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■救命救急センターの役割とは?


救命救急センターは、一刻を争う危機的状況にある患者さんが救急搬送されてきますので、
対応にあたる医師の先生や看護師さんの多くがとてつもない緊張状態の中で働いています。


特に急性病態は時間が経過するにつれて患者さんの容態が急変する可能性が高まるため、
搬送中に適切な処置をしなければ、搬送中に死を迎えることになりかねません。


中でも「心肺停止状態」に陥っている患者さんの蘇生処置は極めて困難であるため、病院
に到着してからの救命率が低いため、急救命士のスキル向上が強く求められています。


救命救急センターは以下の三つに分かれています。施設数は87です。


(1)高度救命救急センター(32施設)

(2)地域救命救急センター(12施設)

(3)ドクターヘリ基地施設(43施設)




基本的に日本の救急医療体制は、初期救急、二次救急、三次救急の三つに分かれてます。
患者さんの「重症度」によって、それぞれ振り分けられる恰好となります。


(1)初期救急

初期救急は、入院の必要がない状態で外来診療だけで対応し、診療後に帰宅できる方のみ
対応することが出来る医療機関です。主な診療科目は「内科」、「外科」です。



(2)二次救急

二次救急は、一般病棟への入院が必要な中等症患者(肺炎など)に対応する医療機関です。
病院によって対象範囲が微妙に異なります。



(3)三次救急

三次救急は、二次救急で対応することが難しいとされる重症患者(心筋梗塞、脳卒中など)
に対応する医療機関です。複数の診療科が連携する形で高度な処置を行います。





■複数の診療科が協力しあう難しさとは?


生命の危険に瀕している重症患者には当然のことながら、高度な処置が必要であるため、
「救命救急センター」や「高度救命救急センター」が対応しています。


救命救急センターは、高度な医療を患者に提供し続けなければなりません。人工心肺装置
をはじめ、人工呼吸器など全ての医療機器が最新鋭のものを用意しています。


国内の救命救急センターは、それぞれの地域で救急医療の重要な役割を果たしています。
24時間体制で患者さんを受け入れていますので、看護師さんも常に対応に追われます。


救命救急センターは複数の診療科が垣根を超えて連携することを強く求められます。


特に最近は高齢化社会が急速に進んだことで、高齢の患者さんが救急搬送されるケースが
急激に増えており、疾患によって合併症リスクが高いため、対応するのが困難です。


常に不測の事態に備えて待機していなければならないので、仕事に慣れるまでは大変です。
しかし、仕事に慣れれば医師や他の従業員とも意志の疎通が図れるようになります。


チーム医療は、複数の診療科の垣根を超えながら協力しあうことで成立します。


しかしどこの診療科もマンパワーと時間がたりません。またそれぞれ抱えている患者さん
があるため、思うようにことが進まない難しさがあります。





■救命救急センターで看護師として働く魅力とは?


医師が患者さんに対してどのような処置を行なうか、そばで見ながらサポートするので、
緊張状態の中で色々と大変ですが、ここで培った技術やノウハウは一生物の財産です。


次第に仕事の段取りも良くなり、よりスピーディに処理出来るようになり、救急搬送され
てきた患者さんに対して先を読みながら対応することができるようになります。


ここまで出来るようになると仕事が非常に面白くなります。


救命救急センターには、毎日沢山の危機的状況にある患者さんが入れ替わり立ち代り搬送
されるので、現場の従業員の責任の重さとそのプレッシャーは尋常ではありません。


特に夜に搬送されてきた患者さんは、より重篤である場合が少なくありません。


このため一命を取り留めたことで、患者さんとそのご家族から感謝されることが一般病棟
にて働いていた時よりも確実に多いでしょう。これが働くための原動力にもなります。





■救命救急センターで働くメリットはとは?


救命救急センターで看護師として働くメリットは色々ありますが、何といっても救急搬送
された患者さんは一刻を争う状況にあるため、先を読む力と判断力が自然と身につきます。


またそれにともなって仕事の段取りが飛躍的に向上します。もちろん最初から上手くいく
わけがありません。失敗と挫折を交互に繰り返しながら身につけていくものです。


なぜなら、そうしたスキルを身につけることが出来たのは、日々大変な職場で働いたこと
によるものですが、大変なことを乗り超えれば看護師として自分に自信が持てます。


もし将来的に救急看護認定看護師や集中ケア認定看護師など救急医療に関する認定看護師
になることを検討しているのであれば、救命救急センターで働いた経験が必ず役立ちます。


救命救急センターでの看護師さんの仕事についてですが、基本的に医師の診療補助が中心
となるわけですが、その他にも重症患者の全身管理や清潔ケアなどがあります。


重症患者は、どんなに手術が成功したとしても、いつ容態が急変するかわかりませんので、
わずかでも異常が見られれば、速やかに医師の先生に報告しなければなりません。


こうした小さな積み重ねによって、早期発見することができるんです。


ある程度長い期間救命救急センターで働いている看護師さんは、何らかしらの「使命感」
を持って働いています。むしろそうでなければ働けない厳しい仕事です。


仕事に対する意識が高い人達が沢山いる一つの集合体ですから、それぞれのスタッフが、
チームの一員として求められる役割をしっかり守らなければなりません。


このため、チームの団結力は他の職場にはないほど高いです。そして瀕死の状態にあった
患者さんの一命を取り留めたときの安堵感と達成感は何者にも代えがたい喜びがあります。


しかもチームの面々と喜びを一緒に味わえる点も大きな魅力となっています。


しかし、だからといって特別人間関係が良いというわけではありません。


ときには同じチームのスタッフ同士が怒鳴りあったりすることもありますが、こういった
ことも患者さんを救うためとスタッフの皆さんが必死に頑張っている証拠ですよね。





■仕事で壁にぶつかったら?


救命救急センターでは、心肺停止や重度意識障害などで搬送されることも日常茶飯事です。
いつ死んでもおかしくない状態で搬送され、医師からの指示を待ってないこともあります。


このため看護師さん自らの判断で適切な処置を行わなければならないケースもあるので、
必要となる知識や技術を身につけるために研修に参加して学び続けなければなりません。


また、意識不明の重体で搬送された患者さんとコミュニケーションを取ることはできない
ので、最善を尽くしても死に至るケースが少なくないので、やりきれないこともあります。


救命救急センターでは、患者さんの最期を看取ることも一般病棟よりも多いので、慣れる
までは、些細なことでも深刻に考えすぎてしまい、色々と悩むことも多いと思います。


そうした場合は、すぐに職場の上司や先輩に相談してください。