今回ご紹介させていただく動画は、
福島中央テレビの番組「福島ドクターズTV」
「腎臓病」を特集しています。
腎臓は体内の水分を濾過して尿を作り出す、
人が生きて行く上で重要な臓器の一つです。
腎臓の働きが悪化してしまうと、透析治療
を受けなければ命がもたなくなります。
また、心筋梗塞や脳梗塞といった
合併症リスクが高まることになります。
今回の動画では、腎臓病の、原因、予防
治療などについて解説してます。
今回の動画も15分以上ありますので、
非常に長いですが、お時間のあるときに
ご覧いただければ幸いです。
■腎臓病とは?
「中川久美さん」
みなさんこんにちは。
「見る、知る、学ぶ」福島ドクターズTV、
ナビゲーターの中川久美です。
さて、特に大切なことを、
肝心あるいは肝腎と表現します。
これは肝臓と心臓、もしくは肝臓と腎臓が
人体にとって、なくてはならないもので
あることから生まれた言葉です。
今回のテーマはその大切な臓器「腎臓」
を蝕む「慢性腎臓病」です。
慢性腎臓病はいろいろな原因で慢性的に
腎臓の働きが低下していく病気の総称です。
慢性腎臓病は新たな国民病とも呼ばれ
現在日本では成人の8人に1人およそ
1330万人の人がこの病気を
抱えているといわれます。
ところが実際に医療機関で治療を受けて
いる人は決して多くはありません。
慢性腎臓病とはどんな病気なのでしょうか?。
「ナレーション」
腎臓は腰のあたりに左右一つずつあって、
握りこぶしぐらいの大きさで「そら豆」
のような形をしています。
腎臓の中には細かい血管が詰まった
塊がたくさんあって、この塊が血液から
老廃物や毒素、余分な水分などを取り
除いて尿を作っています。
ところが何らかの原因で腎臓の働きが
悪くなると正常な尿が作れなくなって、
身体の中に老廃物や毒素が貯まります。
そして病気が進むと腎臓の機能が失われ、
血液を人工的に濾過する人工透析や腎臓
移植をしなければ命を維持できなく
なってしまうのです。
郡山市の太田西ノ内病院 腎センター長の
佐藤衛先生にお話を伺いました。
■腎臓の働きが悪くなる原因とは?
「中川久美さん」
みなさんこんにちは。
「見る、知る、学ぶ」福島ドクターズTV、
ナビゲーターの中川久美です。
「中川久美さん」
なぜ腎臓の働きが悪く
なってしまうのでしょうか?。
「佐藤衛先生」
原因としては、腎臓だけが悪くなるものと、
全身の病気で腎臓も悪くなるものと
二つに分けられます。
しかし、その多くは現在の飽食の時代、
糖分、脂分、塩分、こういったものを
摂りすぎたり、運動不足やタバコ
こういった悪い生活習慣の積み重ねが
大きく影響して悪化させている
と考えられます。
腎臓は身体の毒素を外に出すばかり
ではなく、血圧をコントロールしたり
ホルモンを作って貧血を治すといった
いろんな働きをしていますが
そういった多彩な機能が病気になると
一つずつ失われてしまいます。
■透析を受ける患者が増えている理由とは?
「ナレーション」
こちらは日本で透析治療を受けている
患者の数を表したグラフです。
この40年で劇的に増え、
現在は30万人を超えています。
「中川久美さん」
なぜ透析になる人が増えているんですか?。
「佐藤衛先生」
腎臓の病気というのは、早期のうちには
ほとんど症状がありません。
自覚症状が出た頃には、
腎臓病が悪化し、透析の一歩手前という
ふうなところ、透析を必要とするほど
進行してしまってから初めて症状が
でることが多いですね。
また腎臓というのは、
ある程度悪くなってしまうと
元の状態に戻ることはできませんので
やはり出来るだけ早い状態で、
腎臓が悪くなるのを抑えることが
重要だと思います。
「中川久美さん」
腎臓は沈黙の臓器と呼ばれ、
慢性腎臓病は自覚症状がないまま
進行する病気ですが、実はリスクは
それだけではありません。
そこにこの病気の
もう一つの怖さがあります。
■腎臓病患者の声
「中川久美さん」
何か症状っていうのはありましたか?
「70代男性患者」
いや、自覚症状はないんですよ。
だからなおさらね、ただ末期、(透析)
間近な頃になったら足がパンパンに腫れて
靴が入らないんですよ。足が腫れて
「60代女性患者」
腎臓病特有のむくみが
きたんですよね、体の方にね
「中川久美さん」
どのあたりがむくんできたんですか?
「60代女性患者」
やっぱりまぶたですね、一番は
即、ここの病院に検査に来たんですけど
来た途端に入院してくださいと
言われました。
■慢性腎臓病の合併症リスクについて
「ナレーション」
慢性腎臓病の主な症状は、むくみや貧血、
息切れ、食欲不振などです。
しかし、これらの症状は病気がかなり進行
しないと現れないため、気づくのが
遅れるケースがほとんどです。
腎臓の機能が極度に失われると、
人工透析が必要になりますが、それだけ
では進まない問題が出てきます。
「佐藤衛先生」
慢性腎臓病がありますと腎不全や人工透析
に至る前に心筋梗塞や脳卒中などの合併症
を起こす危険性が高まります。
ある日突然、心筋梗塞で運ばれてきて、
そこで初めて腎臓が悪くなってるという
のを知ったり、実は何年か前にタンパク尿
があったりとか、そういう患者さんが
たくさんいらっしゃいます。
■早期発見のポイントとは?
「ナレーション」
慢性腎臓病は心臓や脳の病気に直結する
危険があることが最近の研究で
分かったのです。
壊れた腎臓を元通りにはできませんが、
早く見つけて治療を始めれば病気の進行を
抑えたり、合併症を防いだりすることが
できると言われています。
そのためにはまず検査で病気を
見つけることが重要です。
「中川久美さん」
最初に病気がわかったきっかけって
いうのは何かあるんですか。
「50代女性患者」
それは、町の検査です。
たまたまずっといってなかったんですけど、
50代半ばになったので、そろそろやって
みようかと思ってやったら尿にタンパクが
出ていたんですよね。
「ナレーション」
兆候をつかむのが難しい
「慢性腎臓病」ですが、一つの手がかり
になるのが淡泊尿です。
腎臓の働きが悪くなると、
健康な時は漏れ出すことはほとんどない
タンパク質が尿の中に確認されるので、
尿検査をすれば腎臓の状態を知る
ことができます。
ところがタンパク尿があっても痛みなどの
各症状がないため、そのまま放置して
しまうケースも少なくありません。
■健診を受けた腎臓病患者の声
「50代男性患者」
あとから思えば会社の健診のときに
「ちょっと尿たんぱく出てますね」
というぐらいですよね。
「中川久美さん」
尿がひっかかってますよ
という指摘があっても...
「50代男性患者」
ちょっとタンパクが出るのは、
疲れても出るというところで、
あんまり気にはしていなかったんですよね。
■検査でもし問題を指摘された?
「ナレーション」
検査で指摘されたら必ず再検査を
受けるようにしましょう。
また、腎臓に問題があっても、
たんぱく尿が出ないこともあるため、
尿検査と合わせて血液のクレアチニン検査
を受けることも大切です。
クレアチニンは老廃物なので腎臓が正常
であれば、尿として外に出され、血液の中
にたまることはほとんどありません。
血液の中のクレアチニンの量を測ること
でも腎臓の状態を知ることができるのです。
「中川久美さん」
クレアチニン検査は健康診断の検査項目に
含まれていないことが多いようですが
数百円程の追加料金で受けられる
場合もありますので医療機関で
相談してみてください。
このあとはこうした検査について
多くの人が誤解しがちな点、それに
慢性腎臓病の治療についてお伝えします。
■検査を受けるさいの注意点
「佐藤衛先生」
現在のように高齢化社会になると、
目が悪い、ひざが悪いというように、
いくつかの病気を持つ患者さんが
いらっしゃいます。
また、そういう患者さんは多くの一般の
先生方に診ていただいているわけですけれ
ども、すべての病気がひとりの先生で
カバーできるとはいえません。
ですから、尿の検査やクレアチニンなどを
年に一度ぐらい調べて頂いて腎臓に病気が
あるかどうかを診て頂くのが
重要かなと思います。
「ナレーション」
佐藤先生は沈黙の臓器といわれる
腎臓たからこそ、定期的な検査が
重要と強調しました。
「中川久美さん」
確かに医療機関にかよっていると、
体の隅々までにてもらっているような
気がして通院安心してしまいがちですが、
膝の痛みで通う整形外科で腎臓や肝臓まで
ケアしてくれるわけではありません。
定期的に検査を受け自分の健康状態を
確認するよう心がけたいですね。
続いては「慢性腎臓病」の治療です。
■腎臓病の治療について
「ナレーション」
慢性腎臓病の治療の基本は生活習慣の
改善と食事療法です。
肥満の解消や禁煙、塩分を減らす
ことを心がけ、初期であれば
適度な運動を行います。
過労を避けて十分な睡眠を
とることも大切です。
また、肉や魚などのたんぱく質の
とりすぎは腎臓に負担をかけるため、
制限されるケースもあります。
生活習慣の改善と食事療法だけでは、
病気の進行を抑えられない場合は
薬による治療が行われます。
中心になるのは血圧を下げる薬です。
腎臓の働きが悪くなると血圧が上がり、
腎臓の負担が増えてますます腎臓の機能が
低下するという悪循環になるため、血圧を
コントロールすることが重要なのです。
■治療中の腎臓病患者の声
「50代女性患者」
成人病の健診なり受けておけば、
きちんと毎年毎年受けておけばよかったと、
今になってというかね、病気になって
はじめて思うところです。
「中川久美さん」
透析を始められて、
どれくらいになるんですか?
「60代女性患者」
ちょうど20年めに入ります。
やはり大変でしたね。普通の生活を
したいと自分の気持ちもありましたから、
なるべく透析が終わったあとも動くよう
にはしてましたしね。
「中川久美さん」
今、お顔の色もいいし、
とってもお元気そうですね。
「60代女性患者」
そうですね。おかげさまで透析さえ
やっていれば普通と変わりないです。
旅行なども結構行ってます。
■腎臓病の治療について
「中川久美さん」
もっと腎臓大切にしないといけないですね。
「佐藤衛先生」
そうですね。
もし病気があっても早ければ
まあ治すこともできますし
あるいは治療法を組み合わせることに
よって、病気を進行させないという
こともできます。
まずは検査を受けていただくという
ことが重要です。また仮に病気が進んで
しまい透析になったとしたとしても、
日本の技術はすごく進んでおりますので、
何十年も透析をしながら世界中で仕事して
る方もたくさんいらっしゃいます。
ですから病気がどのレベルであっても
あきらめないで頑張ってほしいと思います。
「中川久美さん」
慢性腎臓病の検査や治療は腎臓内科や
泌尿器科、小児科で受けることができます。
なお、慢性腎臓病に関する情報は読売新聞
の医療サイト「ヨミドクター」でも
ご覧いただくことができます。
是非ご覧ください。
■医話Q代題「腎臓の驚くべき機能」
「中川久美さん」
今日お伝えしている腎臓ですが、
この臓器には驚くべき機能がありました。
改めてご紹介しましょう。
「ナレーション」
腎臓は血液を濾過して尿を作っていますが、
一日に濾過する量はどれくらいだと
思いますか。およそ150リットル、
浴槽一杯分にもなります。
それをそのままに尿として外に出すわけ
ではなく、体に必要なものは再吸収して
血液に戻す仕組みです。
尿になるのは老化した量のおよそ百分の一
にあたる1.5リットルほどです。
「中川久美さん」
なぜ一度に大量に濾過してから
再吸収するんでしょうか?。
「佐藤衛先生」
例えば、脱水を起こしそうな夏場、
おしっこが濃くなって、あまりおしっこが
出なくなりますが、これは体の水分を
保つために、あえて尿を出さない
ようにできています。
逆に水分を多く摂り過ぎてしまった場合
には尿の量を増やして水分バランスを
調節しているわけです。
腎臓ははこのような状況に合わせて
柔軟に応するため、最初に濾過する量を
多くして調節の幅を大きくしています。
「ナレーション」
左右二つ合わせても300gほどの
小さな臓器が私たちの命を支えています。
「中川久美さん」
腎臓は命を支える、
まさに肝腎な存在ですが、
どんなに疲れてもギリギリまで
悲鳴をあげません。
だからこそ、検査という形で常に元気で
いるかどうかを確認するように
心がけたいですね。
それでは、また来月お目にかかりましょう。
次回は目の生活習慣病とも呼ばれ、
患者が増えている加齢黄斑変性
がテーマです。
加齢黄斑変性とは
どんな病気なのでしょうか?。
今回の動画はここまでとなっています。
腎臓の働きが悪化すると、日常生活に
大きな障害をきたすことになります。
透析治療は大変苦痛をともないますので、
精神的にかなり辛い状態に追い込まれます。
健康を維持するためにも、
30歳後半になったら、食事、
適度な運動、睡眠が重要ですね。
いつも本当にありがとうございます。
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