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■患者さんの怒りの原因とは?


時代の流れからか、多くの病院が社会的規範やモラルなどを守るためにコンプライアンス
を厳格化したにもかかわらず、殘念ながら患者さんとのトラブルは年々増加しています。


皮肉にも病院と患者さんの距離がより遠のいてしまうこととなり、患者さんの病院が提供
する医療サービスに不満がかえって高まることとなり、クレームの数が激増してます。



患者さんの怒りを爆発させてしまう主な要因として以下のものがあります。


(1)長い待ち時間

(2)不自由な入院生活

(3)病室の環境(臭い、気温、窮屈な集団生活)

(4)医師や看護師の説明が人によって異なる

(5)担当者が突然変更

(5)病院側の対応(診療計画やケアプランを突然変更)

(6)職員の態度・対応の悪さ

(7)検査結果などへの不満

(8)処置やケアに対する不満



患者さんの健康状態、精神状態も怒りを爆発させる大きな要因としてあげられます。


元々病院はクレームが発生しやすい所なんですが、昔は医師の威厳が今では考えられない
くらいありましたが、1990年代以降医師の威厳や信頼が年々低下しています。


昔は医師の言うことが絶対でした。特にベテラン医師の威厳は凄かったので、治療や手術
に関する説明に対して患者さんが意見するということは考えられませんでした。


今では医療ドラマや医療ドキュメンタリーの影響からか、クレームとまではいかなくても
自分の要望や意見を述べる患者さんが多いので、余計に時間を削られることになります。


悲しいことに医療技術が上がっても、患者の満足度は下がっている状況が続いてます。





■クレーム対応の難しさとは?


患者さんからのクレームに対して、段階別にしっかり対応出来るように「クレーム対策」
を行っている病院は意外にも少なく、全体の3割にも満たない状態です。


一応気休め程度にマニュアルを作成している病院が半数程度にとどまっています。


ですので、対策を行っていない半数以上の病院で働くとなると、クレームが発生した場合、
従業員自らが対応し、ことを収めなければならないので、従業員の不満が高まります。


病院に対する不信感が職場全体に広がるので、従業員の士気も下がります。


そして、クレームを入れる患者のタイプですが、「患者トラブルを解決する技術の」著者
である屋内康彦氏いわく、大きく分けて以下の3つに分かれます。


(1)モンスターペイシェント

(2)ハードクレーマー

(3)クレームをつける普通の患者



モンスターペイシェントとハードクレーマーは、マニュアルでは到底対応できないレベル
のクレームをつけてくる人達です。理不尽な要求、暴力、威圧を繰り返します。


また、院内トラブルとして多いのは以下の通りです。


(1)身体的暴力

(2)暴言

(3)セクハラ


殘念ながらこういった問題が減少する可能性は低いので、病院側がきちんと対策を行って
いるかが、非常に重要になりますので、就職・転職するさいは、この点も確認しましょう。





■患者さんとのトラブル


病棟勤務の看護師さんは、患者さんやご家族にとって最も身近な存在です。


一般的に親しみやすいイメージがあるので色々と相談を受けると思います。


例えば医師の先生には言いにくいことも、女性の看護師さんであれば、言いやすかったり
するので、あれこれ色々なことを聞かれることが多いですよね。


看護ケアを行うだけが看護師さんの仕事ではありません。


こういった何でもないことが実は非常に大事だったりします。


なぜなら患者さんは、入院中に様々なストレスを受けています。


そういった状況にありながら病気に対する不安だけでなく、仕事や家族に関する心配ごと
など、本当に色々な悩みを抱えています。中には深刻なものもあります。


しかし残念ながら病院ではストレスを上手に解消するために手段が少ないです。


ストレスが蓄積され続ければ精神的に不安定な状態に陥ります。


すると次第にストレスのはけ口を求めます。


そういったときに犠牲になりやすいのが看護師さんです。看護師さんにあたる患者さんも
残念なことに少なくありません。大きなトラブルに発展することもあります。





■トラブルを隠そうする病院側の問題とは?


看護師さんに酷い暴言を吐いたり、無視するといった嫌がらせもあります。


主治医の前では非常に温厚で素直に振る舞う人でも、看護師さんに対しては酷い仕打ちを
するケースも少なくないので、接し方については十分注意が必要です。


入院中は何かとストレスが多いことから、患者さんも非常に辛い立場にありますので、
患者さんのクレーム(怒り)を受けとめなければならない人は本当に大変です。


言葉だけでも辛いですが、激高しすぎて物を投げてきたり手をあげたりします。


暴力は「 傷害罪 」になりますので、警察に通報するケースもあります。


病院で働く従業員が患者さんに手を上げれば大問題となます。


最近はよくニュースで報じられることもあります。しかし、逆に患者さんが看護師さん
に暴力を振るったからといってニュースになることはほとんどありません。


そういった問題が発生した場合は、速やかに通報したほうが良い場合もありますが、
病院側がトラブルが大きくなることを極度に恐れて通報しないことのほうが多いです。


ですので、結果的に看護師さんだけが苦しむことになります。





■トラブルが起きたら一人で抱え込まずない!


長期間に渡って入院している患者さんとのトラブルに耐えられず、「退職」にまで追い込
まれてしまうケースが少なくありません。これではあんまりです。


患者さんとのちょっとしたトラブルが大きな問題に発展しないようにするためにも、
一人で問題を悩み抱え込まないで、すぐに看護主任・看護師長に相談しましょう。


遠慮して自分だけで解決しようとしてはいけません。自分を正当化するためにも、周囲の
人たちを巻き込んで現状を知ってもらう必要があります。


まずその患者さんの担当を外してもらえるように相談しましょう。


それだけで、精神的な負担も軽くなります。


また患者さんとのトラブルは看護師さんだけの問題ではありません。


患者さんの治療においても「悪影響」を及ぼします。


そして、それでも解決しない場合は、主治医や看護部長にも相談しましょう。


円満解決するためにも早い段階で相談する必要があります。


もし、全く取り合ってくれない場合、病院内でのトラブルの弾除けのようにされてしまい
ますので、そうならないためにも一日も早くその病院を離れなければなりません。


上司に退職をちらつかせるのも一つの手段です。そうしなければ誰も動いてくれません。
悩みを相談しやすい環境にするためにも、他の職員の悩みを聞いてあげてください。