■都立病院とは?なぜ看護師の間で人気が高いのか?
都立病院とは、東京都が運営及び管理する医療機関のことです。このため、都立病院で働く看護師さんは、東京都職員ですので、地方公務員と同じ扱いになります。
何かと不安定な時代において、安定を求める人が増えています。当然のことです。
このため、すでに民間病院に勤務されている看護師さんの間でも、一地方公務員として、都立病院で働くことを希望されている方が少なくありません。非常に人気があります。
とにかく公務員なので福利厚生面で非常に充実しています。
何といっても定年退職まで勤めあげれば、年金や退職金が凄いですから、老後の生活も保証されています。このため、将来に不安を感じることなく働くことができます。
他にも都が運営している様々な施設(旅館など各種レジャー施設)を「無料」、または、大幅な「割引料金」で利用することができます。民間では到底考えられません。
■都立病院で働く看護師さんの月収・年収は?平均よりも高い?
8つの都立病院の看護師さんの月収(平成24年度実績)は以下の通りです。
(1)4大卒
約27,5000円
(主要手当86,000円含)
(2)短大・3年課程卒
約265,000円
(主要手当83,600円含)
(3)短大・2年課程卒
約257,000円
(主要手当82,000円含)
主要手当には、地域手当(18%)と調整額、夜勤手当が含まれています。
そして、気になる夜勤についてですが、1カ月を4週とした場合、一般病棟にて夜勤を月8回(準夜勤・深夜勤各4回、夜勤時間27時間)となっています。
2交代(月4回)、3交代(月8回)と、病院によって条件が異なります。
また基本給にプラスして以下の手当が支給されています。
●扶養手当
●住居手当
●通勤手当
●初任給調整手当
●期末勤勉手当、
●特定看護分野従事手当
●分べん介助業務手当など
そして、賞与は約4ヶ月分支給されますので、「短大・2年課程卒」の看護師さんの年収は、400万円前後です。基本的に時間外手当などの手当は含まれていません。
ですので、あくまでも目安と考えていただければ幸いです。
次に民間病院の看護師さんの月収と年収を比較してみたいと思います。
民間病院の場合、地域や経営規模によって差が大きいです。また入院施設のない場合、夜勤はありませんから、入院設備があって、夜勤がある病院とは当然差があります。
ちなみに短大・2年課程卒の平均的な初任給は、20万円前後となっています。これに夜勤手当や時間外手当など諸手当がプラスされるので、実際の総支給額は増えます。
年収ベースでは、新卒の看護師さんの場合300万円前後が一般的な年収です。
■都立病院にて看護師として働くメリット・デメリットとは?
都立病院では、がん、糖尿病、脳卒中、高血圧性疾患、心疾患といった難易度が非常に高い疾病に対して、最先端の高度な医療を施しているので、やりがいがあります。
自分の興味のある分野の看護について勉強することができます。
例えば「認定看護師」や「専門看護師」といった、難易度の高い資格を取得するために支援するシステムがありますし、身につけた知識や技術を生かす場所があります。
このため、都立病院は、キャリア志向の高い看護師さんにぴったりです。
また、子育て中の看護師さんを支援するシステムなども非常に充実していることから、仕事と家庭の両立が無理なくできますので、安心して働くことができます。
都立病院には、リスクマネジャー、感染管理担当者が必ず配置されています。
このため、安全・安心の看護が実現できるわけですが、患者さんに対して満足度の高い充実した看護ができるようにするためのサポート体制も整備されています。
次に都立病院で働くデメリットですが、基本的にありません。
唯一あるとすれば、東京都職員の採用試験に合格しない限り、働けないことです。
次回の採用試験を見逃さないようにしなければなりません。
■都立病院で看護師として働くには?特別な資格が必要なのか?
まず都立病院で看護師として働くためには、東京都が毎年実施する採用試験に合格しなければなりません。選考日や試験の開催地については以下のサイトで確認できます。
「東京都職員採用」
http://www.saiyou2.metro.tokyo.jp/
次に受験資格についてですが、まず新卒は、「45歳未満であること」、中途採用は、「看護師免許を持ち、60歳未満であること」が条件として定められています。
また助産師や保健師の募集も同時に行われていますが、受験資格は基本的に同じです。
選考は1日で終了しますが、試験日は2日間にわたって行われます。
また試験についてですが、小論文と面接の(中途採用者は書類選考も)が行われます。採用試験に合格すれば晴れて都立病院で看護師としてのキャリアをスタート出来ます。
都立病院は、以下のとおり東京都内に8つあります。
●東京都立広尾病院(東京都渋谷区恵比寿2丁目34番10号)
●東京都立大塚病院(東京都豊島区南大塚2丁目8番1号)
●東京都立駒込病院(東京都文京区本駒込2丁目18番22号)
●東京都立墨東病院(東京都墨田区江東橋4丁目23番15号)
●東京都立神経病院(東京都府中市武蔵台2丁目6番1号)
●東京都立松沢病院(東京都世田谷区上北沢2丁目1番1号)
●東京都立多摩総合医療センター(東京都府中市武蔵台2丁目8番29号)
●東京都立小児総合医療センター(東京都府中市武蔵台2丁目8番29号)
基本的に都立病院は8つしかありませんので、実際に働くとなると勤務先の病院が限定されてしまいます。残念ながら希望する病院に配置されるとは限りません。
例えば、あなたが今現在墨田区内に住んでいると仮定します。
近いからという理由だけで墨東病院に配置されることはありません。
また異動に関しても、最初の3年間はありません。
しかし、それ以降は異動の対象となりますので、転勤する可能性も十分あります。
基本的に都立病院で働く看護師の身分は東京都の職員ですから、地方公務員と同じ扱いとなり、給与や賞与に関しましては、東京都の規定に従って支払われます。
都立病院の求人は、非常に少ないですが、看護師転職サイトで探すことができます。
■都立病院に入職したあとに看護師さんが受ける研修とは?
都立病院は、新人看護師を対象に「新人看護師臨床研修」を実施しています。
当然のことながら新人看護師がいきなり患者さんを受け持つことはありません。
まず最初の3ヶ月は、基礎的な看護技術の習得を行います。
無事研修を終えたら実際の現場で少しずつ実践を積みながら、受け持ち患者を増やし、夜勤に入れるようにステップ・バイ・ステップで経験を積んでいきます。
最後に都立病院で行われる研修についてですが、「ローテーション方式」と「固定方式」の二種類に分かれていまして、それぞれの内容については、以下のとおりです。
「ローテーション方式」
まず最初の2週間で2つの部署で研修を行い、その後配属部署を決める。
「固定方式」
入職したら、本人の希望によって配属部署を決め、臨床研修を行う。