■精神科を取り巻く環境が激変!
過去20年にわたって、うつ病や摂食障害などの精神疾患に苦しむ人達が右肩上がりで
増えていまして、ここ最近では高齢者のうつ病と認知症が急速に増えています。
すでに大きな社会問題となっているわけですが、やはり景気情勢に影響されます。
精神疾患に苦しむ人達が急速に増えることになったのは、3%から5%に「消費増税」
が行われた1997年以降でして、10年間で100万人以上増えています。
1年間に精神疾患の治療のために医療機関に通われた患者さんの数は320万人を突破
しているのですが、残念ながら依然として高止まり状態が続いています。
このため、精神科や心療内科を利用される患者さんの数は今後も増えることが予想され
ていることから、看護師さんの需要は今後も高いままの状態がしばらく続きそうです。
精神障害、精神疾患という言葉に偏見を持たれる方が少なくありません。
このため、診療科目をストレートに精神科とはせずに、心療内科、神経内科、メンタル
ヘルス科といった形で運営されているケースが少なくありません。
心療内科、神経内科、メンタルヘルス科の違いについて、しっかり把握していなければ
受診できないということはありませんが、知っていれば無駄が無くなります。
といいますのも、大型病院では、業務効率を高めることを優先しすぎてしまった結果、
患者さんを役所の業務のようにたらい回しにしてしまう所も少なくないからです。
心療内科は基本的に「心身症」をメインに扱います。
心身症は、消化性潰瘍、気管支喘息など、身体的な症状でありながら、「心理的要因」
によっておこりやすい疾患であるため、精神分析や行動療法で治療を行います。
神経内科は、基本的に「脳神経系」の疾患を主に取り扱っています。主な症状としては、
脳血管障害やパーキンソン病などの神経の病気をメインに扱っています。
メンタルヘルス科は、いわゆる「精神科・神経科」にあたる診療科です。不安、抑うつ、
不眠、幻覚、幻聴、妄想などの「心の病気をメイン」に扱っている科です。
■精神科の役割と仕事について
精神科の患者さんは、通院・入院が非常に長いのが特徴でして、他の診療科のように、
数回通院すれば高い確率で完治するといったことが、まずありえません。
また入院に関しても、数日で退院できるケースは少なく、数ヵ月から数年にわたる長期
入院を余儀なくされるケースが少なくありませんので、かなり特殊な科です。
患者さんが一日も早く社会復帰できるようにサポートすることは、精神科の看護師さん
の重要な仕事です。このため出来る限り患者さんと良い関係を築く必要があります。
そのためにも、一段上のコミュニケーション技術が必要となります。
その中でも「聞く力」が特に重要です。患者さんは精神的な病気を持っていることから、
ちょっとしたコミュニケーションを取ることすら難しい場合も多いんです。
根気強く接していかなければならないので、精神的な寛容さが求められます。
すでに日本国内でも、うつ病などの「精神疾患」は社会問題の一つです。
精神科以外の科で診てもらっている患者さんの中には、明らかに何らかしらの精神疾患
を患っている人をみかけることが多くなり、こうしたケースが増えています。
このため治療の効果を抑えてしまうこともあるので、他の科で働いていながら、精神科
や心療内科などの仕事に興味を持っている看護師さんは少なくありません。
精神科の仕事は、専門性が非常に高いので、それこそ薄紙を剥ぐように忍耐強く日々の
仕事に取り組まなければ必ず挫折しますので、精神的な強さが求められます。
また他の診療科と同じく医師の先生のサポートも看護師さんの重要な仕事です。
■精神科で看護師として働くメリット
精神科病院で働くメリットについてですが、先にのべたとおり、一段上の「看護ケア」
を行なうために必要となるコミュニケーション技術が飛躍的に向上します。
他の診療科で患者さんと接するような接し方では、患者さんは引いてしまいますので、
そうならないように、できるだけ忍耐強く患者さんと接することが求められます。
すると徐々に患者さんの心が開いていき、コミュニケーションが取りやすくなります。
コミュニケーションの取り方次第で患者さんが快方に向かうか否かが決まります。
そして、凄い看護師さんになると、互いに一言も言葉を発しなくても、何を考えている
のか分かるようになり、それに合わせて対応することができるようになります。
精神科は、他の診療科と比べて残業がそれほど多くありません。
大抵どこの病院でも定時に仕事を終えることができるので、家庭と仕事を両立を目指す
看護師さんにとって、精神科は働きやすい診療科の一つです。
■精神科で看護師として働くデメリット
精神科で働くデメリットについてですが、やはり「精神の病」を患っていることから、
突然患者さんが暴れだすこともありますので、自分で自分を守らなければなりません。
いきなり後ろから髪を引っ張られたり、殴る、蹴るの暴行を受ける危険性が常にあると、
意識しながら仕事に取り組まなければ、怪我を負うことになりかねません。
自分だけでなく、他の患者さんにも被害が及ぶ可能性があります。
男性の患者さんが暴れだすと、女性の看護師さんではどうにもなりません。
ですので、精神科は他の診療科よりも男性看護師が圧倒的に多いです。
もしそうした危険な場面に遭遇した場合は、病院側で何らかしらの対処法が事前に用意
されていますので、それに従って、きちんとで対処しなければなりません。
このため何かとストレスが多い仕事なので、看護師さん自らがうつ病などの精神疾患を
患わないようにするためにも、心と体の健康管理をより徹底する必要があります。
精神科の仕事は、上述したとおり非常に大変なので、興味本位では勤まりません。
しかし、患者さんを「心の病」から救う、大変やりがいのある仕事です。
一人でも多く精神科に働く看護師さんが増えることを願っています。