■バイタルサインとは?
バイタルサインは、直訳するとVital (生命)のSign(徴候)です。
言葉はあまり良くありませんが、バイタルサインは患者さんの生死を判別するために
必要な医療の基本的情報で、具体的には血圧、脈拍、呼吸、体温の4つです。
例えば血圧、脈拍がゼロで呼吸をしていなければ、すでに死亡しています。
命が危険な状態にあることを示すバイタルサインは以下のとおりです。
「血圧」 収縮期血圧60mmHg 未満
「脈拍」 1分間40回未満もしくは測定不能の頻脈
「呼吸」 1分間以上呼吸がない
「体温」 35度以下もしくは42度以上
「意識」 何をしても体が反応せず、全く覚醒しない
こうしたバイタルサインを確認することを、医療や介護の現場ではバイタルチェック
(vital check)といいますよね。看護師さんにとって重要な仕事の一つです。
看護師さんがバイタルチェックをするのは、患者さんの状態を把握するためでして、
コミュニケーションを取りながら、患者さんの症状の変化を確認します。
バイタルチェックは、看護師さんにとって欠かすことができません。
患者さんの容態の変化を見逃さないためにも、しっかり把握しなければなりません。
こうした理由から、どうしてもバイタルチェックの質を高める必要があります。
特に高齢患者さんの場合は、突発的に容態が変化するので、注意が必要です。
バイタルチェックは、ただバイタルサインを確認するだけではありません。
患者さんの異変にいち早く気づくためにも、繰り返しになりますがバイタルチェック
の技術を高める必要があり、そのためにも毎回真剣に取り組まなければなりません。
試行錯誤をくりかえしながら高めていくものなので、バイタルチェックの取り組み方
がいい加減な看護師さんは、当然のことながら他の仕事もいい加減になります。
看護師としての未来は相当暗いです。ですので、真剣に取り組む必要があります。
■異変に気づく力をつけるには?
バイタルサインを確認して問題なければ、通常通りのケアを行います。もし「異変」
に気づいたら、速やかに医師の指示に従って適切なケアを行わなければなりません。
例えば排尿が少なかったり、ほとんど出てない場合は、速やかに医師に報告します。
そして「利尿作用」を活発化させるために注射をしたり点滴をします。
当然のことながら患者さんの状態にあわせてケアしなければならないわけですから、
当日の患者さんの状態をきちんと把握しなければなりません。
そうしないと患者さんが発熱しているにもかかわらず、何も患者さんが言わないため、
そのまま入浴させてしまったり、清拭してしまうといった問題が起こってしまいます。
また、リハビリ中の患者さんの当日の血圧が高ければ、当然リハビリを休ませなけれ
ばなりませんし、その状態で入浴すれば心臓に負担がかかるので当然中止です。
そうした場合、まず理学療法士に報告しなければなりませんし、血圧があがった当日
が患者さんの入浴日なら、入浴できないことを担当者に報告しなければなりません。
吐き気があるなら、当然食事は吐き気が治まってからしなければなりません。
嘔吐や吐き気が続く場合は無理に食事をさせるわけにはいきません。
医師の先生にきちんと報告したうえで、先生の指示に従って点滴などを行いますが、
欠食の指示が出た場合は、すぐに栄養部に連絡して食事を停止してもらいます。
こうしたことは日常茶飯事的に起こるわけですから、あらゆる意味でバイタルサイン
の確認は医療の基本となります。それくらい重要なものなんです。
しかしながら、どこの職場でも慢性的な「人材不足」に陥っているので、どうしても、
見過ごしてしまいます。くどいようですが、医療ミスを抑えるためにも重要です。
■バイタルチェックの質を高めるには?
もし看護師として働き続けるのであれば、バイタルサインを見極める能力がどうしも
必要となります。そのためにも「コミュニケーション能力」が重要になります。
患者さんとの何気ない会話から症状の変化を確認することはよくあります。
ですので、同時進行で高める必要があります。これらを分けることはできません。
上述した以外にもバイタルチェックで重要な項目がいくつかあります。
まず、血液中の酸素濃度、尿量、排便、浮腫、皮膚、口腔内、声掛けによる反応など
実に幅広いので、当然のことながら慣れるまでは混乱することも多いでしょう。
しかし、ある日を境に突然理解できるようになりますので、それまでの辛抱です。
バイタルサインを確認しながら、検温表や看護記録などに記載し、異常が見られれば、
速やかに医師に報告して、どのように進めていくか指示を受けるのを待ちます。
このため病棟勤務の看護師さんは、ただ報告すればいいというわけにはいきません。
「対処療法」だけを行い、そのまま様子を見るときもあります。
また、医師の先生から指示を受けて適切な処置を行うことがあります。
もしバイタルチェックを入念に行っても、なんら異常が見られない場合は、これまで
どおりの「看護計画」に沿った看護ケアを行わなければなりません。
慣れないと混乱しますので、ミスがないようにするためにも、紙にやることを書いて、
それにしたがって、仕事を進めましょう。考えながらやろうとすると失敗します。
最後に看護師さんが「バイタルチェック」を行なうさいの注意点についですが、当然
正しく測定しなければ患者さんの状態をきちんと把握することはできません。
例えば血圧測定するのであれば、無理のない姿勢で行わなければなりません。
また患者さんが体動してる場合は、時間をおいてから測定します。
本当にちょっとしたことですが、バイタルチェックの質を高めるためには、臨機応変
に自ら色々と工夫が出来るようにならなければ難しいです。
経験がどうしても必要になりますので、根気よく取り組む必要があります。