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今回ご紹介させていただく動画は、
帝京大学医学部附属病院の平林医師による
「形成外科」における最新治療について
大変わかりやすく解説しています。


形成外科では、交通事故や怪我などによる
体の部位の損傷だけでなく、先天異常の
治療まで幅広く行っています。


医療機器が進化したことによって、
あきらめなければならなかったような、
症状も手術により改善することが
可能となりました。


その代表的な手術としてあげられるのが、
乳房再建手術で、飛躍的に進化してます


これにより、手術を受けられる患者さん
の不安や悩みも大幅に軽減してます。


今回の動画では、実際に行われている
治療について分かりやすく解説しています。



今回の動画も15分以上ありますので、
非常に長いですが、お時間のあるときに
ご覧いただければ幸いです。
 
 
 

 
 
 
 
■形成外科の仕事とは?



「ナレーション」

事故や手術などで残った傷跡、
その傷跡をできるだけきれいにする
形成外科に注目が集まっています。



「平林慎一医師」


我々形成外科というのは、
「体表」、体の表の部分の解剖、
血管が入っているのか?。


あるいは神経がどこを通っているのか、
ということに詳しいです。


また傷の治りがどのようにして
傷が治っていくのか、どのようにしたら
早くキレイに治るか詳しいので...


そのような知識をベースに体の先天異常
あるいは事故によってでた傷を治すと
そういうふうな仕事をしています。



「ナレーション」

特に近年の乳がんで切除した乳房を
再建する手術が増えています。



「患者さん」

あまり目立たなくなってるみたいなので、
それは明るく未来を考えてます。



「ナレーション」

患者さんが笑顔で社会生活に
復帰できるように傷跡をきれいにする、
それが形成外科の仕事です。



「佐々木梓さん」

日本で形成外科が登場して半世紀以上、
現在では医療技術の進歩により、
形成外科が関わる領域は
広くなっています。


今回は形成外科の中でも
乳房再建にスポットを当てます。




■形成外科が扱う症例とは?


「ナレーション」

帝京大学医学部形成・口腔顎顔面
外科学講座:平林慎一教授


形成外科の第一人者として
長年取り組んできました。


早速平林先生にお話を伺いました。



「佐々木梓さん」

形成外科が扱う症例には
どのようなものがありますか?。



「平林慎一医師」

元々生れつきの異常あるいは
ケガというふうになりますけども、
そういう意味では生まれつきの
異常としては比較的多いのは
耳の変形であったり


あるいは唇の変形、
そういうものが多いです。


また、怪我といたしましては、
どうしても手足のけがというのは
形成外科という関係上


我々としては顔の怪我、
顔の骨も骨折しますし、
あるいはどちらかというと
指先の部分とか、そういうふうな物に
対する治療の方が多いという状況です。



「ナレーション」

交通事故や転倒などが原因でおこる
顔面骨折、眼窩底骨折、鼻骨骨折、
頬骨骨折、下顎骨折などがあります。




■形成外科の治療について


「平林慎一医師」

骨折は手足と一緒ですけども、
もともとの位置に正しい位置に戻して、
そして、実際にプレートという金属で、
あるいは最近は吸収されるような材料も
ありますけども、そういうものを
使って固定します。


ただその際、傷はなるべく、
特に顔ですので、使いたくありませんので
つけたくありませんので


口の中に置いたり、あるいは目の近くとか
非常に傷が目立たないところに作るという
ふうな手術の仕方をしています。



「ナレーション」

顔面骨折の場合は眼科や口腔外科
などの医師もかかわるため...


手術前の合同カンファレンスで
最善の治療法を確認します。


最近は骨折の大きさや深さなど
3D画像で確認できるようになり
治療効率が格段に上がったと言います。



「平林慎一医師」

いかにもそれを見たようなことができます
ので、非常に分かりやすくなってます。


もちろん一般の方でも分かります。


また我々医療者にとっても、
それをいちばん最初に見ることによって、
それで大体ここおかしいんじゃないかと
いうところを、今度は通常の二次元のCD
にもっていてもう一度確認すると、
そのような仕事をするわけです。




■先天異常などの治療とは?


「ナレーション」

先天異常といわれる生まれつき体に異常
がある場合は、その部位にあわせて正常
に近い形で再建する手術を行います。




「平林慎一医師」

例えば唇、昔からありますように口唇裂、
あるいは口蓋裂というふうな病気がある。


口唇裂の場合には、
やはりどうしても見た目、
どうしても目立ちますので、
それをやはりきれいに見た目を
わかりにくいようにと


それ以外にはやっぱり哺乳がしにくい、
食べ物が食べにくい、あるいはまた口蓋裂
というのは、口の中がうまくくっついて
いないわけですけども


そのままにしておきますと、
食べ物が鼻の方から出てきたり、
あれはもと困るのは全部空気が
上の方に抜けていくわけ


あるいは言葉という言葉がしゃべれない
ということがありますので...


言葉が出る前に、それを治療して
やる必要があるわけです。



「ナレーション」

口唇裂や口蓋裂の手術は、
生後三ヶ月頃から始め、
正しい発音を覚える一歳半頃
までに治療します。



「平林慎一医師」

お子さんはどんどん
成長していくわけです。


そのために一回治しても
また変形がきますので、
じゃあ大人になるまで何回か
手術は必要と思って下さい。



「ナレーション」

そして皮膚や皮下腫瘍の切除手術や
悪性腫瘍を切除後の再建を行います。


多くの女性ががコンプレックスと
感じている痣やホクロの切除には
レーザーを使用します。


この治療には電気メスのようなもので
組織を焼く方法と、メラニンや赤あざ
などのシミに対しては、色を抜く
方法があります。



「平林慎一医師」

焼いてしまいますとね、
組織学的な検査すなわち顕微鏡で見たり
することが出来なくなります。


ですから、少しでもガンとか皮膚がんが
流れるようなものは、レーザーで治療
というわけにはいきません。



「ナレーション」

すなわちレーザー治療は専門知識を
持った医師がいる医療施設で
行うことが大切なのです。


このように、形成外科の医療領域は広く、
治療技術も確実に進歩しています。


中でも記乳がんなどで切除した後の乳房の
再建は近年多くなっている手術です。



「佐々木梓さん」

どんなに小さくても精神的な負担になる傷
や変形、それを治療することで心の負担を
軽くしてくれるのが形成外科の役割です。


それでは最近注目を集めている
乳房再建手術について見ていきますが、
その前にこのコーナーです。




■整形外科と形成外科の違いとは?


「ドクター」

ここでは整形外科と形成外科の
違いについて紹介するよ。



「ナース」

確かに違いが判らない人も多いと思います。



「ドクター」

うん、整形外科は体になる骨や関節などの
骨格系とそれを取り囲む筋肉や神経系から
なる運動器の機能を改善するもので...


背骨と骨盤という体を支える骨と
手足が主な治療対象なんだよ。


一方の形成外科は、顔及び体の表面の部分
すべてが治療対象で、身体中を取り巻く
血管や神経の位置、傷の治り方に詳しく


怪我や変形、皮膚のできもの、
さらに先天異常などをきれいに治すんだよ。



「ナース」

ホクロやシミなども
きれいにしてくれるんですよね。



「ドクター」

うん、どちらもを患者さんの生活の質
「クオリティ・オブ・ライフ」の向上に
貢献する外科系の専門領域といえるね。



「ナース」

更に美容外科というのもありますね。



「ドクター」

美容外科はシミ抜きとか
脂肪吸引などで知られているけど、
形成外科の一分野なんだよ。




■乳房再建手術とは?


「佐々木梓さん」

乳がんなどによって乳房を切除する事は
女性にとって大変苦痛なことです。


しかし近年、技術の進歩により、
乳房再建は多く行われています。


そんな中、乳房再生手術を受けた
患者さんに取材することができました。



「ナレーション」

2010年5月、乳がんによる摘出手術を
受けた澤口さん、全摘出が必要だと診断
された時の気持ちは今も覚えています。



「患者さん」

びっくりしましたね。


ええよくあのビックリした時にある
ような表現なんですけど


「ガーン」と頭を殴られた
 ような気持ちでしたし


たぶん目も宙に浮いていたような
状態で看護師さんからも


「大丈夫ですか、大丈夫ですか?」
 
 
 何度も聞かれましたね。



「ナレーション」

心理的なショックが大きい乳がん摘出手術
どのような説明をするのか、乳房再建手術
を多く手がける浅野先生に聞きました。



「浅野裕子医師」

ただおっぱいがなくなるんではないかと、
非常にこう不安定な精神状態で来られます。


手術後再建が終わった方の
写真をお見せすると...


「あっこんなにきれいにできるんですね」


と、もうあの診察室を出ていく
ときには非常にこう前向きに、
これなら手術を受ける勇気が出ましたと
患者さんはおっしゃいます。




■乳房再建手術の種類について


「ナレーション」

乳房再建手術の時期は
乳房の切除と同時に、
組織拡張器を挿入する方法と手術後
しばらく時期をおいて行う
方法があります。


近年は手術回数が少なくて済む
同時に行う方法が増えています。


再建の方法には大きく分けて
自家組織による再建と組織拡張器を
用いた人口乳房による再建があります。


自家組織による再建には自身の体
の一部の組織を使いますが...


この手術の利点は
自分の組織で再建される
ため、違和感がないことです。


また自家組織を使わずに人工乳房を
胸の筋肉の下に挿入する方法もあります。


手術は乳房を切除した後、
生理食塩水を少し入れた
このエキスパンダーと呼ばれる
組織拡張器を胸の筋肉の下に
挿入し縫合します。


手術後は、エキスパンダーに少量の
生理食塩水を数回に分けて注入し


胸の皮膚をゆっくり伸ばし、
シリコンバックと入れ替えます。


この手術は体の他の部位に
傷がつかない、手術時間が短い、
胸の皮膚を拡張するので整容的にすぐれ、
知覚も温存されるなどの利点があります。



「浅野裕子医師」

入れている間は
普通に入浴もできますし、
あの水泳とかもできますので、
とくに日常生活には支障は
ございません。



「ナレーション」

澤口さんは乳房切除手術と同時に、
エキスパンダーを挿入する
手術を受けました。


手術後、目を覚ました澤口さんが
始めにしたことがあります。




■乳房再建手術を体験した患者の声


「患者さん」

あの枕元に夫がいて、
携帯をもっていたので、
あの職場に無事手術終わったことを
メールにしてもらいました。


冷静でいられたのには
理由がありました。


再建手術をするにあたって、
同じ看護師さんがずっと付き添って
くれてましたし、手術のときも
その看護師さんでしたし


きちんと前もって
細かく説明していただいて
随分心理的な不安は
少なかったと思います。



「ナレーション」

手術からおよそ八ヶ月後、
澤口さんはエキスパンダーを
シリコンバックに入れ替える
手術を受けました。



「浅野裕子医師」

あの比較的もう膨らんでいる中に
何かを入れ替える方法なので
シリコンバックの方が
それほど痛くもなく


また入院期間も非常に短く、
体には優しい再建方法かと思われます。



「ナレーション」

乳房を再建した澤口さん、
現在は大好きな温泉に行けるほ
ど回復し日常生活を楽しんでいます。



「患者さん」

あの胸が再建されると、
今までタオルで隠したりとか
してたんですけど


不便なんでそういうこともなく、
母と一緒に温泉に入れるかなと
思うとすごい嬉しいですね。



「ナレーション」

今後は再生医療の進歩により、
乳房再建手術の可能性は
広がるといいます。



「浅野裕子医師」

脂肪の幹細胞を使って
乳房再建に応用したれたり、
あの方治りにくい潰瘍に応用したりという、
色々な応用が始まっております。



「佐々木梓さん」

最後に傷やあざなどで悩んでいる方に
対してアドバイスをお願いします。



「平林慎一医師」

傷やあざなどというものは、
やはり人に見せにくい、
どうしてもそれで自分だけで
悩んでらっしゃる方が
多いと思います。


あるいは昔なにも...
これは治療できないよと言われて
そのままずっと悩んでいる方も
いらっしゃると思います。


レーザーとか次々に
新しい器械できてますので、
是非まぁそのような方は一回診せて
いただければと思いますので、
ご相談にいらしたら宜しいかと思います。



「佐々木梓さん」

笑顔で社会生活に復帰できるように
お手伝いする形成外科の仕事、
そんな患者さんの姿を見ることが
形成外科に従事する先生方の最高の喜び
であるように感じました。