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■今回のテーマは「緩和ケア」


今回の動画は、緩和ケアがテーマです。鳥取大学医学部附属病院 がんセンター 辻谷俊一センター長により、がんセンターの取り組みと緩和ケアの役割について解説しています。


緩和ケアという言葉そのものが世間一般に広く知れ渡っていません。緩和ケアという名前は知っていても、終末医療の代表選手のように思われている方が少なくありません。


しかし、がんセンターでは早期から対応しているので、早い段階から治療と平行しながら患者さんの不安や悩みに対して適切なサポートを行なう体制が整っています。


化学療法が目覚ましい進化をとげたことによって、抗癌剤治療も外来で利用できるようになっていますし、施設内にはサロンなどもあって、がん治療のサービスが充実してます。


また、がん診療拠点病院として地域医療の充実化を図るなど、がんセンターその物の役割も年々拡大していますので、今後劇的にがん治療が向上することが期待されています。
 
 
 
【 出典 】聞いて納得!! 医療最前線
 
 
 

 
 
 
 
 
■がん治療「緩和ケア」


「本池美香さん」


みなさんおげんきですか?本池美香です。


がんの診断と同時に始めることができる緩和ケア、どのようなケアなのか詳しくお聞きします。今回はがん治療「緩和ケア」についてです。


教えていただくのは鳥取大学医学部付属病院 がんセンター 辻谷俊一センター長です。辻谷先生は、がんセンターと地域との連携や仕組みづくりなどがんセンターのトータルマネージメントをされています。




■がんセンターとは?


「本池美香さん」

辻谷先生よろしくお願いします。



「辻谷俊一先生」

はい、よろしくお願いします。



「本池美香さん」

今回はがん治療「緩和ケア」について教えて頂きます。先生、早速ですが、がんセンターはどういったところなんでしょうか。



「辻谷俊一先生」

はい、がんセンターはですね、がんの初期から患者さんの苦痛とか苦悩とかそういったものに対応するために緩和ケアというものがありまして、それの専門の看護師さんたちがケアするところから始まって、あと外来化学療法室をはじめとしていろんながん治療に対応するトータルサポートの施設です。では中にはいってご説明しましょう。



「本池美香さん」

はい、お願いします。




■緩和ケアとは?


「本池美香さん」

ということでがんセンターを先生と一緒に見学します。ここがんセンターは、入院、通院されている患者さんの治療や心のケア、情報交換や交流の場です。緩和ケアという言葉は聞いたことがあるんですけども、実際どういったケアのことなんでしょうか?。



「辻谷俊一先生」

はい、緩和ケアはですね、患者さんがガンになられたら、その早期からですね、心の苦しみとか体の症状とか治療していくものなんですけど、まだまだ一般にはですね知られてなくって、


緩和ケアというと普通の治療が無くなって、それから受けるものだとか、看取りの医療だとか、いうように誤解している人が多いんですけど、


そうではなくてですね、あのがんの治療をしていくうえでもですね、いろんな症状をコントロールしながら、治療を受けていただくのが非常に大切です。病院でも診療所でも、在宅医療でも幅広くこの緩和ケアというのは行われる医療になります。


ですから最初患者さんががんという言葉を聞いてショックを受けられたりするわけですし、そのあと落ち込んだりということもあります。そういうことの精神的なサポートですね、これも非常に大事になります。


あとだんだんその色んな症状が、がんによる症状ですとか、治療による症状ですとか、まぁそいうものが出てきますから、まぁそういうものを軽くするのが患者さんにとっては、がんと戦ううえでとても大事な要素になってきます。


それをですね、緩和ケアの認定看護師さん、そういう方がおられまして、チームを組んで患者さんをサポートする、ただそこには精神科の先生とかも入ってこられますし、まぁいろんなソーシャルワーカーさんですとか、臨床心理士さんとか、そういう方々もチームに加わって、患者さん一人一人を診ていくわけですね。




■外来化学医療室の役割とは?


「本池美香さん」

抗がん剤治療を行なう外来化学医療室を案内していただきました。



「辻谷俊一先生」

ここは、このように個室に分かれていて、患者さんのプライバシーを守りながら、外来で抗癌剤治療をするところです。もともと抗癌剤治療は、病棟で行われることが多かったんですが、


今は患者さんが通院で出来るように外来で行なう化学療法が普通になっています。ここには専門の看護師とか、専門の薬剤師がいまして、患者さんの苦痛を取り除くような副作用対策をしながら安全に化学両方を行なうようになっています。




■がん治療の種類とは?


「本池美香さん」

あのそうなんですね。先生それでは、がん治療にはどういったものがあるんでしょうか?。



「辻谷俊一先生」

がん治療はですね、外科治療、放射線治療、それと化学療法、これが抗がん剤治療ですね。


この間にですね、色々なサポートをしていくのもありまして、それが緩和ケアであったり、がんセンターがやっているというところです。




■その他の外来の役割とは?


「本池美香さん」

がんセンターには薬で治療するだけでなく、他にも様々な施設があります。あの先生、そして、手術後に行うリンパ浮腫外来であったり、スキンケア外来というのは、どういったものなのでしょうか?。



「辻谷俊一先生」

そうですね、リンパ浮腫外来というは、乳がんの患者さんですとか、婦人科のがんの患者さんが手術をしたあとに腕が腫れたり、足が腫れたり、そういったことが起こりますので、それのリンパの流れを整えるようなマッサージをするんですね。


それをちゃんと資格をもった看護師が担当しているというのがリンパ浮腫外来です。


そして、スキンケア外来というのは主に人工肛門を作ったような患者さんが、人工肛門の周りの肌が荒れたりしますので、そういう管理を患者さんにちゃんと教えるような、そういう外来ですね。


あのがんの患者さんの口腔ケアというのが今盛んに行われています。これは例えば手術ですとか、化学療法の患者さんというのは、やはりそういうものによって、体の免疫力が落ちたりするということがありますので、いろんな感染症とかになりやすい。


まぁそういったときに虫歯があったり、あるいは口の中が汚れていたり、あるいは抗癌剤なんかで口内炎っていう副作用が出てくるんですね。


こういうものに対応するために、まぁなるべく予防をするということがとても大切になりますから、今は口腔ケアというのは非常に盛んに行われています。




■鳥取県のがん治療の現状


「本池美香さん」

先生、そもそも鳥取県のがん治療というのはどうなっているんでしょうか。



「辻谷俊一先生」

そうですね、鳥取県ではがん診療拠点病院というのが5箇所ありまして、当院もそうなんですけども、これらはですね、診療連携拠点病院としての機能というのが求められてまして、そういうところには勿論緩和ケアチームもありますし、そして相談支援センターというのもありますし、あの患者さんをサポートする色々なものが整えられているわけです。




■施設内のサロンの重要性とは?


「本池美香さん」

がん患者さんの心のサポートも重要です。がん相談支援センターやがんサロンなどががん診療連携拠点病院に設置されています。


がん診療連携拠点病院には、サロンが設置されているということなんですが、こちらには桜サロンというのがあるということで、このサロンがあることの重要性というのはどういったところを感じていらっしゃいますか。



「辻谷俊一先生」

そうですね、がんサロンはですね、患者さんが主体になって、患者さん同士の情報交換をしたりとか、また体験とかそういったものを知ることによって、自分のがんとの戦い方どうしようかということは非常に参考になったりするわけですね。


患者さん同士の支えあい、ご家族同士の支えあいといったような場にもなったりします。大学病院にかぎらずですね。がん診療拠点病院にはそういうサロンがあって、病院がそいういう患者さん同士のつながりをサポートして行ったりということをやっています。


それをすると患者さん同士の心のごみとか、まぁ安心とかそういったものが生まれると思ってますね。




■サロンを利用した患者さんの声


「患者さん」

やはり、がんにかかった人でないと分らないと思います。がんにかかって辛いとか、宣告を受けたら死ぬんじゃないかとか。そういう気持ちは皆さんと同じでがんにかかった人なら話がはずみます。


顔みたら話すだけで自分の励みにもなりますし、こうやったら生きられるんだなとかそういう具合になりますので、凄く助かりました。



「本池美香さん」

このサロンというのは誰でも自由に利用することができるんですね、



「辻谷俊一先生」

がん患者さんだけにかぎらず、いろんな情報がそこで手に入るように色々工夫してあります。




■がん相談支援センターとは?


「本池美香さん」

がん相談支援センターとはどういったところなんでしょうか。



「辻谷俊一先生」

はい、がん相談支援センターはですね、患者さんの色々な悩み事、相談事、そういったものに対応するところで、がん診療拠点病院には設置するようになっているんですけども原則的に専門相談員っていう方がおられまして、うちでは看護師さんが担当していますけど、場所によっていろいろです。


専門相談員の方がその患者さんのご要望に応じてですね、悩み事の相談にあたるわけですね。例えば中にはですね、病気自体の事であったり、あるいはその生活のこと、あるいは家に帰る時の体勢づくりとか、そういったこともありますし、まあ最近注目さてるのは、仕事をしながら、やはりがんの治療を受けなくて行けない方がおられて



そういう方なんかは自分の仕事辞めなきゃいけないのか、どうやったら続けられるのかとか、いろいろ心配事があるんですね。鳥取県では、社会保険労務士さんがその相談にあたってくれるシステムがありまして、各診療連携拠点病院に行きますと、そういう方がおいでいただいて相談を受けるということができるようになってます。




■日常生活で大切なこととは?


「本池美香さん」

いろいろとがんに関する体制が整い始めているということなんですが、改めてみなさんにどんなことを知っていただきたいでしょうか。



「辻谷俊一先生」

患者さんにとって一番大事なのはやはりいろんな人に助けてもらう、サポートしてもらうということが大切で、それを活用する手段っていうのが私たちのがんセンターとかいろんな相談する場所に着けば分かりますから、そこでやはり自分のがんとの闘い方、がんと共に生きていく生き方、そういったものを見つけていただくっていうことが大切かなと思います。ですからやはりですね、がんの知識というのをもっと広く知っていただくっていうことはとても大切です。私たちがんセンターとしても、一般の市民の方にそういう情報を提供できるような機会を色々と作っているところですね。そういったものを逃さずキャッチして頂いてうまく病気を乗り越えていたという事をお勧めしたいと思います。がんのいろんなことを相談したい方はですね、診療連携拠点病院には、がん相談支援センターというところがあります。そういたところに、気軽にお電話かけていただければいいかなとおもっております。



「本池美香さん」

先生、本日はありがとうございました。



「辻谷俊一先生」

こちらこそありがとうございました。



「本池美香さん」

がんとともに生きていくためには緩和ケアがあるということを知っておくことも重要ではないかと思いました。