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プリセプター制度の限界とは?!
 
 
看護師さんの新人教育制度として多くの病院で導入されている「プリセプター制度」ですが、ここ最近多くの現場で人材育成に関して同制度に対する疑問の声をよく耳にします。
 
 
実際にプリセプター制度に不満を持つ一部の病院では独自の教育体制を確立しているケースが少なくありません。今後こうした動きが急速に広がる可能性が十分あります。
 
 
ただでさえ人手不足な状態にありながら、新人看護師1人を教育するために教育係として看護歴3〜4年目の看護師を1人つけるというのはあまりにも効率が悪すぎます。
 
 
自分の仕事を抱えながら、新人看護師を指導するのは容易ではありません。これが師長レベルであれば新人看護師の指導をしながら自分の仕事も問題なくこなせるでしょう。
 
 
しかし、入職してから3年程度の看護師さんにそうした役割を押し付けるのは酷だとする声も実際多く耳にします。また、ご存知のとおりプリセプター制度の歴史は浅いです。
 
 
同制度が画期的な人材育成のための制度ともてはやされていた時代と現在では医療現場を取り巻く環境が大きく異なります。医療技術も目覚ましいほど当時よりも進化しています。
 
 
当然看護師さん一人あたりの負担も当時よりも大きくなっているわけですから、プリセプター制度に固執してしまうと職場が混乱してしまう危険性があります。
 
 
プリセプター制度どこの病院でも導入していることとはいえ、指導する立場にある看護師本人が指導しながら自分は未熟過ぎると自己嫌悪に陥っているケースも少なくありません。
 
 
 
 
 
3年目の看護師の悲鳴!
 
 
プリセプターは、指導係の先輩看護師が基本的な看護技術をはじめ薬品の知識や医療機器の取り扱い、また患者さんの入退院の対応など幅広く指導していかなければなりません。
 
 
みなさん御存知の通り看護師さんの仕事は担当科によって異なるわけですが、まず「注意すべき点」は、それぞれの科によって仕事の順番や優先順位が微妙に異なります。
 
 
当然のことながら現場での看護師さんが行なう業務のすべては机上の空論は一切成立しません。ですので、どんなに医療が進化しても現場至上主義的なところがあります。
 
 
看護師のような専門性の高い仕事の場合、どんなに優れたマニュアルがあってもマニュアル通りに仕事は進められないので、やはり実務を通じながら根気よく学ぶ必要があります。
 
 
教育係である看護師三年目の看護師さんをは、3年間かけてようやく一人の看護師として「何とかやっていけるかな」といった程度の自信を得たレベルですよね。
 
 
そんな彼、彼女らに身分不相応の重責を押し付けるのも問題です。看護師さんにとって3年目が鬼門とされているのもプリセプター制度が大きく影響していると考えてます。
 
 
プリセプター制度は、やはりどう考えても入職されてから3年しか経過していない人材を病院自らが手放そうとしているようにしか見えない人材育成制度なんです。
 
 
 
離職率が高い病院は看護師が離れる本当の理由を知らない?
 
 
教育係の看護師さんはプリセプター制度がなければ自分のペースで自分の仕事に取り組めたはずですが、教育係に任命されたことにより、突然新たに仕事と役割が増えます。
 
 
病院によっては人材難から2年目の看護師さんに教育係を押し付けるケースも少なくありません。二年目なので当然その仕事ぶりは、ありとあらゆる点で未熟な印象を受けます。
 
 
先日ご紹介させていただいた動画にありましたとおり、20代前半の若さで過労死してしまうケースが現実に起こっています。。
 
 
例えば新人看護師を指導することに気をとられすぎると自分の仕事で普段なら起こりえないミスが生じることがあり、それに対する怒りや不満が日々増えていきます。
 
 
例えば「教育係でなかったらこんなミスはなかったはずだ」といった思いが当然湧いてきます。そうした不満が大きくなれば、新人看護師に対する態度も険悪になります。
 
 
一方、新人看護師も最初は優しかった先輩看護師から意地悪な印象を受けるようになると、先輩看護師の悪いところばかりが目につくようになってしまいます。
 
 
つまり指導を受ける方と指導する方の両方が互いに嫌気して最悪の場合双方の看護師が同時に退職してしまう可能性があるということをしっかり考慮しなければなりません。
 
 
そうしないと「また新人が辞めたのか」の一言で終わってしまいます。これでは問題の本質がなんなのか知る良しもないまま時間ばかりが過ぎていきます。
 
 
こうした環境で働いている看護歴2〜3年程度の看護師さんが一度仕事上での問題を抱えてしまうと自力できちんと解決するのは難しいでしょう。
 
 
 
 
 
教える側と教えを請う側の両方が苦しんでいる!
 
 
新人のころは何もかもが初めてなので、職場の人たち全員忙しそうに働いているのに何も出来ない自分は何をしたらいいのか分からなずに戸惑ってしまいます。
 
 
周囲の状況を判断できるようになるまで相当の時間もかかりますし、またそうなったとしても先輩や患者さんに話しかけることもためらってしまいますよね。
 
 
何もできなくて歯がゆい思いをしているわけですから、職場で忙しく懸命に働いている人たちの邪魔にならないようにするだけで精一杯なんですよね。
 
 
最初のうちは率先して質問してくるかもしれませんが、次第にそれさえも教育係の看護師さんの顔色を伺うようになっていくケースが少なくありません。
 
 
プリセプターは実務を通じて優先順位や看護師の時間の使い方を学ぶことができるのですが、学べば学ぶほど互いの距離が縮まるかといえばそうでもありませんよね。
 
 
もちろん教育係の看護師さんから担当プリセプターに付いて仕事のやり方をつぶさに観察できるのは大いに心強いものです。
 
 
不明な事はすぐに質問できるし、何か失敗したとしてもその場で指導やフォローをしてもらう事ができます。
 
 
 
 
 
プリセプターを破棄する病院が増えている!
 
 
プリセプターは新人看護師の気持ちを理解しやすいであろうという理由から、一般的に3〜4年目の看護師が担当するケースが非常に多いわけです。
 
 
新人看護師を技術的・精神的にサポートしながら仕事の基本ルールである「報告・連絡・相談」を円滑に進める、効率的な制度であるといえるでしょう。
 
 
一方、この制度では人間関係が1対1で濃密になリすぎるうえにプリセプターとの関係性に悩む新人看護師が多いのも事実です。もちろんその逆もあります。
 
 
職場でのマンツーマン指導は一見するとよさげに見えますが、他のスタッフに聞きにくい、プリセプター自身が未熟で指導力が不足していると怒の声を上げてます。
 
 
こういった具合にお互いに信頼関係が築けないことから職場での人間関係の問題をはじめ様々な問題を引き起こしています。
 
 
つまりプリセプターは新人看護師の早期離職や職場の雰囲気の悪化につながってます。
 
 
最近ではプリセプター制度のようなマンツーマン指導を放棄する病院が増えています。プリセプター制度に固執しすぎたことで大きな損失を被っていると皆さん実感してます。
 
 
そこで、最近は病院スタッフ全員が新人に対して指導する、あるいはグループを組んで新人看護師を指導するなど学びやすい環境が整備されています。
 
 
どうせ同じ仕事を学ぶのであれば経験があるベテラン看護師さんから学んだほうが将来的に大きな財産になります。
 
 
最近は新人の育成をプリセプターに固執せずに、病院全体で新人を育てていく新しい教育制度をとる病院も増えています。
 
 
プリセプター制度に疑問点がある方はぜひ他の人材育成・指導に関して、他の病院の教育制度もぜひ調べてみてください。
 
 
 
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