■過酷過ぎる小児科の環境
少子高齢化の影響から、小児科や産婦人科を閉鎖する病院が増えています。
決して少子化で需要が少ないわけではありません。むしろ多すぎるくらいです。
小児科の仕事は「外来」と「病棟」だけではなく、「新生児特定集中治療室(NICU)」や「集中治療室(PICU)」などでも働かなければならないため、業務に忙殺されます。
しかも設備を維持するのに膨大な維持費がかかるうえに、訴訟リスクが高いことから、病院側としては「これではやってられない」というのが本音のようです。
こうした理由から、やもえず小児科を閉鎖する病院が日本全国で増えているわけです。
地方では、病院そのものが少ないので、一つの病院が閉鎖すると、他県まで越境して、子供を診てもらわなければならない状況にあります。本当に悲しい話です。
こうした過酷な職場であるため、医師や看護師さんの確保も容易ではありません。
しかし、看護師さんの90%超が女性であるため、結婚していない看護師さんでも女性特有の母性本能から小児科で働くことを検討されている方が少なくありません。
実際に「小児科の看護師求人」に親しみを感じている看護師さんが少なくありません。
上述した通り小児科は特殊であるため、看護師さんの仕事も職場によって異なりますが、大学病院のような大型病院で働くのであれば、それ相当の覚悟が必要です。
単に子供が好きだからでは、勤まらないほど重度の疾患を患った患者さんが訪れます。また、その親御さんも、子供の生死について悩み苦しんでいるケースが多いです。
その気持を察したうえで、接しないと後々問題になりますので、注意が必要です。
■小児科で働く看護師の仕事
小児病棟は、骨折などの外傷や小児がんのような深刻で難易度の高い疾患、アレルギーなどの慢性疾患、発達障害などの先天性疾患まで、色々な患者さんが入院しています。
こうした重度の疾患は、最寄りのエリア内にある中小病院での治療は困難なことから、大学病院や総合病院といった大型病院でしか診ることが出来ない場合が多いです。
一方、民間の病院では「急性疾患患者」が多いとされています。
小児科医で働く看護師さんは、こうした幼い患者さんの心と体のケアを行ないます。
小児科でのメインの仕事は、医師の先生が出来るだけスムーズに診察できるようにするための「診療介助」と患者さんと保護者・ご家族のメンタルケアも大切な仕事です。
また、小さなお子さんは容態が急変することも少なくないので、急変した場合の対応は、緊迫した中で行われるので、強いストレスを感じながら、適切な対応が求められます。
お子さんのいる看護師さんは、町中にあるクリニックや大型病院の小児科へ通った経験がある方が多いので、小児科の仕事はイメージしやすいと思います。
親御さんは、子供の症状に合わせて利用する病院を選らんで受診するわけです。
風邪やインフルエンザを患った場合は、町中にある診療所(クリニック)を利用し、小児がんなど重度の高い疾患の場合は、大学病院を利用することになります。
■小児科に向いている看護師
どんなに元気な子供でも、必ず「小児科」にお世話になっています。
このため小児科に対して特別な親近感を持つ看護師さんが少なくありません。
小児科に向いている看護師さんの特徴についてですが、まず子供が好きな人です。
当然のことながら、子供が嫌いな看護師さんが小児科で働くことはないでしょう。
子供は予測不可能な突発的にとんでもない行動を取ることがあります。
また泣き叫ぶのは日常茶飯事なので、子供を抱っこしたり、あやしたりしながら、医師の先生がスムーズに診察できるようにしなければなりません。
子供嫌いでは、何をするにしても苦痛に感じることでしょう。
ただし、子供が好きという理由だけでは、小児科で働くのは厳しいかもしれません。
大型病院にある小児科は、どこも厳しい状況にあることから、極端なレベルにまで人材が不足していますので、一人当りの看護師さんの負担がハンパではありません。
しかも採算が取りにくいことから、病院側も知らず知らずのうちに従業員に無理を押しつけてしまうため、病院側と従業員とがモメるケースが少なくありません。
こういったことも、やむえず小児科を閉鎖してしまう大きな理由となっています。
■家庭のある人は無理?
実際に小児科で働くとなると、それなりの覚悟がなければ長く勤まりません。
このため自分が今おかれている状況に合わせて、職場を選ぶ必要があります。
家庭を優先させなければいけないのであれば、小児科の医院や診療所がおすすめです。といいますのも、「入院設備」がないことから、夜勤がありません。
基本的に「外来のみ」となるため、パートでも十分働くことできます。
小児科クリニックは、地域密着しているため、看護師さんは、周辺エリア内に住む子供たちの成長を見守りながら働くことになりますので、他の科にはない魅力があります。
また、子供たちの保護者から、職場を離れた所で相談を受けることも少なくないです。中には深刻な悩みを打ち明けてくるケースもありますので、何かと大変です。
しかし、子供の頃の記憶は簡単には消えません。しっかり対応すれば、良い看護師さんとして永遠に記憶に残ります。町中で突然挨拶されて驚くこともあります。
子供の成長は本当に早いもので、あんなに小さかった子供たちも、時が経てば小学生、中学生になりますので、いきなり挨拶されても分からない場合も少なくありません。
「あ〜あの子が、もうこんな大きくなったんだ」と、後になって気づくことも...。
子供にとって、あこがれの存在となる要因の一つに「優しい」があります。
優しくしてくれた大人をいつまでも覚えています。そして、その大人の職業に憧れたりもしますので、小児科で働く看護師さんが子供に与える影響は非常に大きいです。
反対に、ちょっとしたことで子供たちは嫌いになってしまいます。あれだけ素直だった子供が、全然いうことを聞いてくれなくなり、対応に戸惑うこともあると思います。
こうしたことも経験していくうちに、子供たちの心の中を理解出来るようになります。ですので、特別心配いりませんが、できるだけ目線を低くして接してあげてください。