■デイサービスでの医療行為について
基本的に看護師さんが医療行為を行うためには医師の指示がどうしても必要になります。
これはデイサービスのような施設であっても、病院でも変わりありません。
例えば「摘便」は、患者さん(利用者さん)自然排便ができないときに行なう立派な医療
行為であるため、これまで何度も経験していたとしても、医師の指示が必要になります。
ディサービスの利用者さんの中には、便秘で苦しんでいる方が少なくありません。
便そのものが非常に固いため、排便するさいに、力みすぎてそのまま意識を失ってしまう
ケースもよくあります。こうした利用者さんにとって排便すら命がけなんです。
基本的に大型施設を除いてデイサービスの施設内に医師が常駐していることはありません。
嘱託として働いているケースが多いため、連絡を取り合いながら対応することになります。
利用者さんの身に何らかしらの問題が発生した場合は、看護師さんが適切な処置を行なう
わけですが、一刻を争うような状況であっても、医師に指示を仰がなければなりません。
あまりにも便がお腹の中で溜まり過ぎると腸内が腐ってしまいますので、場合によっては
施設内で浣腸するのですが、排便のさいに脳梗塞が発症してしまうこともあります。
便秘が酷い場合は急病扱いにし、医師に指示を出してもらったうえで、浣腸をすれば何ら
問題ありませんが、何も確認せずに浣腸してしまうと、大問題に発展します。
摘便や浣腸程度なら医師の指示がなくても看護師さん自らの判断で行えると利用者さんや、
ご家族は思っていますので、その点に関しても理解を求める必要があります。
そうしないと何らかしらの問題が起こったさいに「対応が遅かったから、こうなった」と、
責められます。そうならないためにも看護師としての役割を自ら伝えなくてはなりません。
また利用者さんのご家族が自宅で摘便や浣腸を行なう分には何ら問題がないので、注意点
などアドバイスを求められることもありますが、その点に関しては問題ありません。
■毎回主治医に指示を仰ぐ必要性について
看護師さんが利用者さんに対して医療行為を行う場合、必ず医師の先生の指示に従わなけ
ればならないので、常に医師と連絡を取り合いながら事を進めていく必要があります。
仮にデイサービスの仕事に慣れても、独自の判断で医療行為は行なうことができません。
利用者さんの身に何かあれば、すぐに医師の先生に連絡を取らなければなりません。
しかし、多くの医師が他の仕事と兼務しているので、時には連絡を取るのも一苦労です。
デイサービスの利用者のほとんどが高齢者であるため、何らかしらの持病を持っている人
が少なくありません。施設内では突発的に発作がおこったりすることもよくあるあります。
このため、臨機応変に対処しなければならいので、事前に利用者さんの身に起こりうる、
あらゆる事態を想定したうえで、医師の先生としっかり話し合う必要があります。
また、指示を仰ぐ際のルールを明確化しておくといいでしょう。そうしないと毎回はじめ
て指示を仰ぐかのようなことになってしまうので、医師の先生もこまってしまいます。
ですので、主治医と良い関係を築き上げることが非常に大切な仕事となります。
とはいっても、人間には相性がありますので、中には意地悪な人も少なくありません。
しかし、好き嫌いを超えて仕事に取り組まなくてはなりません。
そうしないとデイサービスの利用者の健康と安全を守ることはできません。
■今後さらに厳格化が進む?
「主治医の指示」の必要性については、以下のとおりとなっています。
デイサービス(通所介護サービス)を行う上で必然的に生じる「 診療補助行 」ために
主治医の指示を得る必要があります。(医師以外に医療行為が行えないため)
介護サービス計画に位置づける際、介護支援専門員は居宅療養管理指導や情報提供料に
よって正しい情報を得て、サービス提供事業所にしっかり伝えることが必要です。
デイサービスを運営する側は、常に利用者から診断書の提出を求めています。
デイサービスでは「診療補助行為」については主治医の指示を得る必要があります。
ケアプランの作成時に介護支援専門員は居宅療養管理指導や情報提供料によって情報を
得たのであれば、「サービス提供事業所」にきちんと報告しなければなりません。
どの施設も人材不足に苦しめられています。このためどうしても目が行き届かないときも
あって、そうしたときに運悪くトラブルが起こることがあります。
だからといって、許されることではないので気をつけなければなりません。
これまで以上に厳格化される可能性が高まっています。
もっとも、病院でも看護師さんは、医療行為は行うことは認められていません。
しかし、常に医師と連絡を取りやすい状況の中で働いているので、それほど不都合なこと
はおこりませんが、デイサービスでは医師の先生が常駐していないケースが殆どです。
このため医師と連絡が取りにくかったりするわけですが、それだけではありません。
医師の先生の中には優柔不断でいい加減な方も少なからずいます。
もし、主治医がそういったタイプの方だと、利用者さんとそのご家族、ケアマネージャー
の板挟みになって、色々と嫌な思いをすることもありますので、注意が必要です。
先読みしながら、行動しないと失敗を押し付けられることになりかねません。
そうならないためにも、自ら率先して連絡を密にする必要があります。