■患者さんが嘔吐した場合の対処法
病棟では、突然患者さんの容態が変化することが日常茶飯事的にありますよね。
そうした中で患者さんが病室で突然嘔吐することも少なくありません。患者さんの容態
を出来るだけ早く回復させるためにも、冷静に適切な対応が求められます。
突然患者さんが嘔吐するにあたって色々なケースが考えられます。
もし看護師さんが病室へ出向いたところで、患者さんが嘔吐している姿を発見したので
あれば、まず第一に「汚物の誤嚥」を防がなければなりません。
もし患者さんが「仰臥位」の状態にあれば、吐き出した汚物を誤嚥する可能性が高まる
ので、すぐにでも患者さんの体位を「側臥位」にしなければなりません。
側臥位に体位変換する過程で患者さんの吐き気の症状が悪化する可能性があります。
患者さんの苦しむ姿を目の当たりにして、躊躇することもあるでしょう。
しかし、「側臥位」にすることによって、誤嚥による窒息を避けなければなりません。
仰臥位にしたら、もし仮に嘔吐したことによって汚物で衣類が汚れていたとしても、
衣類を交換するのではなく、そのまま安静を保てるようにしなければなりません。
患者さんの容態が落ち着いたら、吐物をきれいに処理していきます。
手袋やエプロンをきちんと着用して、ごみ袋に吐物を全て入れ、そのまま廃棄します。
そして、汚物で汚れてしまった衣類に関して、は一番最後に処理していきます。
患者さんの容態が落ち着いていない段階で更衣してはなりません。
どうしても症状がぶり返す可能性があるからです。
このため患者さんの吐き気が落ち着くまで更衣は控えなければないりません。
■感染症の疑いがある場合は要注意
更衣を終えてから患者さんのバイタルチェックを行います。そのバイタルデータと一緒
に患者さんの吐き気や嘔吐に感する情報を医師の先生にできるだけ詳細に報告します。
そこから先は医師の先生の指示に従わなければなりません。もしも食事を取るのが困難
と判断されたら、食事は中止となり、その代わりに点滴などで対応します。
最近は高齢化社会が急速に進んでことから、高齢患者さんの間で嘔吐が増えています。
特に冬場はノロウィルスに感染するリスクが高まりますので、十分注意が必要です。
どんなに感染症対策を十二分に行っていても、感染するリスクはあります。ですので、
患者さんが嘔吐したら、下痢の症状についても調べる必要があります。
高齢患者さんの場合、嘔吐と下痢を繰り返すことによって、どうしても「脱水症状」が
起こりやすいので、こういった点に関しても十分注意しなければなりません。
病院では、こうしたことが起これば、速やかに二次感染を防がなければなりません。
そうしないと、患者さんをケアする立場にある職員の中から感染者が生まれます。
職員から患者さんの間に広がるのは、あっという間です。
何か起これば常に適切に処置を行なわなければなりません。
特にノロウィルスなどの感染疑いがある場合は特に警戒しなければなりません。
■汚物の処理も十分注意する!
高齢患者さんをはじめ、おむつ交換を行なうにあたり、問題となるのが汚物処理です。
汚物には、しっかり凝固剤をかけ、「汚染シーツ」は汚染部が表面に出ないようにして
くるんでから、すばやく汚物袋にいれてきちんと密封した状態で廃棄します。
また年齢に関係なく、病気を患っている身でありながら、食べ過ぎによる嘔吐も少なく
ありません。病院食では満足できないため、間食しすぎてしまう方もいます。
そうした場合、病院食以外に間食をしていなかったか、確認しなければなりません。
病院は、どんなに高いレベルの感染対策を行っているといっても、感染リスクをゼロに
することはできませんので、看護師さんの感染リスクは常に高い状態にあります。
しかし、看護師さんが感染源になってしまっては大問題です。
感染対策の基本である手洗いをしっかり行ってください。特に昨年世界規模でエボラ
ウイルスが広がったことで、感染対策に対する意識が高まっているだけに要注意です。
どこの病院でも「感染管理」に関する研修や勉強会を毎年定期的に行っています。
しかし、どんなに臨場感溢れるDVDを見ても、恐怖に感じるのは、その時だけですから、
看護師さん一人ひとりが院内感染に関する問題意識を高める必要があります。
嘔吐や吐き気の症状がある疾患は、実に幅広く、急性胃炎や急性膵炎、逆流性食道炎、
食中毒、急性虫垂炎、腸閉塞、胃がんや腹膜炎なども嘔吐や吐き気の症状があります。
また脳の疾患から神経性のものもありますので、診断するにあたって注意が必要です。
一般的には採血、生化学検査、レントゲン、CTといった臨床検査を行います。
看護師さんは、バイタルチェックを行い、患者さんが嘔吐したさいの状況をしっかり
検証したうえで、嘔吐した経緯を医師に報告しなければなりません。
また嘔吐だけでなく、下痢、めまい、胸痛、頭痛などの症状が同時に起こる場合もあり
ますので、こうした症状についても、しっかり検証しなければなりません。