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■業務上の問題で看護師さんが解雇されてしまうケースとは?


看護師さんが解雇されてしまうケースは本当に稀です。


しかし、ご存知の通り、多くの医療機関で「人材不足」に苦しめられています。


このため職場全体に余裕がまったくといっていいほどありません。


そうなれば看護師さん一人一人に大きな負担がかかり、ストレスばかりが大きくなります。心に余裕がなくなれば職場での人間関係の問題もより深刻なものとなります。


そうするとどうしても心が病みやすくなってしまうことから、人によっては「うつ病」を患ってしまいます。そうした過酷な状況の中で毎日激務をこなしています。


ですので、どうしても業務上のミスが生じやすくなってしまいます。


そうなればトラブルに発展することも少なくありません。


一人の従業員を責めることはできませんが、その責任を取らなければなりません。


このように責任を取る形で解雇となるケースは少なからずあります。


しかし、問題を放置し続けた病院側にも多少なりとも問題があります。




■解雇の正当性について


昔は病院に限らず一般の会社でも経営者は今では考えられないほどワンマンな人が多く、気に入らない人は怒鳴って有無を言わさず止めさせるケースも少なくありませんでした。


今ではこうしたことができません。「愛のムチ」などと称して暴力を振るったりしたら、それこそ大変なことになります。裁判沙汰云々の問題ではありません。


そうした傍若無人な振る舞いはあっという間に世間に知れてしまう時代なんです。


その地域の人たちから目をそむけられるようになれば、病院経営は成り立ちません。


今ではスマホにも高性能なICレコーダーと同等の機能がありますから、従業員に録音されてしまうと証拠として残るので、裁判沙汰となれば、ほぼ間違いなく敗訴します。


雇用する側とされる側の関係は以前よりも陰湿なものになっています。


ですので、求人を探す場合は病院の評判は必ず調べましょう。中には根拠の無い誹謗中傷もありますが、その判別くらいは情報を調べ進めていくうちに分かります。




■経営側に問題を押し付けるのも問題


病院側からすれば「業務改善」に関する努力は常に行っていると考えています。


訴訟リスクが年々拡大しているので、それ以上にコンプライアンスを強化します。


ですので、より締めつけが厳しくなるわけですから、従業員は反発します。


職場での仕事がよりやりにくくなるわけですから、ある意味当然ですよね。


医療現場の最前線で働く看護師さんたちは「我慢の限界」をとっくの昔に超えているので、上司を超えて経営陣に業務改善を訴えかけることもしばしば見られます。


このためどこの病院でも経営する側と雇用される側の問題があります。


病院の経営側も従業員の中に色々と問題を起こす人に頭を悩まされています。


こうしたことから、病院でも解雇したい人間が少なからずいるようです。





■解雇の種類について


経営陣も相当頭を悩ませているわけですが、解雇には以下二つの方法があります。



【普通解雇】

日本国内には8000以上の病院があり、その半数以上が赤字経営とされています。


それくらい病院の経営は難しい状態にあります。


特に2006年度に可決された「医療改革制度」によって、「診療報酬」が大幅に削られることとなり、病院経営がさらに厳しい状況へと追い込まれることになりました。


最悪の場合「資金繰り」がどうにもならなくなり、病院を存続させるためには、取引先の銀行から追加の融資を受けなければなりませんが、それすら難しい状況です。


運良く追加融資を受けられても、その条件として、大幅な「経費削減」を求められます。


病院を経営するうえで最も大きな経費は人件費です。


このため従業員のリストラを余儀なくされます。


こうした場合は看護師さんも対象となり、辞めてもらうことになります。


いきなりリストラに踏み切るケースよりも、最初は病床の数を減らすなどして、事業規模を縮小します。その時点で余剰となってしまった人員を解雇していきます。




【 懲戒解雇 】


病院内で発生したトラブルの原因を作った張本人を解雇します。


トラブルといっても、ちょっとした仕事上のミスの類ではありません。例えば病院の備品やお金を横領したり、患者さんに暴力を振るうなど、犯罪行為に近いトラブルです。


犯罪とまではいかなくても、勤務態度が目に余るくらい悪い場合も解雇となります。


例えば毎日遅刻したり、患者さんのクレームに誠意を持って応じるどころか、暴言で返すような看護師さんを雇用し続けることは病院の信用を落とすことになります。


当然のことながら懲戒解雇の場合、いきなり解雇するというわけにはいきません。


最初は上司が問題のある看護師に対して働き方などの改善点を指摘し、指導します。


それにもかかわらず、反省するどころか職場の上司と対立し、再三院長先生からも問題点を注意しているにも関わらず、態度があらたまらない場合は懲戒解雇できます。


懲戒解雇は普通解雇と異なり退職金は支給されることはありません。


また、普通解雇は看護師さんに病院側の事情に納得してもらったうえで院長が解雇を言い渡す恰好となりますので、懲戒解雇と普通解雇は同じ解雇でも内容は全く異なります。





■解雇の手続き


基本的に病院側がいかなる正当な理由があったとしても看護師さんを懲戒解雇した場合は、まず院長先生が自ら看護師さんに解雇を告げなければなりません。


次に解雇した看護師さんに30日間分の給料(平均賃金)を支払わなければなりません。


懲戒解雇された場合、まず看護師さん側が納得しませんので、必ずといっていいほど双方で揉めることになります。このため、平均賃金は大抵支払われるようです。


そして、話し合いの結果、両社が納得して解雇が決定すれば看護師さんは、病院運営の肝となる情報を流出させないために「誓約書」にサインすることになります。


それ以降は退職するのと同じで、退職願いを書いて提出し、職場の同僚や関係者に挨拶し、ロッカーの鍵や返却義務のある備品、健康保険証を返還しなければなりません。