■便利になればなるほどトラブルが起きやすくなる?
病院の業務はシステム化が進んだことによって、大量のデータを管理できるようになり、業務上便利になった部分が確かに大きいですが、その反面混乱することも増えています。
病棟には沢山の入院患者さんが退院まで細かいスケジュールがびっしり組まれ、外来には沢山の患者さんが日々訪れるので、正直混乱しないほうが不思議なくらいです。
そこは現場で働いている人たちによって支えられているからですが、それでも限度があり、患者さんをほったらかしにしていたなんて場面に遭遇することも当然あるわけです。
病気を抱えていて不安でない方はいません。患者さんへの対応や治療法などに関する説明がきちんと行われないと病院に対する不信感が生じ、これがトラブルの原因になります。
待たされた患者さんやそのご家族は当然怒りますよね。待たされた時間の長さや対応するスタッフの態度によって怒りの度合いが大きくなったり小さくなったりします。
トラブルが発生した場合は最小限に抑えるためにも非をすぐに詫びて迅速に対応するしかありません。とはいっても患者さんによってはいきなり怒鳴りつけてくる人もいます。
経験が浅い看護師さんの場合、唐突過ぎて萎縮してしまう方も少なくありません。
■話を聞く力を高める!
患者さんから信頼され、職場の人間とも良い関係を上手に築くことが出来る看護師さんの多くが「相手に対する思いやりが凄い」点が共通点としてあげれます。
医療の現場は患者さんの命を救うためにときに一秒を争うときもあるので、その都度臨機応変に対応しなければならないことから、自分のことで精一杯のときが多いですよね。
そうした中でも相手を思いやる気持ちをどれだけ持てるかが大事でして、そうすることにより、次第に行動に現れてきますので、ちょっとした会話から思いが通じやすくなります。
そうすると声のトーンだけでも患者さんと信頼関係を築くことができるようになります。
実際に話している内容は全く同じなのに、話し方と声のトーンの微妙な違いが大きな差を生み出していることに気づける人は少ないです。それだけ皆さん忙しいんですよね。
これは、勉強会や研修などでは決して学べないことなので、もし職場に患者さんや職場の人達と良好な関係を築くことが上手な看護師さんがいるなら、是非観察してみて下さい。
例えば患者さんと話すときの目線はどこに向かっているのか、話す内容によって話し方、声のトーンの違いや相槌の打ち方などを見てみて下さい。微妙に違うと思います。
たったこれだけで安心感を与えることができるんだと驚かれると思います。
多くの人がこと仕事に関する技術や技能は特別な才能や努力によって生み出されるものと考えてますが、実際にはほんの小さな差でしかなく、それに気づけるかが大切なんですね。
そうすることによって「話を聞く力」が次第に高まりますので、これまでであれば自分の手に負えないトラブルだったことが、徐々にトラブルではなくなります。
そうすると自信をもつて全てのことに対応することが出来るようになります。
■質問は常に改善する
患者さんの状態を把握するための質問も大事です。患者さんに全て説明させるような質問をしてはなりません。特に自分の病気が把握できていない段階では絶対にだめです。
これも患者さんの怒りを爆発させる原因の一つになります。
患者さんが答えやすいような質問をすることが大切です。理想としては「はい」「いいえ」で答えられる質問を繰り返しながら状態を確認していくのがベストです。
そうすることで、何が問題なのか会話の中でたどり着きやすくなります。
いくつか質問パターンを用意し、仕事を通じて質問内容を改善しましょう。
また、患者さんによっては医療に詳しい方もいますから、いい加減なことはいえません。
ですので、分からないことはすぐに医師の先生に確認して後で報告する形を取るべきなのですが、この手間を面倒に感じてきちんと説明しない看護師さんが少なからずいます。
「多分こうだろう」と勘頼みで説明してしまう人がいます。間違いなく問題いなります。少しでも自信がない場合は、すぐに「確認させて下さい」といって確認しましょう。
■話を聞く力を高めるには?
今回の話を聞く力を高めるうえで大切なのは以下の通りとなります。
(1)相手の話しを聞くときは
声のトーンを低めにする
(2)相手が怒っている場合は慌てない、
動揺しない、ひるまない
(3)確かな知識が相手を安心させます
日頃から学ぶ姿勢を!
(4)話を聞くときはしっかり
相手の顔を見る
(5)相手に関心を持つ
(6)相手の話を聞くときはきちんと
相槌をうつ(メモをとる余裕が
あればメモをとる)
話を聞く上で大切なのは、「あなたを大切に思っていますよ」と何らかの形で先に伝えることです。なぜなら人は誰しも自分のことを尊重して欲しいと思っているからです。
勿論直接伝えるのではなく、関心があることを示す必要があるということです。
病気の人は大なり小なり不安を抱えているわけですからなおさらです。そのような状態にある人の話しを聞く場合は、まず相手に関心を持つことが非常に重要です。
ですので、傾聴に関する講習やセミナーでは相手に関心を持つことを最重要としています。
しかし、医療の現場でそれを一番にやってしまうと時間がいくらあっても足りません。
ですので、声のトーンや表情、話し方、相槌などでその点をカバーする必要があります。これは患者さんだけでなく、職場の人たちと接する場合にも有効です。