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■赤十字の役割と事業内容について


赤十字はスイスのアンリー・デュナン氏が提唱した「人の命を尊重し、苦しみの中にいる
者は、敵味方の区別なく救う」ことを理念を事業として活動している国際的組織です。


現在189の国と地域にまでその活動は広がっています。日本赤十字社もその一つです。
日本赤十字と聞くと献血やボランティアをイメージされる方が多いかと思います。


しかし、実際には人命を救うために幅広い活動を行っています。日本の看護師さんの育成
にも貢献している組織でして、日本の医療の屋台骨を支える重要な役割を担っています。


誰もが一度は赤十字の血液センターで献血をしたことがあるのではないでしょうか?。
私はお菓子とジュースが欲しさに両親と一緒に子どものころから献血してました。


ちなみに赤十字の血液センターでも看護師さんの活躍の場は日本全国に沢山あります。


赤十字の血液センターで働く看護師さんの仕事は、献血者の採血がメインとなります。


病院での仕事と勝手が異なりますので、慣れるまでは戸惑うことも多いかと思います。


しかし、臨床経験がある看護師さんであれば問題なく働くことができます。





■赤十字の血液センターで働く条件とは?


血液センターは夜間の業務も一部行っていますが、看護師さんの夜勤は原則的にありませ
んし、同様に日曜日も営業していませんので、日曜出勤はありません。


時間外勤務もほとんどありませんので、この点だけで見れば赤十字の血液センターで働く
ことに魅力を感じるかもしれませんが、やはりメリットがあればデメリットもあります。


血液センターは夜勤がなく、残業も少ないのでプライベートをより充実させることができ
ますが、その分お給料は安くなりますので、その点は十分考慮しなければなりません。


過去の各都道府県にある血液センターの募集案内から正社員の月給を見てみると19万円
代後半が圧倒的に多く、これに各種手当がプラスされる形となっています。


勿論福利厚生(健康保険、雇用保険、労災保険、厚生年金、同基金)は充実しています。
家庭のある看護師さんでも仕事と家事を両立させながら働くことは十分できます。





■血液センターの仕事とは?


長期のブランクがある看護師さんでもやる気さえあれば問題無く働くことができますし、
採血に自信がなくても、患者さんに行なうのとは条件が異なりますので大丈夫です。


最初は緊張するかもしれませんが、いきなり職場に配置されません。講習期間を経てから
職場に配置され、また一日に相当数の採血をこなすことになりますので、すぐに慣れます。


採血に自信が持てるようになると、病院の仕事に戻ることへの抵抗も払拭できます。


そして、病院のように患者さんが救急搬送されることもありませんので、心に余裕を持ち
ながら働けます。しかし、血液センターでの献血関連の仕事は決して楽ではありません。


また、赤十字の血液センターの仕事は、医療行為を行なうと勘違いされている方が少なく
ありませんが、赤十字が運営する赤十字病院と血液センターは基本的に異なります。


血液センターでの仕事は血液センター内で献血者の献血と地域内を移動しながら献血する
二つの業務に分かれています。来るまでで移動するので拘束時間はその分長くなります。


また献血者が極端に集まらないときもありまして、そうした場合は車の外に出て献血して
もらえるように声がけを行わなければならないときがあるかもしれません。


ですので血液センター内での仕事を多くの看護師さんが好んでいますが、いずれにしても
血液センターでの仕事は毎日沢山の採血を繰り返し行なうことになります。


慣れてくると仕事が単調になるので、人によっては退屈に感じます。


しかし長期間に渡って血液センターで働きたいのだれば、それに耐えなければなりません。


また毎日違う人に接することになりますので、顔なじみになることはありません。


この点に関してはメリット・デメリット両方あるかと思いますが、毎日頑張ったことで、
採血は上手にできるようになったとしても、他の看護ケアの技術は劣化すると思います。


つまり将来的なキャリアプランがしっかりある看護師さんには不向きな職場です。


また簡単なパソコン操作もあるので、パソコンに苦手意識がある方は躊躇するかもしれま
せんが、携帯でメールのやり取りができれば全く問題ありません。すぐに慣れます。





■赤十字の血液センターの裏事情とは?


基本的に血液センターでは誰でも条件を満たせば献血することができますが、健康でなけ
れば献血できないので、病院で患者さん相手に行っていた採血とは異なります。


まず心理的なプレッシャーが小さいです。よほど酷い対応をしなければクレームをつけら
れることもありません。しかし献血者は注射に対して恐怖感が大なり小なりあります。


その緊張を解きほぐすためにも、ちょっとしたコミュニケーションが重要でして、少ない
言葉でも献血者さんをリラックスさせられますし、そうすればスムーズに採血できます。


また、人によってはごく稀に採血が終わった直後に突然体調不良に陥る方もいますので、
そういった方々のケアも血液センターで働く看護師さんの大切な仕事です。


仕事になれてくると、病院で患者さんに採血していたときよりもリラックスしながら採血
している自分に気づくと思います。そうすると心に余裕が生まれ、仕事も楽しくなります。


当然のことながら採血した血液はすぐに使用することはできません。


厳しい血液検査を行ったのちに日本全国の医療機関に流通することになります。


ですので、場合によってはトラブルも生じます。例えば過去にB型肝炎を発症していたり、
現在糖尿病を患っていることが後になって発覚することも少なくありません。


そういったこともあって、ちょっとした保健指導を行なうこともあります。


こういった場面で看護師として働いた経験が役に立ちます。


意外に思われるかもしれませんが、年々献血者を確保するのが難しくなっています。


まず平日に血液センターを訪れてくれる人は限られてますし、駅前など人が集まりやすい
場所へ車で移動しながら「献血活動」を行なうのも結構たいへんです。


みなさん忙しいので、余裕がないため、足早に通り過ぎていきますので、本来であれば、
看護師さんの仕事ではない、献血の呼び込みも自ら買ってでるくらいの気持ちが必要です。