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■ホスピスとは?


一般的にホスピスは、終末期ケア(緩和医療、緩和ケア)を行なう施設のことです。


ここでいう終末期ケアは、欧米では「ターミナルケア」とも呼ばれてます。


一般の病院に入院する患者さんとそのご家族は、一日も早く病気や怪我から回復して
退院することを期待するため、病院側も可能な範囲で色々な治療法を行います。


一方、ホスピスは、「癌」や「白血病」といった重度な疾患を患い、しかも回復する
可能性が極めて低い患者さんを中心に受け入れ、命が尽きるまで生活を支えます。


このため、ホスピスでは、いわゆる「延命治療」は、一切行いません。


終末期ケアは患者さんの苦しみを出来るだけ和らげるために適切な治療を行います。


苦しみを和らげるためには「痛みの原因」をしっかり把握する必要があります。


また、心の問題や生と死の間で生じるスピリッチュアルな問題にもアプローチします。


このため、ホスピス施設では、医師や看護師、薬剤師だけでなく、歯科衛生士、作業
療法士、介護士、宗教家などが患者さんの生活をサポートしていきます。


ホスピスで働く看護師さんの仕事は、一般病院よりも精神面でのケアが求められます。


というのも、ホスピスに入院する患者さんは、医師から余命宣告を受けているため、
自ら「延命治療」を行わないホスピスに入院することを選択しているからです。



人生の最期を思い残すこと無く生きるために、自らホスピスを選んだわけですから、
そうした思いに応えるためにホスピスでは、患者さんの意思を尊重します。


医師や看護師さんだけではなく、患者さんの家族も了解しています。


ですので、ホスピスで働く従業員が協力しあいながら、患者さんの思いに応えられる
ように、患者さんとご家族の生活をしっかりとサポートします。


ホスピスで働く看護師さんは、患者さんの苦痛を緩和するためのケアだけでなく、
死に向き合う患者さんの心の負担を軽減するために精神面でもサポートします。


また、患者さんのご家族もサポートをするケースも少なくありません。


高齢化社会が急速に進んだことにより、高齢患者さんが増えています。


病棟でも高齢患者が例外なく増えており、終末期を病院で迎えることに抵抗を感じる
人達が増えています。また多くの方が在宅で最期を迎えることを希望します。


そうした声に応えるために在宅ホスピスとして働くことを検討されている患者さんの
訪問看護の仕事も順調に増えているのですが、その数はいまだに少ないです。


しかし、今後よりホスピスと緩和ケアの需要が拡大することが予想されます。





■ホスピスでの看護師の仕事


基本的にホスピスで実際に働いている看護師さんの多くが、入職する前から患者さん
を「精神面」でケアすることの難しさを十分理解していながら、入職しています。


普通は、仕事が楽だと喜ぶわけですが、ホスピスで働く看護師さんは、あえて茨の道
を選ぶかのごとく、自ら志願してホスピスで働くことを選択しています。


恐らく何らかしらの「使命感」がそうさせているのでしょう。


そうでなければ、死を目前にした患者さんのみをケアするホスピスでは働けません。


しかし、それほどまでに意識が高い看護師さんであっても、実際にホスピスで働くと、
仕事のことで色々と悩みます。特に患者さんとのつきあい方に戸惑うようです。


病棟でしっかり経験を積んだ看護師さんであっても、慣れるまでは苦悩します。


いわゆる一般病院で行われるような治療らしい治療は一切行われないので、患者さん
の多くが、肉体的にも、精神的にも辛く苦しい状態で日々暮らしています。


こうした状態にある患者さんの看護は非常に難しいです。


ですので、臨床経験が浅い看護師さんでは、ホスピスで働くのは厳しいです。


ホスピス施設では、若い看護師さんよりも、年配の看護師さんの方が、入院している
患者さんの気持ちを理解できますので、患者さん側からも求められることが多いです。


ホスピスで働くことの難しさばかりを最初に強調しすぎてしまいましたが、ホスピス
で働くメリットも沢山あります。まず患者さんと深く寄り添うことができます。


一般病棟では時間に追われながら日々働かなければなりません。


多くの職場で人材が不足しているため、満足に患者さんとコミュニケーションをとる
時間がありませんので、こういった問題が他の問題を引き起こしてしまいます。


しかし、ホスピスでの仕事は、基本的に患者さんの精神面(心)をケアすることです
から、しっかりコミュニケーションをとりながら、患者さんをケアできます。





■患者さんと向き合う覚悟がありますか?


最後にホスピスに向いている看護師さんについてですが、やはり人の痛みを理解でき、
なおかつ寄り添うことができる人です。慈愛の精神のようなものがないと難しいです。


また患者さんの状態が状態なだけに、いつ何時患者さんの容態が変化するか分かりま
せんので、突発的に何がおこっても、冷静に対応できる方がふさわしいです。


ですので、どうしても、それなりのキャリアが求められます。


そして、ホスピスでの看護師さんの仕事は、「精神看護」が特に重要です。


ですので、精神看護に全く興味がない人には当然難しいですし、ホスピスを通じて、
より専門的な看護技術を身につけたいと考えている看護師さんにはぴったりです。


ホスピスに入所している患者さんの多くが施設で死を迎える覚悟ができています。


しかし、それでも死を一瞬でも意識すれば、とてつもない恐怖が襲ってきます。


また、患者さんによっては起きている間は常に痛みに苦しんでいる方もいます。


患っている病気が病気なだけに、薬の副作用も大きく、その苦しみは計り知れません。


ですので、ホスピスで働く看護師さんは、こういった患者さんの苦しみに対しても、
真剣に向き合わなければなりません。そうでなければホスピスで働くのは困難です。


患者さんが無事天国に旅立まで、看護師さんはケアし続けなければなりませんので、
精神的にも肉体的にも病棟勤務とはひと味違った疲労が襲います。


誰の目から見てもホスピスでの看護師さんの仕事は大変ですが、「お給料・年収」に
関しては、一般病院とほとんどといっていいほど変わりありません。


待遇や勤務条件などを第一に考えているのであれば、ホスピスで働くのは難しいです。
しっかりとした「目的意識」がなければ、到底働くことが出来ない職場です。