■看護師さんは休みが取りにくい?
労働者の一つの権利として「年次有給休暇」があります。一般的には「有給」といった
言われ方をしていますが、年次有給休暇は1年ごとに毎年一定の日数が与えられます。
そして、いわゆる正社員だけでなく、アルバイトやパートとして働いている場合でも、
一定の条件を満たしていれば年次有給休暇(以下有給)を取ることができます。
日本の有給消化率は、先進国の中ででは毎回最低で、不動の地位にあります。
一般の病院で常勤で働いている看護師さんの「有給消化率」は、一般の会社に勤務して
いるサラリーマンよりもかなり低いので、休みが取りにくいと判断できます。
しかし有給は看護師さんが取得できる当然の権利です。法律では看護師さんが病院側
に有給休暇を申請すれば、「 休むことを拒否できない 」と定められています。
■看護師さんの有給消化率は50%未満
基本的に有給は、半年以上勤務すれば10日間以上、その後は毎年1年ごとに
有給休暇日数は増加し、最大年間20日間以上の有給を取得することができます。
しかし残念がら現状では看護師さんの「有給消率」は、50%を割り込んでいまして、
2000年初頭までは、40%に達していないくらい酷い状況にありました。
つまり当然の権利である有給休暇を取らないまま無効になっているわけです。
一般の会社でも同じような状況になっていまして、1990年代前半までは国が積極的
に休みを取るように指導した甲斐あって、60%台を目指す水準にまで上昇しました。
しかし、バブル崩壊後は45%〜50%の間を行ったり来たりしている状況にあります。
■なぜ有給が取りにくいのか?
看護師さんが有給を取りにくいと感じている最も大きな理由として、「職場の上司が、
従業員が有給を取るのに協力的ではない」ともっとも多く回答しています。
これは医療機関だけでなく、他の業界や職種でも似たような状況にあります。
職場の長がまったく有給を取得しない方の場合、より有給が取りにくいようです。
また看護師さんの仕事は勤務シフトが特殊であるため、仮に有給休暇を申請をしても、
有給ではなく普通の休日休暇となってしまうケースも非常に多いです。
これは勤務シフトを作成する病院側が、有給を消化という形ではなく、有給を申請した
看護師さんを休日扱いにすることにより、病棟のシフトを作成しようとするためです。
■いまだに色々な制限がある?
そして、こうしたお休みの「申請方法」については、病院によって色々な規制が設けら
れていまして、例えば週1日まで、月1回までといった形で制限されます。
また実際の「慶弔休暇」よりも、早く仕事に戻ってくることを強要されたりするので、
現状では休日休暇以外の休暇が増えないような、風習も根強く残ってます。
ですので、転職するのであれば、有給消化率や有給の申請方法についても、しっかりと
調べる必要があります。そうしなければ休みにくい職場で働き続けることになります。
また今の職場で働き続けたいと考えているのであれば、一人で状況改善を求めてもダメ
です。職場の同僚としっかり話しあった上で、上司の方に訴える必要があります。
単に言葉で伝えても、上に報告しにくいので、レポートにまとめてください。
そうすると上司の方もそれをたたき台として上に報告しやすいです。
また、そのさいの注意点ですが、一方的に要望を書き綴っても受入れられません。
必ず有給を取りやすい環境に改善することにより、職場にあたえる良い影響(業務効率
が改善する理由など)を分かりやすく書き添えて下さい。
■職場に不信感を抱いたら?
病院によって働きやすさの「 格差 」が確実に広がってます。事実病院によっては、
125日以上休めるところがある中で、105日を切るところもあります。
どんなことをしても状況がまったくといっていいほど改善されないのであれば、将来的
に、さらに働きにくい職場環境になる可能性が高いので、注意が必要です。
具体的には人が減り、一人当りの負担がさらに増えるといった具合です。
もしも勤務先の病院に対して「強い不信感」があるのであれば、転職することも念頭に
置きながら看護師転職サイトのキャリアコンサルタントに相談してみましょう。
適切なアドバイスだけでなく、将来的なキャリアプランも一緒に作成してくれます。