■今回のテーマは「胆石症」
今回の動画は「胆石症」がテーマです。鳥取大学医学部附属病院 小児科 鞁嶋有紀講師により、胆石症の危険な症状や最新医療による治療方法まで幅広く解説しています。
胆のうがどこにあるか分らないほど一般の人たちの間で胆のうは認識が低い臓器であるため、胆石症について関心が極めて薄いうえに警戒感が殆どありません。
しかし、すでに日本人の10人に1は胆石を保持しているとされているので、誰もが発症し得る病気です。事実すでに無関心ではいられないほど危機的状況にあります。
胆石症の怖いところは、初期症状がないのと、一度強い痛みに襲われても、その後しばらく症状がおこらないために、大丈夫だと高をくくってしまうところです。
気がついたら命に関わる危険な状態にまで進行していたなんてことにならないためにも、ぜひ今回の動画で胆石症に関する正しい知識を身につけて下さい。
【 出典 】聞いて納得!! 医療最前線
「胆石症」について
「本池美香さん」
みなさん、お元気ですか本池美香です。
なんの症状もなく、あるとき突然の激痛に襲われることもあれば、無症状で気づかないといわれる「胆石症」、どんな病気か詳しくお聞きします。今回は胆石症についてです。
教えて頂くのは鳥取大学医学部附属病院 消化器外科 坂本照尚助教です。坂本先生は現在消化器外科で主に肝臓、胆道、すい臓などの外科治療を行っています。
胆石症についての街の声
「質問」
胆石症とは?
「街の人の声(1)」
聞いたことはないんですけれども、何か体に胆石がつまってしまう病気?
「街の人の声(2)」
胆石がたまって痛みがでる病気ですよね?。
「街の人の声(3)」
腰が痛くなったりとか、胆のうに石がたまる病気ですよね?。
「質問」
胆のうの位置は?
「街の人の声(4)」
肝臓の横ですか?
「街の人の声(5)」
肝臓の一部ですか?
胆石症とは?
「本池美香さん」
坂本先生宜しくお願いします。
「坂本照尚先生」
宜しくお願いします。
「本池美香さん」
今回は胆石症について教えていただきます。先生、まずはじめに街の声を聞いて頂いたんですけども、先生、みなさんの声を聞いてどう思われましたでしょうか?。
「坂本照尚先生」
実はですね、見る前はですね、胆石症をみなさんご存知なのかなというふうには思っていたんですけども、意外にみなさんあまり詳しくは知らない病気なんだなというふうに改めて思いました。
「本池美香さん」
くわしくこれから教えて頂きたいなと思うんですが、この胆石症の特徴をまず教えていただけますか?。
「坂本照尚先生」
胆石症とは、胆のうとか胆管に石ができて、痛みなどの症状を引き起こす病気です。胆石症は急性すい炎や胆嚢がんの発症にかかわってくることもある病気ですが、治療によって治すことは可能です。
年々胆石症の治療を受ける方は増加していて、日本では毎年2万人以上の方が胆石症の治療を受けられています。
10人に1人は胆石があると言われていますが、多くの方が症状がありませんので、自分が胆石を持っていることに気づいていないということがあるようです。
胆のうはどこにあるの?
「本池美香さん」
そうなんですね。あの胆のうはあまり聞き慣れないんですけど、どこにあるんでしょうか?。まずそちらから教えて下さい。
「坂本照尚先生」
はい、お腹の絵を見ていただくと、まずここに肝臓がありますね、胆のうはちょっと小さいんですけど、その下のこの部分ですね、そこにあります。その近くにはですね、ぶどうの房状に見えるんですけども、
ここにすい臓が見えてきている、でそれを拡大するとこちらの絵になるんですけども、食事で摂取した脂肪分などの消化吸収を助ける酵素を胆汁というふうに呼ぶんですけども、胆のうは肝臓で作られたその胆汁をですね、一度貯留してですね、濃縮するそういった臓器になります。
食事の刺激によって胆のうがぎゅっと収縮することで貯まってた胆汁が胆管を通って十二指腸の方へ流れていくと、そういう働きを持っています。
胆石症の原因とは?
「本池美香さん」
その原因というのは何なんでしょうか?
「坂本照尚先生」
そうですね。コレステロールをですね、やっぱり多く含むですね、脂質中心の食生活が胆石の原因で多いですね。
胆石が引き起こす症状とは?
「本池美香さん」
この胆石が引き起こす症状には、どういったものがあるんでしょうか?。
「坂本照尚先生」
胆石があってもですね、無症状のことが多くて、症状がでるのは石をですね、持ってる方のおよそ20%の方というふうに言われています。
それで具体的なものとしてですね、食後の胆のうの収縮で胆石が動くことで誘発される発作的に起こる腹痛がありますし、あとはみぞおちとかですね、背中、あるいは肩と書いてありますけども、右の方にですね、右肩に放散するような痛みがあります。
痛み以外にはですね、みぞおちのところにですね、吐き気を伴ってきたりとかですね、気持ち悪さを訴えられる方がいらっしゃます。
胆石症の痛みについて
「本池美香さん」
なぜ背中とか肩に痛みが出てくるんですか?
「坂本照尚先生」
胆のうはですね、肝臓の下にあるんですけども、やや背中よりにあることと、あと右側にあることがあるので、痛みがでたときには背中に痛みがでたりとか、右肩に痛みがでるといったことがあげられます。
時にですね、発作的に起こる腹痛というのがあるんですけど、これは本当にですね、じっとしていられない、転げまわるようなですね、強い痛みを起こすことがあってですね、それを特別に疝痛と表現したりすることがあります。いずれにしてもですね、このような症状がおきた場合はですね、我慢せずに内科の方ですね、受診して下さいと...
胆石症を放置する危険性とは?
「本池美香さん」
はい、分かりました。では、先生この胆石症をそのまま放っておくとどうなるんでしょうか?。
「坂本照尚先生」
はい、発作的にですね、胆石症の症状が出ても、しばらくすると落ち着くことがあるので、症状がないのであれば治療しなくてもいいのではないかと、思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、そのままにしておくと様々な合併症が出てくることがあるので注意が必要です。
胆石症が引き起こす合併症とは?
「坂本照尚先生」
一番多いのは、胆のうの細菌感染や胆石の刺激によって起こる胆嚢炎があげられます。またですね、この石がですね、胆石が胆管の中に落ちてですね、そこで炎症を起こす急性胆管炎になることもあります。
どちらもですね、腹痛や発熱、時に目や皮膚が黄色くなってですね、黄疸というんですけども、そういった症状が出てくることがあります。
他にはですね。ちょっと少し離れるんでけども、ここにすい臓があって、すい臓はですね、膵液という、そういった消化酵素をつくるんですけども、その膵液の出口とですね、胆汁の出口は同じ出口なんですけども、
そこに落石した石がまぁ嵌り込むことでですね、膵液が流れなくなってしまって、それで起こってしまう急性すい炎もありますし、まぁ胆石による慢性的な刺激で胆嚢がんを発症したりすることがあります。
胆嚢がんになられた方のですね、多くが胆石を保留していましたと、いずれの場合においてもですね、状況によってはですね、命にかかわるような病態になりかねない、そういった大きな合併症だと思います。
胆石症になりやすい人とは?
「本池美香さん」
では、どういった方が胆石症になりやすいのでしょうか?。
「坂本照尚先生」
そうですね、生活習慣、中でも食生活が重要になってきます。脂質の多い食生活や肥満などがですね、コレステロールの過剰摂取が最大の原因となってきます。
胆汁中のコレステロールが増えると余分なこれスレテールが溶けないですね、ここに便秘と書いてますけど、なんで便秘がちょっと胆石症とつながってくるんだろうか、というふうに思ってしまうんですけども、
まぁ腸の動きがですね、衰えている場合はですね、得てして胆のうの働きも衰えていことが多いので、そういった方は胆石ができやすくなるというふうに考えられています。
胆石症を予防するには?
「本池美香さん」
予防するために重要なことは、どういったことなんでしょうか?。
「坂本照尚先生」
やっぱり適度な運動というがですね、肥満を防いでですね、あと規則正しい食生活を心がけることが大事になってくると思っています。
胆石症を早期発見するには?
「本池美香さん」
その胆石症の発見方法というのはあるんでしょうか?。
「坂本照尚先生」
そうですね、症状がある場合は病院を受診して検査で発見ということになると思うんですけれども、まぁ無症状の場合には最悪の場合ですけども、
知らず知らずのうちに胆嚢がんをですね、発症してしまうと、いう可能性がありますので、やっぱり自己検診というのが非常に大事になってきます。
超音波検査は、まぁ非常に簡便でですね、胆石のですね、検出率も高いので非常に有用な検査だと思います。これ胆のうですけども、通常ですね、胆のうはですね、
何もなければ黒く見えてくるんですけれども、その中に胆石があるとこういったようにですね、白いゴロゴロしたものが見えるようになってきます。
人間ドックなどにはこういった超音波検査も含まれていますので、とても有効だと思いますし、希望すればですね、多くの医療機関で検査を受けることが可能だと思います。
胆石症の治療について
「本池美香さん」
治療することで治すことというのは可能なんでしょうか?。
「坂本照尚先生」
そうですね、治療で治すことは可能です。一般的にはですね、手術が必要となってくるんですけども、痛みなどの胆石による症状が出た方が対象となってきます。
殆どの場合はですね、腹腔鏡を用いた胆のう摘出手術を行います。大きなキズで行なう昔の回復術と比べると傷跡ですね、あと負担がですね、少なくてですね、
早期に社会復帰が可能ですと、通常ですね、手術時間としてはだいたい2時間程度で、まぁ入院期間もですね、順調に行けば術後3日から4日には退院可能というふうになっています。
胆のうの摘出手術について
「本池美香さん」
では先生、この胆のうを摘出するとなると、大丈夫かなと思ってしまうんですけれども、これは石だけを取り出すということはできないんでしょうか?。
「坂本照尚先生」
そうですね、摘出と聞いてですね、驚かれる方がいらっしゃると思いますけれども、そもそもですね、胆石ができた胆のうというのはですね、まぁ機能が弱っていますので、
仮にですね胆石だけを取り除いたとしてもですね、根本的な治療にはならないですね、なので、胆のうの摘出が必要となってくるですね。
胆のうを摘出することでですね、日常生活に影響をおよぼすといったとはほとんどありませんので、どうぞご安心下さい。
日常生活での注意点について
「本池美香さん」
では先生、改めて皆さんに伝えたいことはどういったことでしょうか。
「坂本照尚先生」
今ですね、10人に1人はですね、胆石を持っているというふうにされていてですね、生活習慣と深い関与があります。
食後のですね、発作的な腹痛ですとか、痛み、あるいは吐き気などが見られるときにはですね、胆石症が疑われますので、我慢せずに医療機関を受診するようにしましょう。
「本池美香さん」
はい、先生本日はありがとうございました。
普段からバランスの良い食事を心がけ、適度に運動するなどして、健康に過ごしましょう。
「坂本照尚先生」
胆石症は日常生活でよく見かける病気ですが、時に深刻な病態を招く病気でもあります。無症状だからといって、放置することをせず、定期的に検査を受けるようにしましょう。
また胆石症にならないよう、普段から生活習慣の改善や体質改善を心がけることが何よりも大切です。