今回ご紹介させていただく動画は、
福島中央テレビの番組「福島ドクターズTV」
「過敏性腸症候群」を特集したものです。
過敏性腸症候群は、強いストレスによって、
下痢や便秘が生じてしまう病気です。
仕事や学校などの人間関係に苦しめられる
など、強いストレスにさらされることで、
発症しやすくなってしまうのです。
短期的には誰でも日常的に起こりえますが、
長期化する場合はすぐにでも専門医に
診てもらう必要があります。
今回の動画では、過敏性腸症候群の直接的
原因や症状、治療法も解説してます。
今回の動画も15分以上ありますので、
非常に長いですが、お時間のあるときにでも
ご覧いただければ幸いです。
■過敏性腸症候群の症状と原因について
「中川久美さん」
みなさんこんにちは。
「見る、知る、学ぶ」福島ドクターズTV、
ナビゲーターの中川久美です。
さて、緊張すると、急にお腹が痛くなって
下痢をしたり、便秘になったりしてしまう、
そんな症状で悩んでいる人が多い
のではないでしょうか。
今回のテーマはこちら
「過敏性腸症候群」です。
過敏性腸症候群は症状の軽い人も含めると、
日本人の5人から10人に1人はいるとされ、
新たな国民病の一つとも言われています。
ところが実際に医療機関を受診する人は半分
以下で人知れず悩んでいる人が多い病気です。
過敏性腸症候群とは
どんな病気なのでしょうか、
まずはそのメカニズムから
見ていきましょう。
「ナレーション」
口から入った食べ物は胃で消化され、
小腸で栄養分などが吸収されます。
そして残ったものが大腸で便となり、
体の外に排出されます。
小腸から体調に移ったとき便は多くの水分
を含んで形のない状態ですが、
大腸は「蠕動運動」と呼ばれる動きで
これを先へ先へと運びながら水分を吸収し、
ちょうどいい水分量の便にしています。
しかし、何らかの原因で大腸の動きが乱れる
と水分が十分に吸収されないうちに
便が運ばれてしまって
下痢をしたり、逆に長くとどまることで水分
が吸収されすぎて固まってしまうために、
便秘になったりするのです。
会津若松市の遠藤クリニック院長遠藤剛先生
にお話を伺いました。
「中川久美さん」
なぜ大腸の動きが乱れてしまうんですか。
「遠藤剛先生」
はい、基本的には一番はストレスが原因です。
胃に食べ物が入ると排便しなさいよという
指令が腸に行って排便するわけですね。
で、脳にストレスを感じると、それが腸に
伝わって、腸の動きの乱れを起こすわけです。
例えばよく子供の頃に、運動会の前に
緊張して下痢しちゃったり
あとは会社の重要な発表の前にお腹痛く
なったり、下痢することがありますよね。
あれと一緒なんですね、
ただそれが一過性のもので終わればいいん
ですけども、それが長く続くという
ことが問題ないですね。
「ナレーション」
腸は考える臓器あるいは第二の脳とも
呼ばれ、他の臓器よりも脳と密接に関係
していると言われます。
腸には脳と同じ神経が沢山あって、それが
つながっているため、脳が感じたストレス
が腸にそのまま伝わってしまうのです。
そしてバランスを崩した腸は
下痢や便秘、腹痛などを引き起こし
その痛みや不快感が今度は脳に伝わって、
さらにストレスを感じるという悪循環
が生まれてしまいます。
この悪循環を断ち切ることができないと
わずかな刺激でも腸や脳が過敏に反応する
ようになり、下痢や便秘が慢性的に
繰り返されるようになるのです。
「遠藤剛先生」
子供でいえば受験のストレスであるとか、
または親との関係、それで友だち関係、
まあ、大人になって、会社に入ったりすると、
今度は上司との関係、仲間との関係
ストレスって言うのは
色々な原因がありますよね。
極端なことを言えば、
急激なストレスが来れば、僕だって
明日からこの病気になるかも知れない
まぁすべて明日は我が身の病気なんですよ。
「ナレーション」
過敏性腸症候群は十代から三十代の比較的
若い年代に多く見られる傾向はありますが、
ストレスにさらされる状況にあれば
誰もが成り得る病気なのです。
■過敏性腸症候群に苦しむ人達の声
「中川久美さん」
人生の節目になるような大きな出来事から
日常のちょっとしたいらだちや緊張まで
病気の原因となるストレスは私たちの
周りにたくさんありますね。
そんなストレス社会を反映して、
過敏性腸症候群になる人が増えていますが
一方でこの病気について
正しく理解している人は少ないようです。
「高校生の患者」
まぁ下痢気味の、本当にすごく痛い感じで、
日頃からイライラしてるんですよね。
家でも学校でも、勉強なんかが上手く
はかどらなかったりするとすぐイライラして
そういうのがストレスになっているのかなと
自分では思っていました。
「60代女性患者」
ある団体に入っているので、
新年度になるので、役員改正などあって
私には重荷な役が選挙で仰せつかって
しまったものですから
さてさてこれからどうしよう...
みたいなストレスもちょっとあったんですね。
そのうち下痢が始まって、
毎日、酷くお腹がくだるもんですから...
「60代男性患者」
そういった関係から(過敏性腸症候群に)
なったんじゃないかなという
感じもあります。
「ナレーション」
過敏性腸症候群は、その症状から
3つのタイプに分けられます。
便秘が続き、お腹が苦しくなることが多い
「便秘型」。トイレに行ってもウサギの糞
のようなコロコロした硬い便しか出ないのが
特徴で女性に多い傾向があります。
一方、を頻繁にお腹が痛くなり、下痢をする
「下痢型」は男性に多く見られます。
そして便秘や下痢を交互に繰り返す
「便秘下痢交替型」、男女ともに
最も多いタイプです。
他にもお腹が張ったりゴロゴロしたり、
またおならなどの症状が強いのも
過敏性腸症候群の特徴です。
「遠藤剛先生」
症状の現れ方っていうのは、ストレスの
度合いによっても違うんですけども、
個人差が非常にあるわけですね。
たまたまストレスが無いときは
もうそこで治ってしまう。
また毎日毎日下痢や便秘を繰り返すという
ことでもないわけです。
週末だけ自宅に帰ってくる方がいますよね。
その時はほっとして、症状は何も出ないけど、
また会社に行く月曜日あたりになると、
お腹が痛くなってしまう、まぁ色々ありますね。
■なぜ多くの人が間違った診断をされてしまうのか?/span>
「ナレーション」
過敏性腸症候群は下痢や便秘などの
つらい症状があるにも関わらず
医療機関で正しく治療を受けている
人は決して多くはありません。
症状を人に言えなくて
一人で悩んでしまっていたり
体質だからと思いこんで、
市販薬などでとりあえずの処置をしながら
ごまかしていたりするのです。さらに...
「中川久美さん」
便秘とか下痢を繰りかえすような
形だったんですか?
「50代男性患者」
ええ、それは前々から。
例えば、調子が悪い時にいろいろな
先生に診てもらったりする時に
そんな話(便秘や下痢を繰り返すこと)
をしたこともありますけども、
特にそれで、特別な薬を飲んだりは
していなかったですね。
「中川久美さん」
過敏性腸症候群ですよ、という話はなかった?。
「50代男性患者」
そうですね。
過敏性腸症候群とは診断されなかった
「ナレーション」
医療機関を受診しても過敏性腸症候群と
正しく診断してもらえないケースも
少なくないのです。
「遠藤剛先生」
過敏性腸症候群という病気は、
腸の動きがストレスによって
産み出される病気ですよね。
ですから検査をしても大腸の内視鏡とか、
あとは大腸のバリウム検査をしても
異常ないわけですね。
で、お医者さん中でもまだまだ知らない
先生がいて、まあその先生の所へ行くと
「たまたま気のせいだよ」とか、
「お前は神経質だからだよ」なんて
言われて、ああそうだったのかって、
妙に納得したりして、その病気を長引かせ
てしまうということもあるわけですね。
ええ、ですからこの病気は
どこに行っていいか分からない
また誰に相談していいかも分からない。
人知れず悩んでる方がこの世の中には
たくさん僕は絶対いると思います。
「ナレーション」
過敏性腸症候群はほおっておくと、
症状が重くなってしまうばかりでなく、
トイレが不安で外出できないなど、
生活の質を落としてしまうことにも
なりかねません。
それだけではありません。
便秘や下痢などの症状は大腸がんや腸の炎症
の病気でも見られるため、大腸内視鏡などの
検査をして、他の病気がないかを
確認することも大切です。
「中川久美さん」
突然下痢や便秘になり、それが長く続く
という場合は、胃腸科や消火器内科を
受診することをお勧めします。
このあとは過敏性腸症候群の治療
についてお伝えします。
■過敏性腸症候群の治療について
「ナレーション」
過敏性腸症候群の治療は
問診の時から始まっています。
「遠藤剛先生」
診察室では、なかなか患者さんも
言えないこともありますから
僕が個室に呼んでお話を聞くと、
逆にこの医者の前に来ると、お話ができなく
なる患者さんもいると思うんですけども
そういう方のときには個室に看護師さんと
一緒に行ってもらって悩みを聞いてあげると
それで、その悩みを全部吐き出すと、
「ああもうすっきりした」で治って
しまう方もいるわけです。
ですからちゃんとお話を聞いて、
そのストレスを解消してあげるということが
僕は一番大事なことだと思います。
「ナレーション」
どんな病気にも言えることですが、
治療をする上で大切なのは患者と医師が
信頼関係を持てること。
ストレスが原因となり、精神面が大きく影響
する過敏性腸症候群では特に重要です。
患者の症状によっては心療内科の医師と協力
し合って治療を進める事もあります。
具体的な治療は食事や生活習慣の
改善が中心になります。
十分な睡眠、適度な運動、規則正しく偏り
のない食事、基本的なことばかりですが
生活習慣を見直して腸の働きを整えたり、
ストレス解消に努めたりすることが、
この病気を治す一番の近道なのです。
また、必要に応じて
薬による治療も行われます。
大腸の動きを整える
薬や腸の中の環境を良く
する薬など過敏性腸症候群の薬は
種類がとても豊富です。
今注目されているのは、
便の水分バランスをコントロールして、
便そのものの硬さを調節する
ポリカルボフィルカルシウム製剤
と呼ばれる薬です。
効果が感じられるまでに
数週間ほどかかりますが、
下痢にも便秘にも幅広く使う
ことができます。
さらに最近は脳で感じたストレスが、
腸に伝わるのをブロックする
薬も登場しました。
この薬は便秘型や交替型には
あまり効果はなく、女性が服用すると
便秘になるケースが多いため
下痢型の男性にしか使えませんが、
一日一回の服用で即効性があると
期待されています。
「中川久美さん」
病院に来て先生と話してみて
良かったなって思います?。
「高校生の患者」
はい。ほんとうに
「中川久美さん」
気持ちの部分で
だんだん違ってきたんですかね?。
「高校生の患者」
前向きになってきました。
「中川久美さん」
考え方が変わったら、楽になりました?。
「高校生の患者」
はい。とても楽になりました。
「60代女性患者」
外出するのも怖くてできない状態
どこででもお腹が痛くなるもんですから
今はね、ほんとにいい、治ったというか、
気にしないで外出できるようになりました。
「中川久美さん」
下痢や便秘が続くと辛いし、何をするにも
憂鬱になっちゃいますよね。
「遠藤剛先生」
そうですよね。
あのー、体質とか気のせいではなくて、
過敏性腸症候群という病気があるんだという
ことをまず多くの方に知っていただきたいと
今はいい薬もありますから
ちゃんと治療すれば必ず良くなります。
そういう意味では安心して欲しいと思います。
「中川久美さん」
過敏性腸症候群は現代のストレス社会を
象徴する病気といえそうですね。
なお、過敏性腸症候群に関する情報は
読売新聞の医療サイト「ヨミドクター」
でもご覧いただくことができます。
是非御覧になってください。
それでは、また来月お目にかかりましょう。
突然発生する病気やけがなどに対応する
「救急医療」、次回はその救急医療
の現場に密着します。
■噛むことでストレスが驚くほど緩和される
医療サイトヨミドクターの記事を紹介する
「ヨミドクタープラス」。
噛むという行為がストレス解消に抜群の効果
があると最新の脳研究でわかってきました。
神奈川歯科大学の教授の小野塚さんは
ある実験をしました。
二十〜六十歳代の男女二十三人に
ヘッドフォンで大音量の非常ベルの音を
聞いてもらいました。
すると全員がこの音を不快と感じました。
続いて非常ベルを聞きながら
ガムを噛んでもらうと、十八人があれほど
嫌がったのに今は気にならない
などと感じています。
参加者の脳の活動を記録してみると大音量
だけのときは脳の扁桃体の活動が活発だった
のにガムを噛んで口の筋肉をよく動かすと
扁桃体の活動が抑制されたのです。
小野塚さんは噛むという最も本能的な行為が
ストレスを発散させていると見ています。
ストレスに関する情報も
ヨミドクターのサイトでチェック!!
今回の動画はここまでとなっています。
悩みが深刻であればあるほど症状が悪化する
ようなので、出来るだけ考えないことも
時には大切なんだそうです。
長期化すれば腸と脳の働きに悪影響を与える
可能性が高いので注意が必要ですね。、
もし気になるのであれば、「消化器内科」
を受診したいと思います。
いつも本当にありがとうございます。
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