今回ご紹介させていただく動画は、
再発リスクが非常に高いとされる
「HER2」蛋白=陽性の乳がんを
治療する女性に密着しています。
この患者さんの実のお姉さまも、
3年ほど前に乳がんを患い、
帰らぬ人となりました。
3人の子供を残して死にたくない
という思いから治療を決意!
二種類の抗がん剤を服用することで、
髪の毛がすべて抜け落ち、
以前の明るさは消えました。
7分程度の動画なので、
お時間のあるときにでもじっくり
見ていただければ幸いです。
■乳がんの再発リスクを抑えるには?
「秋元優里さん」
さて、年間およそ五万人の女性が
乳がんになり、一万人以上が
亡くなっているという日本。
シリーズ「がん医療の現場」
第三回目は乳がんの再発リスクと
向き合う女性を取材しました。
「権田幸祐講師」
ガン細胞というのは、
主に血管だとか、リンパ管だと
かそういうものに乗って
転移していくわけですけども...
「ナレーション」
これは血液中をがん細胞が
流れていく瞬間を初めて
分子レベルで捉えた映像。
このように体内に潜んでいる
かもしれない「がん細胞」と
生き残りを賭けて闘う一人の
女性に密着した。
宇都宮市に住む
田崎恵美さん44歳。
去年9月右の胸に
小さなしこりがあるのに気づき、
検査をうけたところ1.1cm
の乳がんと判明した。
「田崎さん」
そのときは、ぞ〜って、
血の気が引きました。
何かちょっと手震え
ちゃったりして。
「ナレーション」
田崎さんは、
がんの摘出手術をすぐに決断。
三人兄弟の末っ子の日向君にも、
乳がんであることをありのまま伝えた。
「田崎さん」
もしかして生きている時間て、
そんなにな長くないのかなって思ったら
家の家族のことを一生懸命気にして
あげようっていう。
「ナレーション」
手術は無事に終了。
乳がんの病巣は取り除かれた。
だが、田崎さんの乳がんは、
再発や転移のリスクが高い
「HER2」蛋白=陽性と確認された。
「古川医師」
再発の危険因子が高いっていう反面、
再発の予防治療として「ハーセプチン」
というお薬の治療が有効である
ということも分かっておりますので
「ハーセプチン」の治療を行う
ということをオススメしました。
「ナレーション」
分子標的薬「ハーセプチン」
「HER2」蛋白のみをターゲット
にした薬である。
「渡辺院長」
血液中に回った「ハーセプチン」が、
その乳がん細胞の表面の「HER2」蛋
白にちょうど手錠をかけるように
結合するわけですね。
でそうするとそれが結合した
がん細胞は一気に死滅してしまう。
「ナレーション」
手術でがんの塊を取り除いたとしても
わずかに残ったがん細胞が血管や
リンパ管を通って全身に散っていく
これが再発や転移の原因になると
考えられている。
そこで世界的なガイドラインは抗がん剤
と「ハーセプチン」を組み合わせた
術後化学療法を推奨している
田崎さんは、この治療を受けることを決意
まず二種類の抗がん剤の投与を開始した
ところ、強い倦怠感に襲われ、
そして髪の毛が抜けた。
「田崎さん」
何か家から出るのが怖くなっちゃった
いつも帽子かぶんなくちゃとか
感染予防気をつけなくちゃとか
こんな姿で外に出て
知っている人に会ったら
「あなたはガンなのね、
早く死んじゃうのかしら」
とか思われるのは、す〜ごく嫌だったし
「ナレーション」
共同経営者として夫の事業を支え、
ボランティア活動などに参加していた
田崎さんだったが、治療を始めて
家に引きこもるようになった。
良き相談相手だった実の姉も
三年前に乳がんで亡くなったという。
「田崎さん」
やっぱりね、時々会いたくなる
同じ病気だからお話したかったのに
色々質問できたらいいのに
質問出来ないのが残念
「ナレーション」
今年3月抗癌剤治療が終了
「ハーセプチン」の投与を開始した
治療費は年間およそ100万円
経済的な負担が田崎さんの
心に重くのしかかる
「田崎さん」
死んじゃうかもしれないなら
したい治療でしょ
でも〜高すぎる
「渡辺院長」
「ハーセプチン」の場合にはですね
リスクは少なくとも半分には抑えられる
それが今、この2010年の医療としては
できる精一杯のところなわけですよ
「ナレーション」
乳がんになる以前
田崎さんの生活の中心は
泳ぐということ
水着へのためらい
体力の低下などから
プールに背を向けていたが
治療後8ヶ月ぶりに初めて
プールに入ることを決めた
「田崎さん」
すごくも〜死んじゃうかもという恐怖感
そういうのがあったんですけど
まぁとりあえず「ハーセプチン」
を入れている間は、守られてる気がして
今はすごく安心感があって
(Q:今は治せる病気だと
いうふうに感じてます?)
いや、う〜ん、治る人もいれば
駄目な人もいる病気...
それはしょうがないと思います
「ナレーション」
突然訪れた乳がんという命の危機
不確実ではあっても
今最善の治療にかけて
田崎さんは生き続ける
「秋元優里さん」
はいさてこちらご覧頂きたいと思います
再発リスクが高い「HER2」蛋白=陽性
の乳がんの女性について
こちらのグラフでは
再発予防の「ハーセプチン」を投与した
グループと投与しなかったグループの
3年後を比較したものです
再発しなかった率の差は「6.3%」
まぁ一見小さい差に思えます
しかし、グラフをこのように
逆さまにしますと、この赤い部分
再発した患者側の視点で見てみますと
この「6.3%」という
「ハーセプチン」で再発を免れた人の
割合は全く別の印象を与えます
この薬に関しまして、医療界の一部で
現在も議論が別れていますが
患者の視点にたった
説明も必要なのでは、と思います
「がん治療の現場」、明日は抗癌剤治療
の現実を検証します。
このあとはこちらです。
動画はここまです。
「ハーセプチン」という、お薬を服用する
ことで乳がんの再発リスクを抑えるわけ
ですが、あまりにも高額ですよね。
しかも、ハーセプチンを服用しない場合と、
服用した場合の再発した差は、6.3%です。
番組内では、決してその差は小さくないと、
していますが、これでは躊躇しますよね。
このケースが適用される民間の医療保険に
運良く入っていたとしても、外来での治療で
自己負担分だけでも30万円前後かかります。
あらためて保険の重要性を実感しました。
いつもほんとうにありがとうございます。
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