■中心静脈栄養法・胃ろう栄養法とは?
病棟には自分で食事がとれない状態にある患者さんもいらっしゃいます。
しかし、普通の点滴では十分なエネルギーを補給することができません。栄養価の高い
ものを静脈にいれると、強い痛みが生じ、「静脈炎」を起こすリスクが高いです。
このため、「中心静脈栄養法」といって、細いカテーテルを心臓付近の静脈に挿入し、
このカテーテルを介しながら点滴をおこなうことによって、エネルギーを補給します。
また、中心静脈栄養法以外にも、患者さんに必要なエネルギーを補給する方法として、
胃に直接エネルギーを補給する「胃ろう栄養法」などがあります。
■中心静脈栄養法のリスクとは?
患者さんによっては、口から普通に食事を取ると、誤嚥をし誤嚥性肺炎を繰り返すこと
もあり、そうした場合「中心静脈栄養法」や「胃ろう栄養法」を行います。
このカテーテルをセットすれば、いちいち点滴するために針を刺す必要がありません。
一日に必要な栄養のほとんどを点滴だけで補給出来る点が大きなメリットです。
ただし、「中心静脈栄養法」栄養補給を続けると高血糖、肝機能障害を発症するリスク
があり、カーテルを体内に入れることで「細菌感染」の発症リスクが高まります。
場合によっては、肺血症、血栓性静脈炎などを引き起こす可能性があります。
しかし、「中心静脈栄養法」といえどもリスクはつきものです。
例えば病気になる以前から食事のたびに、むせたり咳こむことが多かった患者さんは、
誤嚥性肺炎を発症するリスクが高いので十分注意しなければなりません。
特に高齢患者さんの場合は、老化による身体の機能低下から、咳き込んだり、むせたり
していないにもかかわらず、「誤嚥」してしまうこともあります。
それに気づけないことも少なくないので、高齢患者さんの場合は要注意です。
胃ろうでエネルギーを補給する場合は、患者さんに適した体位をしっかり保たないと、
誤嚥によって逆流性の肺炎を併発してしまう可能性も十分あります。
■中心静脈栄養法のメリット
中心静脈栄養法は、心臓付近の大静脈までカテーテルを挿入することから、気胸や空気
塞栓、動脈損傷といっ合併症を発症するリスクが高いので、この点も要注意です。た
中心静脈栄養法のメリットは、一度カテーテルをセットすれば、何度も穿刺をする必要
がありませんし、エネルギーを補給することによる痛みを最小限に抑えられます。
また看護師さんも毎日注射針をさす作業が大幅に軽減されますし、呼吸器や消化器への
負担が大幅に軽減ができるうえに、血管の確保が常時可能となります。
このため、緊急時におきましても、薬液の投与がスピーディーに実現可能となります。
■中心静脈栄養法のデメリット
中心静脈栄養法のデメリットについてですが、体内にセットされたカテーテルによって
感染のリスクが高くなるので、感染防止のためのケアを慎重に行う必要があります。
そして、消化管の安静な状態を維持することが出来るのですが、色々な問題が生じます。
まず消化管がもつ本来の自然な働きを妨げる動きが活発化することになります。
高濃度の栄養が投与されることによって、血糖のコントロールがより難しくなりますし、
肝機能障害のリスクが高いので、合併症のリスクも比例して高くなる可能性があります。
■中心静脈栄養法での患者さんの看護
カテーテルを挿入するにあたり、カーテルが外れないようにするわけですが、患者さん
に余計な不安を与えないようにするためにも、冷静に対処しなければなりません。
また高齢患者さんの場合は、認知症がかなり進んでいる方も少なくありません。
自ら管を抜いてしまう可能性があるので、両手の動きを抑えるためにミトンを利用して
拘束するわけですが、これとて長時間拘束すれば手指の拘縮や水虫など誘発します。
しっかり対策しなければ、トラブルを引き起こしてしまうので、要注意です。
患者さんを見守ることができる間だけでも、ミトンを外してあげましょう。
また高齢患者さんの中には患者さんは発語できない方も少なくありません。
患者さんの表情を観察しながら、適切なケアを行なうように心掛けて下さい。
また、カテーテルの管が非常に長いので、「体位変換」のさいに誤って管を引っ張って
しまう危険性もあるので、細心の注意を払って対応しましょう。
■中心静脈栄養法の注意点とは?
中心静脈栄養法では、患者さんが摂取できる一日栄養量が設定されているわけですが、
高カロリーの栄養が過度に補給されないようにするために、滴下速度を確認します。
大抵どこの病院でも滴下速度の設定ミスを防ぐために、午前と午後の2回にわたって、
確認していきます。午前中は朝一番に注射をセットするさいに行います。
午後は看護師さん二人で各病室を回りながら間違いのないことを確認します。
「中心静脈栄養法」は、条件を満たしていれば入浴することも認められてはいますが、
感染リスクがあるので、患者さんを感染させないために潔操作の技術が重要です。
また、高齢患者さんの大半が痰の喀出を自分で出来ません。
看護師が時間を見て、患者さんの症状に合わせて吸痰しなければなりません。それ以外
にも口腔ケアや清拭、手浴足浴、おむつ交換や体位変換、創処置などの仕事をします。