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■脳梗塞患者の現状とは?


脳梗塞は三大疾病の一つとされている脳卒中の一種です。


脳卒中に苦しむ人達の数が日本国内だけで150万人にのぼるとされています。


しかも、毎年25万人以上の方々が、あらたに発症している状況です。


基本的に「脳梗塞」は、脳内の血管がつまる疾患でして、脳卒中には脳梗塞以外にも、
脳の血管が破れて出血する「脳出血」や「くも膜下出血」があります。


中高年に多い疾患ではありますが、若年層にも急速に広がっていますので、我々日本人
は誰もが脳梗塞を発症する可能性が秘めているわけですから、他人ごとではありません。


脳梗塞を発症した患者さんが病院には多いです。脳梗塞の特徴をしっかり把握すること
によって、脳梗塞の初期の段階で発見し、患者さんに対して適切な処置を行えます。


発見するのが早ければ早いほど脳梗塞の症状が進行するのを抑えることができますので、
脳梗塞を患うことになったとしても、早い段階で社会復帰することができます。



脳梗塞の主な症状は以下のとおりとなっています。



●手足がしびれる


●言葉が話しずらい(口の動きが合わない)


●どちらかの口角が下がる


●腕に力が入らない


●目眩がする


●視界がぼやける



また、脳梗塞の前触れとして、「一過性脳虚血発作」が一般的です。


一過性脳虚血発作は、5分から15分程度(最長24時間以内)で発作がおさまるので、
そのまま放置してしまうケースが少なくありません。しかし、それは非常に危険です。


こういった症状が起こった場合は、出来るだけ早く病院に受診しなければなりません。


こうした比較的初期の段階で脳梗塞を治療することによって、それ以降の発症リスクが
大幅に低下しますので、この段階では日常生活に支障をきたすことはありません。


ちなみに脳梗塞が発症してから4.5.時間以内ならt-PA(遺伝子組み換え組織プラス
ミノゲンアクチベーター)を静脈投与する有効性の高い治療法が選択できます。





■脳梗塞患者さんを看護するさいの注意点


入院中の脳梗塞の患者さんは、どれだけ過酷なリハビリを頑張れるかによって、その後
の生活が大きく変わると言っても過言ではありません。それくらい重要です。


中には絶望感に浸りきってしまい、リハビリを拒絶してしまうケースもあります。


やはり自分の身体がこれまでのように動かないことによって、これまで経験したことの
ないレベルの精神的苦痛を味わうことになりますので、無理もありません。


できるだけ早く「社会復帰」を目指してもらえるように、患者さんとそのご家族に寄り
添いながら、心と体のケアをすることが看護師さんにとって重要な仕事となります。


とくに患者さんが一家の大黒柱である旦那さんが40代の働き盛りだと大変です。


患者さんだけでなく、ご家族の不安は計り知れないものがあります。


「こんな状態で勤務先の会社に復帰できるのか?」と、いったことを考えてしまうと、
夜も眠れなくなります。入院中は考える時間がいっぱいあるので、不安が募ります。


そのためにも、リハビリを一生懸命頑張ってもらう必要があります。


根気よくリハビリを続けて、毎日少しでも体が動くようになれば、自然と自信がついて
きますので、次第に不安が減ります。そのためにも精神的ケアは欠かせません。





■脳梗塞患者を看護する難しさとは?


脳梗塞の患者さんに対しても、バイタルサインのチェックや意識レベルなどの経過観察
を行うわけですが、主に瞳孔の変化、運動障害や言語障害の有無なども観ます。


運動機能に障害や低下すれば、病院内で転倒や転落などの危険性が高まります。


病院は重度の疾病を患った患者さんを事故から守るためにも、安全に生活できるような
環境づくりをサポートするべきなんですが、現状では中々厳しいようです。


このため、看護師さんをはじめ従業員の負担が増えるばかりです。


看護師さんは、患者さんの少しでも抑えることができるように援助します。


脳梗塞で入院中の患者さんの生活面でのサポートも看護師さんの重要な仕事です。


食事介助、入浴介助、排泄介助などだけでなく、患者さんが自分で出来ないことを介助
しなければなりません。しかし、夜間は看護師さんの数が少ないので難しいです。


一人の患者さんに時間をかけすぎて、他の患者さんに迷惑をかけてしまいます。


このため、看護師さんがスムーズに対応できるように、看護師さん側がで全て介助して
しまうケースも少なくありません。そうしないと対応できない事情があります。





■脳梗塞の発症リスクについて


脳梗塞などの脳卒中をもっとも発症しやすいのは、やはり中高年です。


動脈硬化のリスクが高い人は、もっと発症リスクが高まります。


心疾患のある方や、高齢で高血圧な方も発症リスクが高いとされています。


動脈硬化などによって、血管が狭くなると血流が著しく悪化するので、「脳血栓症」を
引き起こしてしまい、その結果として脳梗塞を発症することになります。


そして、他にも動悸や目眩など症状がある「心房細動」により、心臓に「血栓」ができ
やすくなることから、それらが脳に飛んで脳梗塞を起こしやすくなります。


また、慢性的な高血圧になると血管壁の変性が生じてしまうので、脳梗塞の発症リスク
が高まります。脳卒中の約7割が脳梗塞とされているだけに、注意が必要です。


脳梗塞は、発症した部位によって症状が微妙に異なりますが、片麻痺や感覚障害、構音
障害、失語・失認、意識障害などが主な症状とされています。





■脳梗塞の合併症リスクについて


急性期の脳梗塞は、以下のような合併症リスクが高まります。


●消化管出血

●心臓病

●嚥下性肺炎

●尿路感染症

●深部静脈血栓症

●肺塞栓症




特に気をつけたいのが、「中等度以上の脳梗塞」を発症すると、肺炎や尿路感染、胃や
十二指腸といった「消化器官」から出血が高い確率で起こります。


それ以外にも急性期脳梗塞により、「心筋梗塞」「心不全」の発症リスクも高まります。


また、食べ物などが気道に入ったり、胃の中にある物が逆流してしまうと、肺や気管支
に細菌が入ることによって、「嚥下性肺炎」を発症するケースもあります。


最後に血栓が肺動脈に詰まって呼吸困難や胸痛が起こる「肺塞栓症」も、急性期脳梗塞
の合併症としてあげられます。どれも深刻度が高いものばかりです。


予防方法や治療法として、心電図モニタの管理や抗菌薬投与、ヘパリン投与などがあり、
予防の為の看護ケアでは、良肢位の保持と体位変換、弾性ストッキング着用などです。


また高齢患者さんが痰がからだりするとと、窒息や肺炎などを起こす可能性が高まり、
口腔保清をしたり吸痰したりするさいに、誤嚥などにも注意しなければなりません。


脳梗塞の患者さんも嚥下のテストをして、問題なく嚥下できれば食事摂取が可能です。
しかし咽たり咳をするなどの症状の有無については、十分観察しなければなりません。


バルンカテーテルを留置している場合、感染リスクが高いことから、実際に操作するに
あたって、十分注意して感染防止に努めなければなりません。