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■今後ますます認知症患者が増える?


少子高齢化に関する問題が叫ばれるようになって、すでに20年以上経過しましたが、
2025年ごろに高齢者の人口は、ようやくピークを迎えるとされています。


それまでは高齢化が進み続けるわけですが、医療の進化にともなって平均寿命がさらに
伸びる可能性もあるので、医療・介護にかかる負担は今後さらに大きくなりそうです。


そうした中で認知症を患った患者さんが右肩上がりで増え続けています。


一般病院でも高齢患者さんが増えている関係で、認知症患者が少なくありません。


しかし、残念ながら多くの病院が「認知症看護」に対する取り組みが十分ではないため、
現場の最前線で働いている看護師さんが「悲鳴」をあげています。


高齢患者さんの中には、すでに自分で体を動かすことができないケースが多いのですが、
そのうえ、認知症まで患っているとなると、ほとんどの場面で会話が成立しません。


数人でケアすることも多いわけですが、どこの病院も人材不足で苦しんでいます。


ですから、高齢患者さんのケアに沢山の看護師さんが取られてしまいます。


そうなると当然のことながら「業務効率」が著しく低下しています。


そうすると他の患者さんから手を抜いているように思われてしまい、クレームが増え、
場合によっては大きなトラブルに発展するので、注意しなければなりません。


対応した看護師さんがクレームを自ら処理しなければならないからです。





■認知症患者さんへの過酷な看護の実態


認知症患者の看護は、病院や介護施設だけでなく、在宅でも行われます。


認知症の症状は、たった今話したことや行った行動をすぐに忘れてしまうわけですが、
まだこの程度であれば、何とかなりますが、認知症の症状が進み過ぎると大変です。


訪問看護ステーションで働いている看護師さんも病棟勤務にはない苦労をされており、
特に認知症の症状が深刻なレベルにある場合は、時間だけが過ぎていくことも...。


あまりにも過酷すぎて、介護しているご家族が精神的に追い込まれしまいます。


看護する側からすれば、患者さんが、オオムのように同じ言葉を繰り返しているように
しか見えないわけですが、患者さん本人にとっては毎回初めて喋っているわけです。


認知症の患者さんは昼も夜もないので、夜中に徘徊することも少なくありません。


夜中に徘徊されると大変です。真っ暗なので自分の家がどこだか分かりません。


私は、以前真冬にランニングとステテコ姿で徘徊している高齢の方に遭遇しました。


言葉も忘れてしまったようで、全くこちらの言っていることが理解できません。


幸い巡回中のお巡りさんに保護されましたが、正直に相手が何をしたいのか、まったく
理解できない自分の「力不足」を嘆かずにはいられませんでした。


介護するご家族は、一日中つきっきりとなり、心が休まる暇がありません。


それくらい医療と介護の世界は大変なんですが、診療報酬や介護報酬が引き上げられる
動きは期待できないので、今現在医療機関が抱えている問題を解決するのは困難です。


少しでも心と体の負担を軽減するためにデイケアなどの介護サービスを利用すべきです。
そうしないと認知症患者のご家族は、すべてのことがストレスとなり、体がもちません。





■認知症患者さんの出すサインを見逃さない!


ある程度認知症の症状が進んでしまった患者さんは、すぐに行ったことを忘れてしまう
ので、ほんの数風前に行ったことを相手に理解させようとしても意味がありません。


いうまでもなく、認知症患者さんに接するのは容易ではありません。


特に経験が浅い看護師さんは、自分の思い込みで勝手に認知症を患っている患者さん像
をつくりあげてしまい、その範囲内で自分勝手な看護をしようとしがちです。


自分の思いを言葉でしっかり発することはなくても、目など顔の表情で訴えています。
こうしたサインを読み取くことが認知症患者さんの看護では何より大切です。


しかしそうはいっても病院側が認知症患者に対する対応が不十分な場合は難しいです。
というのも、個々の看護師さんの能力が問われてしまうからです。


このため現場レベルでは、危機感を持っている看護師さんが増えています。


最近は認知症看護のために、認定看護師の資格取得を目指す人も増えているのですが、
病院側の理解がなければ、仮に資格を取得しても、学んだ知識や技術を生かせません。





■対応パターンを身につけるには?


認知症患者さんは、看護師さんの表情や声に敏感に反応します。


ですので、できるだけ穏やかな態度で接する必要があります。笑顔が大切ですね。


また、言うことを聞いてくれない患者さんを責めてしまうケースが少なくありません。
最近は以前ほどではないかもしれませんが、認知症患者さんは過敏に反応します。


何も理解できないように見えて、しっかり認識していることが多いんです。


このため認知症の症状がかなり進んでしまった患者さんでも怒ったり不穏になります。
もしかすると場の空気が突然変わると過敏に反応し、色々分かるのかもしれません。


場合によっては、患者さんを拒絶したくなることもあるかもしれません。


しかし、それでは患者さんの病状を悪化させるだけなので、全く意味がありません。


また、食事に関しても、今さっき食事を済ませたばかりでも、「まだ食べてない」と、
訴えてくることもよくありますが、すでに済ませていると説明しても意味がありません。


そうした場合は、やさしく「今準備しています。」と言って対応します。


こうした対応パターンは、自分で体験しながら身につけていくしかありません。


勉強会や研修に参加したり、専門書を読んで勉強するのも一つの手です。