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■増え続ける関節リウマチ患者


リウマチ科は、「関節リウマチ」など、関節や筋肉などの運動器に強い痛みが生じる病気に対して治療・手術・リハビリなどを専門的に行う診療科で需要は年々拡大しています。


お身内の方にリウマチを患っている方はいますでしょうか?。


恐らくいない方のほうが多いと思われます。そのため特殊な病気のイメージがあります。


しかし、リウマチは誰でもなり得る病気で、すでに「慢性関節リウマチ」だけでも患者数が日本全国に70万人いるとされており、毎年1万5000人ずつ増えています。


そして、リウマチは男性よりも女性の方が圧倒的に多い(約4倍差)病気であることから、女性看護師の方が男性看護師よりも職場では患者さんらに好まれる傾向が強いです。


そうした面では確かに女性看護師の方が働きやすいといえると思います。


一般的なリウマチ科の対象疾患は以下のとおりとなります。


(1)関節リウマチ
 
(2)膠原病

(3)痛風
 
(4)強皮症
 
(5)成人スチル病
 
(6)リウマチ熱
 
(7)クローン病

(8)ベーチェット病

(9)シェーグレン症候群

(10)全身性エリテマトーデス
 
(11)抗リン脂質抗体症候群
 
(12)血清反応陰性脊髄炎
 
(13)多発性筋炎・皮膚筋炎
 



■リウマチ患者の特徴とは?


リウマチ患者のさんの年齢層は幅広いです。若年層の間では10歳から16歳ごろに発症する小児リウマチがありますが、一般的に30代前半からから50代の女性に多いです。


関節リウマチは、未だに決定打となる原因が解明されていません。


このため悪性関節リウマチは厚労省による特別疾患(難病)に指定されていることから、難病認定を受けることが出来れば公費で治療を受けることができます。


しかし、こうして治療費に関する問題が仮にクリアになったとしても、リウマチの症状が悪い方にどんどん進行してしまうと、患者さんの将来への希望が閉ざされてしまいます。


手足が容赦なく変形すると歩行が困難な状態となり、日常生活に支障をきたします。


不安が不安を呼びこむように精神的不安が治療の効果を抑えてしまいます。


なかなか良い方向へ動かないと患者さん自ら精神的に追い詰めてしまいます。


そうすると、医師の先生の治療方針にクレームを入れる場合もあります。


病院側も人材不足のため、患者さん一人あたりにかけられる時間が限られているため、こうしたクレームはどこの科でも少なからずありますが、リウマチ科は中でも多いです。


そういったトラブルに発展しないためにもリウマチ科で働く看護師さんは、患者さんの心のケアを行ない、リウマチの痛みだけでなく、精神的な苦痛を抑えなければなりません。




■リウマチ治療について


ですので、患者さんと一緒にリウマチと闘うつもりで向き合う必要があります。


また患者さんの中には症状が極端に進行してしまったことで、手足の関節の慢性的な痛みに苦しめられ、さらに症状が進行すると手足の関節が歪に変形してしまいます。


このレベルにまで到達してしまうと、どうしても日常生活に支障をきたしますので、患者さんのストレスによる心理的負担は計り知れないほど大きくなります。


このため、人によってはうつ病を引き起こしてしまうケースもあります。


そうなると今度は周囲の人たちとトラブルを起こすことになりかねませんので、そうならないためにも、日常動作が維持できるようにサポートしていく必要があります。


ただしリウマチの「関節外科手術」は、ここ数年で飛躍的に進化していますので、すでにかなり変形してしまっても、8割方は元に戻るので、特別不安になる必要はありません。





■難易度が高い疾患ゆえの苦労


リウマチ科での対象疾患は上述したとおり、手足などの関節の疾患が中心ではありますが、実際にはそれだけではなく、その他にも皮膚科や眼科、耳鼻科などの疾患も対象です。


例えば、全身性エリテマトーデスは、皮膚に赤い発疹ができる病気ですし、シェーグレン症候群は口や眼などが乾燥するなど一見するとリウマチとの関連性が低い疾患も対象です。


また、ベーチェット病のようなアフタ性潰瘍、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状などの病気を発症した場合、一番辛らいのが全身にその症状が出てしまった場合です。


再発するリスクが非常に高いので十分注意しなければなりません。


リウマチ科の対象疾患の多くが原因不明であるため、手掛かりが思うようにつかめません。このため、リウマチ科で行われる治療は全て発症後の対症療法となっています。


従来のリウマチ治療はお薬を飲み続けることで、症状が進行するのを抑えるだけでした。このためリウマチは一生過酷な治療と付き合わなければならない病気とされていたのです。


変形してしまった手足の関節の状態をある程度日常生活が送れるようなレベルにまで戻すことさえ困難でしたが、近年リウマチの外科的手術が飛躍的に進化を遂げています。


仮に歩行困難な状況まで手足の関節が変形してしまった状態から治療を始めたとしても、人工関節置換術を行なうことによって、日常生活を取り戻すことが出来ます。


しかしリウマチは再発リスクや合併症リスクも高いので、一生付き合っていく病気であることに変わりありません。定期的に医師の元を訪れて診察を受ける必要があります。





■リウマチケア看護師制度


リウマチ科の対象疾患の多くは難難易度が高いたことから、治療に関しては医師によって差が生じます。また地域によっては専門医が不足して満足な治療が行えない状況です。


こうした状況を改善するために日本リウマチ財団は各地域におけるリウマチ性疾患のプライマリケアを適切なレベルで行える医師を育成するために登録医制度を実施しています。


すでに4,000名程度の登録医が全国でリウマチ医療に取り組んでいます。


また、患者さんとそのご家族にとって最も身近な存在である看護師さんがチーム医療の一員として果たす役割は非常に大きいわけですが、色々な問題があります。


まず、リウマチ患者さんのケアを中心に行なう看護師さんの数が不足していることから、育成と確保のために数年前に登録リウマチケア看護師制度がスタートしました。


すでに1,000名を超える看護師さんが登録されていますが、それでも足りてません。


しかし、登録リウマチケア看護師として、各地域でチーム医療の一員として医師や他のメディカルスタッフらとともにリウマチ患者さんに適切なケアを行っています。


このため今後リウマチ医療及び関連ケアがより充実化することが予想されているだけに、注目が集まっている段階でリウマチ科で働くことを目指してみてはいかがでしょうか。