■今回のテーマは「禁煙治療」
今回の動画は「禁煙治療」がテーマです。帝京大学医学部附属病院 呼吸器内科の長瀬洋之先生により、タバコの持つ中毒性、タバコによって引き起こされる様々な病気とその治療について解説しています。
タバコは健康に悪い影響及ぼすのはご存知だと思いますが、タバコを吸い続けると動脈硬化や脳卒中などの生活習慣病を引き起こす大きな要因となっています。
また、様々なガンを発症させる原因の一つとして非常に大きな割合を占めていますが、最近ではガン以外にも様々な病気を引き起こしてしまうリスクが高まっています。
2008年にスタートしたメタボ検診でも長年の喫煙によって患うことになった病気に対する患者さんの認識が低いようで、今後さらに重度な患者さんが増えてしまう可能性があります。
帝京大学病院では禁煙外来があるので、気軽に検査をうけることができます。最近は保険診療が認められるようになったので、1回250円で治療をうけるこどができます。
もし仮に毎日病院へ通ったとしても、1ヵ月の治療費は10000円にも達していません。もしタバコを真剣に辞めたいと考えているのであれば是非この機会に!
【 出典 】帝京メディカル
はじめに...
「松菜乃子さん」
禁煙外来という言葉を最近よく耳にします。以前は保険対象外の自由診療の分野ですが、現在では健康保険も適用される専門治療です。今回の帝京メディカルは、タバコを吸う人、吸わない人にとっても耳寄りな禁煙治療について解説します。
今回のポイントは、3つ、1つ目はタバコを吸い続けてしまう原因について、2つ目は喫煙のリスクと病気について、3つ目はその治療法について、以上、3つの項目を呼吸器内科の長瀬洋之先生に質問します。
タバコに依存する原因...
「松菜乃子さん」
では先生、まずタバコに依存する原因について教えて下さい。
「長瀬洋之先生」
はい、まずタバコを吸いますと、ニコチンというものが血液の中でグルグル流れていきます。
そうなりますと、ニコチンが脳に届くと、ニコチンの受容体というものが脳にあるんですね。
そこにニコチンがくっつきますと、ドーパミンというものがでます。
このドーパミンが気分がよくなったり、満足したりというような原因になる脳内麻薬といわれるような物質なんですね。
そのドーパミンがキレますと、また満足したいということで、タバコを吸いたいなという気持ちになります。
ですから吸えば吸うほどドーパミンが欲しくなって、またタバコが吸いたくなると、依存に陥っていくことになります。
「松菜乃子さん」
なるほど、それだけタバコの依存度は高く、自分一人の力では中々やめられないんですね。
喫煙による健康被害のリスク...
「松菜乃子さん」
次に喫煙がもたらすリスクや具体的な病気について教えて下さい。
「長瀬洋之先生」
はい、がんという大変な病気が増えてしまうということがあります。
喉頭がんですと約30倍であると、肺ガンですと平均で5倍位になると言われています。
膀胱ですとか膵臓ですとかもがんのリスクが高まると言われていますので、基本的にタバコを吸うと全身のがんの危険が高まるということになってしまいます。
その他に動脈硬化というものが起こってきます。それが心臓で起きるのが心筋梗塞という病気になりますし、脳で起きれば脳卒中ということになってきます。
その他にも肺がですね、タバコによって壊れてしまうという病気があります。名前はCOPD(慢性閉塞性呼吸器疾患)といいます。一番右がタバコを沢山吸ってらっしゃる方のCTです。
黒く抜けているようなところがあるのが分ると思うんですけれども、これがタバコで肺が壊れてしまった部分、何もなくなってしまっているという部分になります。
このCOPDという病気は非常に気づきにくい病気だということです。
例えば帝京大学の禁煙外来に来た患者さん、60代の方では40%もCOPDの可能性があると、だけれども患者さんご本人は気づいておられないというような問題があります。
このCOPDの簡単な見つけ方ですけれども、3つです。咳、痰、息切れ、このどれかがあればCOPDを疑って病院に相談して頂ければと思います。
喫煙の周囲への影響とは?
「松菜乃子さん」
周りの人たちや家族への影響もあるんでしょうか?
「長瀬洋之先生」
とても大切なお子さんへの影響ということですけれども、両親がタバコを吸っている家では、乳幼児が突然亡くなってしまうという乳幼児突然死症候群というのがあるんですけれども、これの危険性が10倍になってしまうというふうに言われています。
そして、奥様ですけれども、ご主人がタバコを20本以上吸われているような場合には、奥様の肺ガンの危険性は1.9倍になってしまうというふうに言われています。
もっともタバコを避けなければいけないのは「妊婦さん」です。
妊娠中にタバコを吸ってますと、お子さんが生まれて11歳の知能指数が少し下がってしまうと、それから生まれてくるお子さんの発育が悪いと、言うようなことも言われていますので、何よりも妊娠中の喫煙は絶対に避けて頂く必要があるなと考えています。
「松菜乃子さん」
そんなに沢山の健康被害があるんですね。特に私は女性なので本当に心配になりました。
復職するさいに覚悟が必要な点とは?
「松菜乃子さん」
それでは最後に禁煙するための最新治療についてお聞かせ下さい。
「長瀬洋之先生」
はい、バレニクリンという飲み薬があります。これはどのように効くかといいますと、先ほどお話しましたニコチンの受容体が脳の中にあると、このバレニクリンはこのニコチンの受容体にハマってしまうお薬です。
そうなりますともしタバコを吸ってニコチンが来ても、それを弾き飛ばしてしまうので、吸っても満足できないので、自然に辞めていくということが期待されています。
このお薬はもう1つ作用があります。ニコチン受容体にバレニクリンがくっつきますと、少しドーパミン、さきほどの満足物質ですけども、少しドーパミンが出ますので、吸いたいという衝動が少し軽くなります。
これによって何もしなくても楽に禁煙ができると、いうことになっております。もう一つの方法はニコチンのパッチになります。
これはもっと直接的に身体にシールを貼ることによって、そこからニコチンが身体に吸収される、これによりましてニコチンが欲しいという衝動を抑えるという、このどちらか非常にあっているものに患者さんに相談しながら選択していくというのが現状になります。
禁煙治療も保険診療で出来るんですね。多くの方は3割の負担で出来るということになります。大体1日あたり250円、3割負担で250円ということになりますので、毎日タバコを吸うよりは安い値段で治療ができます。
条件にあうかどうか含めて、一度医療機関にご相談されるとよろしいかと思います。
「松菜乃子さん」
今日は本当に勉強になりました。本当にどうもありがとうございました。
タバコは自分自身の身体をはじめ、周囲の人や大切な家族にまで健康被害が及ぶことがよく分かりました。
これからタバコをやめようと思っている人も、以前禁煙に失敗した人も自分と大切なだれかのために帝京大学病院の禁煙外来へ足を運んでみてはいかがでしょうか?。
それでは、また次回の帝京メディカルへ!