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■今回のテーマは「薬」


今回の動画は「薬」がテーマです。鳥取大学医学部附属病院 次世代高度医療推進センター 遠藤佑輔助教により、薬の開発について分かりやすく解説しています


薬の開発は初期の実験段階から市場に出回るまで10年以上の長きに渡って取り組まなければならないので、気が遠くなるような作業を積み重ねていかなければなりません。


そうした薬の開発に関する事細かな仕組みについて解説してくれていますので色々な点でに勉強になりました。薬に関する味方が良い方向に変わりそうです。


また一般の人たちが薬を服用する上で様々な疑問点についても解説していますので、薬の服用に関する注意点が分るようになり、不信感も軽減されるようになると思います。


というのも最近ジェネリック医薬品が注目を集めていますが、よくわからないということで、服用するのを見送るケースも依然として少なくありません。


ジェネリック医薬品と先発医薬品の違いも明らかになりますので是非御覧ください。
 
 
 
【 出典 】聞いて納得!! 医療最前線
 
 

 
 


薬の最新事情について


「本池美香さん」

みなさん、お元気ですか本池美香です。


正しく服用しないと効果が得られないこともある「薬」。薬がどのようにして開発されていて、私たちが注意しなければいけないこととは?。先生に詳しく伺います。


今回は薬についてです。教えて頂くのは鳥取大学医学部付属病院 次世代高度医療推進センター 遠藤佑輔助教です。遠藤先生は薬剤師で製薬メーカの勤務経験があり、今は鳥大病院で新薬の研究開発の支援を行っています。




多様化する薬のあり方


「本池美香さん」

遠藤先生よろしくお願いします。



「遠藤佑輔先生」

よろしくお願いします。



「本池美香さん」

今回は薬について教えていただきます。先生、その薬と言っても沢山の種類がありますよね。



「遠藤佑輔先生」


そうですね。薬は安全性の確保、あるいは有効性を最大限に発揮するため、あるいは患者さんの目的にあった薬を使用していただくために色々な形のものが作られております。


また最近は患者さんご自身が自分が飲んでいる薬がどのような目的で処方され、あるいはどのような副作用がでるかなど、患者さんが薬について非常に感心を持っておられます。


薬について基本的なことを患者さんがご自身で理解していただくことが非常に重要となっております。




薬の基礎


「本池美香さん」

では先生、薬の基礎について教えてください。



「遠藤佑輔先生」

はい、薬の分類につきましては、医療用医薬品と一般用医薬品がございます。医療用医薬品は病院で医師から処方される薬です。


一般用医薬品はドラッグストアで購入できる薬です。この一般用医薬品は、医療用医薬品に比べて容量が低くなっておりますので、比較的安全に使える薬となっています。


最近では頭痛薬ですとか、胃薬など長い間安全に使われてきた医療用医薬品が医療用医薬品としてドラッグストアで購入できるようになっています。


これらの薬剤には飲み薬の内服剤、あとは注射剤、あと湿布などの貼り薬、あと塗り薬などがございます。本日はこの内服剤、飲み薬についてご説明いたします。




飲み薬の基本について


「遠藤佑輔先生」

内服剤の中にはこの錠剤ですとか、カプセル剤、小さい粒の顆粒剤になっております。あと散剤、粉薬などがあります。最近では患者さんが薬を飲みやすいように、コチラ錠剤にされることが多くなっております。


ただ「錠剤にすると形が大きくなる」ですとか、錠剤にすると固まらない、あとは患部に届かないといったような場合がございますので、そういう場合はカプセル剤ですとか、粉薬にするようなことも取られております。




薬の飲み方について


「本池美香さん」


では、その薬ですね、体内では服用したときどういうふうな形になっているのかについて教えて下さい。



「遠藤佑輔先生」

はい、こちらに示しておりますのが、薬の動態、動態といいますのは、薬が口の中に入っていって体の色々な部位を通って効果を発揮して最後体の外に出る、この一連の動作を動態というふうに言われております。


薬は口から飲みますと、胃を通って十二指腸、そして小腸の方まで行きます。


小腸の方に行きますと小腸でまず吸収をされます。吸収されたあとは血液に乗って一部は肝臓を通って、そして患部の方に移動して効果を発揮します。


効果を発揮したあとは、もう一度肝臓に戻ってきて、肝臓で分解されて体外へ尿、あるいは便として排泄されます。


血液中の濃度を一定に保つことが効果を十分に発揮する一つの重要なポイントになっておりますので、決められた用法、容量で服用して頂くことが重要になってきます。




新薬の開発について


「遠藤佑輔先生」

コチラの図が新しい薬の開発の流れになっております。まずはじめに基礎研究として、候補物質を発見します。


候補物質を発見しますと、次は非臨床試験を行います。非臨床試験は動物を対象とした試験で、安全ですとか、有効性を評価します。


この非臨床試験で安全性、有効性に問題がないことを確認されましたら、次「治験」に移ります。


治験は人、具体的には健康な人ですとか、患者さんを対象とした試験で有効性、安全性を調べる試験になっております。


この治験についてですが、こちらは医師および協力して頂く患者さんを中心として薬剤師、臨床検査技師、放射線技師、あと治験専門のスタッフの臨床研究コーディネーターがチームを組んで治験を実施しています。


治験の特徴は通常診療より検査の回数が多くなりますから、患者さん自身がご自身の病状をより詳細に把握することができますし、治験に関する薬、あと検査に関しては無料になってます。


また、有効性、安全性がハッキリと分かっていない薬ですので、効果が無かったり、副作用がでるというようなこともあります。


しかしながら、そのような場合は治験を中止し、直ぐに他の治療に移れるよう計画されています。その後、厚生労働省にこれらのデータを提出して承認され、最終的に病院で薬が使えるようになります。


この基礎研究から承認されるまで、おおよそ10年から15年の長い年月がかかっております。




薬の成分について


「本池美香さん」

先生、そもそも薬はどういった成分で出来ているんですか?。



「遠藤佑輔先生」

昔は研究室の裏山の木ですとか、土から成分を抽出して薬にしていました。最近は技術が進歩して、人の体のメカニズムが分かってまいりましたので、それを合成する、試験管などで薬を合成するというのが、最近の流れになっています。




なぜ薬を開発するのか?


「本池美香さん」

どういったときにこの開発(薬)というのが求められるのでしょうか?・



「遠藤佑輔先生」

はい、最近は難治性の疾患、例えばがんですとか、認知症といった難治性の疾患に対する新薬の開発が求められておりますし、今使われている薬でも、副作用が出る薬は多くあります。そのような副作用を軽減するために薬の開発が求められております。




薬についての街の人の声


「質問」

薬についての疑問・質問は?



「街の人の声(1)」

おじいさんの飲んでいる薬が多すぎるような気がするもう少し分かりやすいようにまとまるとか...効き目が本当にあるものだけを選ばれていると良いと思います。



「街の人の声(2)」

ジェネリックと先に出た薬の違い


ジェネリック、ジェネリックとすごくいいように聞こえるけれど、少し怖いなと思ったんですけど...いかがでしょう?



「街の人の声(3)」

ジェネリックって安全ですか?



「街の人の声(4)」

ジェネリックと先発医薬品の効果がどれぐらいのものなのか?、(通常の薬より)金額が安くなる部分の違いがどれくらいあるのか?




薬に対する質問・疑問


「本池美香さん」

VTRご覧頂きました。先生、まずですね、高齢の方が薬が多くて、その分かりやすく出来ないのか、まとめたり出来ないのか、というようなところだったり


その効き目が本当にあるものを選んでいるのか?、疑問に思っているという声がありましたが、これについてはどう思われますか。




「遠藤佑輔先生」

はい、そうですね。高齢の方ですと、複数の病院に通院されている場合もありますし、複数の疾患を抱えてる場合がありますので、基本的に薬の数は多くなるかと思います。


ただ、複数の病院にかかっておられる場合に、同じような内容の薬が出る場合がありますので、そういう場合は薬局の薬剤師さんに問い合わせをして、重複する薬がある場合は先生に問い合わせてもらって、一つ薬を減らす等の対策を取ることもできます。そのような場合にかかりつけ薬局さんを作って頂いて、一つの薬局ですべての薬を管理してもらうという方法もあります。



「本池美香さん」

最近よくお薬手帳などがあるど思うんですけど、そういったものも活用したらいいということですか?。



「遠藤佑輔先生」

そうですね。いろんな病院から薬をもらってる場合は、お薬手帳に処方されている薬の内容がすべて書いてありますので、お薬手帳は有効に使えるかと思います。




ジェネリック医薬品と先発医薬品の違いについて


「本池美香さん」

あとはもう一つですね、ジェネリック医薬品と先に出た薬との違いがちょっと疑問に思われている方がいくつか質問がありましたが、それについてはどうですか。



「遠藤佑輔先生」


そうですね。最近はジェネリック医薬品というものが多く出てくるようになってきてます。


先発医薬品は先程説明しました開発期間10年から15年と非常に長い年月をかけて開発された、新規に開発されて発売された薬です。


一方、後発医薬品「ジェネリック医薬品」は、この先発医薬品の特許が切れた新薬と同じ成分を使って別の会社が開発した薬になります。


ジェネリック医薬品は、新薬ですでに効き目ですとか、安全性が確認されていますので、こちら開発期間は、この薬を製剤化、例えば錠剤を小さくしたり、あるいは味をつけたり、飲みやすくする、製剤化の工夫がされたり、あとは簡単な治験を実施するだけで承認されますので、開発期間が非常に短く、5年から6年となっております。


そのため薬の値段がこちらの先発医薬品に比べて安くなっています。こちら厚生労働省の審査につきましては、先発医薬品もジェネリック医薬品も同じ審査が行われますので、安全性、有効性という面では同じ審査の元、世の中に出てきています。


最近では、ジェネリック医薬品の数も増えておりまして、例えば胃薬などもジェネリック医薬品が発売されております。




薬を服用するさいの注意点て


「本池美香さん」

先生、この薬を服用するときの注意する点をおしえてください。



「遠藤佑輔先生」


薬がこの世の中に出たあとでも注意が必要な飲み合わせというものがございます。


こちらに示しておりますのが、この一例になっておりまして、例えばグレープフレーツジュースと血圧を下げる降圧剤、こちらは一部のカルシウム拮抗薬という血圧を下げる薬ですが、この2つを飲みあわせると、この血圧をさげる作用が増強して副作用がでることがあります。


また、コーヒー、コーラと風邪薬などの総合感冒薬、こちらコーヒー、コーラ、この風邪薬、ともにカフェインが含まれていますので、カフェインのとり過ぎによる副作用が出る可能性があります。また、抗菌薬、抗生物質、こちら風邪薬と一緒にでることがあるんですが、このような抗菌薬、抗生物質は、牛乳ですとか、ヨーグルトの乳製品と一緒に取ると、この薬の効果が弱まることもあります。


また、こちらも有名な飲み合わせの注意が必要な組み合わせになるんですが、血液をさらさらにする薬、ワルファリンと納豆、あるいは青汁、こちらビタミンKが含まれているんですが、この納豆、青汁とワルファリンを一緒に服用すると、このワルファリンの効果が減弱するというような報告があります。


薬の飲み合わせでご不明な点がある場合は、薬剤師さんに問い合わせて頂くことが重要かと思います。


薬は動物実験ですとか、治験を経て長い年月をかけてこの世の中に出てきています。しかし、安全性があり、効果を最大限発揮するためには患者さん自身がご自身が飲まれている薬がどのような薬かということを理解するとともに、用法、容量通りに服用していただくことが重要であると思います。



「本池美香さん」

薬は病気を治すために欠かせないものです。薬について知り、安全に服用して下さい。



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