕を広げて下さい。そうです。
(看護師に)ほら、ヴィルジニー。腕が開きます。
5歳の子供以上の力は入れません。
(看護師に)5歳の子供の力で。
自身を持って。全てが開きます。
そうです。しっかり腕を延ばして下さい。
身体を洗うのは、腕を伸ばした後です。
そうです。さあ、腕を伸ばして下さい。
ゆっくり、ゆっくり。
ブラボー。素晴しいです。
自然に開きます。
そうです。優しく押しますから、
ゆっくりと開いて下さい。
ここの内側を撫でます。
そうです。いいですよ。
手をとって下さい、マダム。そうです。
(看護師に)
決して無理強いしてはいけません。
指1本、2本、3本。
(看護師に)
いかに簡単に開くか分かりますか?
こんなふうに開いたことはありますか?
看護師「いいえ、一度も。」
(看護師に)
今までありませんでしたよね。
でもたった1分で出来ました。
(看護師に)
こうなると、保清も簡単にできます。
デュボワさん。
身体を洗い始めてもよろしいですか?
女性「ええ。」
いいですか?では始めましょう。
動画はここまです。
殘念ながら同作品のDVDは既に完売となっており、
今のところ再発される予定はないようです。
同作品を翻訳された本田美和子さんの著作として、
以下の作品があり、昨年発売されています。
ユマニチュード入門 [ 本田美和子 ]
ユマニチュードは、
医療や介護に携わっている方だけでなく、
高齢者の方々と接する機会のある
すべての皆様に知っていただきたい
大変優れたメソッドです。
いつもほんとうにありがとうございます。
ぜひブックマークをお願い致します。
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